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「足太いね」の授業
−得居不二三氏実践『「足太いね」でプラス思考』修正追試−

 高山佳己 トップHP

子供たちから「新感覚の授業!」と大好評。保護者もいつの間にか身を乗り出す。笑いが必ず起こる授業。


 新しい授業を試みた。
 人間関係を学ぶ・人との付き合い方を学ぶ「ライフスキル学習」の授業である。

説明1  先生は,先日,電車に乗りました。そうしたら3人の女子高校生が乗り込んで来て,それはもう楽しそうにお喋りをしていました。その中の一人が,別の子に向かって,突然こう言ったのです。  

私は,黒板にゆっくりと次のように書いた。 
『足太いね!』      
子供たち,騒然。そこで課題。

発問1  さて,自分がこう言われたら,何と応えますか?
指示1  ノートにずばり書きなさい。

子どもたちは戸惑いの表情を浮かべながらもノートに向かう。ノートに書けた子から,黒板に書かせた。
 以下は,十二歳の子供の対応ぶりだ。
A まあね
B あなたの方が太いわ
C あなたよりましだわ
D うるせえ,ばあか 
E うん,太いわ。あなたは細いのね
F これ,筋肉なの
G いいでしょう

指示2  黒板に書いてあるのを読んで,気がついたこと,思ったこと,考えたことなんでもいいから,自分の考えをノートに書きなさい。

この後,七つについて自由起立発表で話し合わせた。子供たちは一体どれを評価したのだろうか。まず,Dが槍玉にあがった。
「これではちゃんと言い返していない。 逃げている。本当の解決にならない。」
というのである。期せずして拍手が起こる。これに対し,
「相手もかなりひどいことを言っているのだから,このくらいで丁度いいのだ。」
と反論がある。平行線のままだ。他の考えについても子供たちのコメントを紹介しよう。
A あっさり,受け入れちゃった…
BとC ちゃんと言い返しているけどこの後の人間関係が心配。
E 結構逆襲してるね。
F 笑いで受ければ相手も笑っていい雰囲気となる。
G 自分の足を自慢していてすごい!
子供たちの話し合いが20分ほど続いたところで打ち切り,私は次のようにくくった。

説明2  Aは,受け入れ型です。BとCは,切り返し型。Dは攻撃型。Eは受け入れ型+持ち上げ型。Fはユーモア型。最後のGは,自慢型です。

 さて,本当のところはどうだったのか。子供たちは早く知りたがっている。そして,保護者も。
「その女子高校生,実は,こう言ったのです。」
と言って私は,おもむろに黒板に向かった。
『うん,太くて可愛いでしょう。』
 子供たち,ドッと笑う。
「これで,他の二人の女子高校生も大笑い。言ってる本人も大笑い。もちろん高山先生も大笑い。これを聞いていた電車の乗客みんな笑っちゃったんだ。」
保護者もかなり受けている。
「なんて愉快な言い方でしょう。先生は,すっかり感心してしまいました。」
 この明るい雰囲気の中,私は,次のように価値づけてみた。

説明3  この言い方には,いくつかの原則が隠されています。
@相手の言うことを受け入れているA自分にとって,いいことと考えている
B明るくユーモアで返しているーということです。
かっこよく言うと『プラス思考』です。 

 この後は,応用編。「のっぽだね」「チビだね」と言われたらどう応えるかを考えて参観会を終えたのだった。
                          
 「新感覚の授業!」「とっても役に立った」ー子供が評してくれた言葉だ。一方,複雑な乙女心をもつ女の子の感想はー。  
『ハッキリ言って,「足が太い」という話題にはふれてほしくなかった。私も時々言われるから。その時に返す言葉が無くて何も言えずじまいだから。言った方は何も感じないけど,そういう何気ない一言って時々すごく重く心に残ることがあるよ。そういうの保育園の時の事でも覚えているし。
 でも,それをしっかり笑いに変えて返すことのできる人ってすごいと思う。「すごい」なんて安い言葉だけど,今の私の気持ちをぴったり表せる言葉を私は知らない。あんな風に返して,いろいろな人を笑い顔にできる人になりたい。強くなりたい。先生,ありがとう。』
嗚呼,やってよかった。


☆修正追試報告結果☆

*得居不二三氏実践『「足太いね」でプラス思考』(第12期教育技術の法則化 123巻)
*得居氏は,中心発問を

発問  さて,言われた子は,何といったでしょうか。
指示  想像してノートに書きなさい。

としている。私はこれを上記の発問1,指示1の様に修正した。
想像させるのでなく,当事者意識に立たせるための発問にしたのである。
*さらに指示2,説明2を加え,自由起立発表を取り入れた。後の子供の感想からも分かるように,他の考えをあれこれと考える機会となり,授業がぐっと深まったと感じている。