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北海道/大雪山〜トムラウシ山〜十勝岳〜富良野岳縦走
(92年8月14日〜8月19日)


8/12〜13:JRで北海道へ
 ずっと天気の悪かった6泊7日の南アルプスの縦走から戻り、次は一人で北海道の山を縦走することにした。せっかくの北海道だからと、大雪山から富良野岳まで一気に縦走するという欲張りプランをたてた。往復ともJRにしたのだが、北海道に着くのに1日以上かかる。ルートもいろいろあるのだが、日本海側を経由して行くことにし、まずは長野行の急行ちくまで名古屋を出発した。はずだったが、豪雨のため2時間ほど遅れて出発。そのため緻密な乗り継ぎ計画がパーになり、北海道に着くまでに特急列車を利用しないといけなくなってしまった。当時あった「北海道ワイド周遊券」は、北海道に着くまで急行は急行券無しで乗れるのだが、特急は特急券を購入しないといけなかったのだ。これは貧乏学生には痛かった。
 青森に着くまでに一日を使い、再び青森から夜行列車に乗って北海道へ。この日は旭川市内で食料を補給し、旭川駅で寝た。翌日は層雲峡へ。層雲峡をレンタサイクルほ借りて回るが、ひどい土砂降りであった。この日は層雲峡YHに泊まる。


8/14:層雲峡〜黒岳〜白雲避難小屋

 とりあえずユースの人と一緒に黒岳を目指す。途中までリフトで、楽だ。しかし黒岳までは、他の人は日帰りの軽そうな荷物しか持っていないのに、僕だけが6日分の荷物で、くやしい思いをした。黒岳山頂(写真)までは晴れていたのだが、これ以降急に天気が悪くなってきて、曇天・強風になってしまう。旭岳も登る予定だったが、パスしてお鉢平を一周する。南の方には雲の上に王冠のような特異な形をしたトムラウシ山が小さく浮かんでいた。あそこにつくのはあさっての予定だ。 この日は白雲岳避難小屋にテントを張る。テントの中で天気図を作成したが、北海道の真上に停滞前線が。一週間前に本州南岸に停滞していたものが、北上してきたらしい。ついてないな〜。夜は雨。


8/15:白雲避難小屋〜忠別岳〜化雲岳〜ヒサゴ沼

 朝は濃いガスの中出発。熊が出てきそうで怖い。単独だとさらに怖いので、単独の人と一緒に歩くことにする。このルートはトムラウシ山へ向かう人が多く、だいたい同じ行程になる。一緒に歩いた人は、ユースにいた人だった。
 しかしそのうちガスが薄くなり、視界がよくなってきた。視界さえよければ、緩やかで広い稜線歩きは何とも気持ちいい。ピークで休んでいると、キタキツネが餌をねだってきた。慣れすぎじゃないのか?あまりかわいくない。やがて五色岳であるが、このあたりは背丈を越すハイマツである。北海道のハイマツは全然這っていない。石狩岳の分岐を左に分けて、化雲岳へ向かうが、しだいにガスってきて何も見えなくなった。雪渓の上を降りていくとヒサゴ沼に到着。


 テントを張って休んでいると、だんだん天気が回復してきた。この沼はなかなか風光明媚でよいキャンプ地だ。


8/16:ヒサゴ沼〜トムラウシ山〜二ツ沼

 今日はいよいよトムラウシだが、朝から曇りで気が乗らない中出発することになった。今日も曇りかガスで、結局トムラウシ山頂でも展望はほとんどななく、がっかり。しばらくねばったが先に進むことにする。トムラウシ温泉への下山ルートを左に分ける。大雪山から縦走してきた人も、ほとんどはトムラウシ温泉に下山するが、僕は十勝岳へと縦走を続ける。しかし分岐を過ぎるともう誰も歩いていない。しかも雨も降ってきて寂しいことこの上ない。さらに本州の山なら寒くて寂しいだけですむが、北海道はヒグマが出そうで恐ろしい。熊鈴を持ってくるべきだったと後悔したが後の祭りである。
 晴れていたら美しいであろう、黄金ヶ原のなだらかな道を進む。この日の予定はオプタテシケ手前の双子池の予定であったが、コースタイムが異様に長い。地図をみると黄金が原から7時間はかかるように書いてある。どうも怪しいが、否定できる材料もない。そこで黄金ヶ原から下った二つ沼にテントを張ることにした。縦走路から東に少し下るとテントを張った跡地があったので、そこにテントを張る。雨は降ってるし、他に人はいないし、熊は出そうだし、寂しくて怖いサイト地だった。


8/17:二ツ沼〜オプタテシケ山〜美瑛富士避難小屋

 朝から雨である。今日は美瑛富士避難小屋まで行かなければならないので仕方なく出発する。ツネガネ山、コスマヌプリとアップダウンが続く。雨のため展望は全くなく、その上左右とも背丈を越えるハイマツが続き、本当に熊が出そうだ。双子池のキャンプ地からは、オプタテシケ山への600mの登りである。この標高差は今回の縦走で最も大きく、かつ急な登山道だ。しかし登るにつれて雨は止んできて、多少気分は楽になった。しかし2013mの山頂はガスの中であった。その後ベベツ岳を経て避難小屋到着。このころには若干天気が回復し、美瑛富士が見えるようになってきた。今日の行動はたいへん長かったが、途中で2パーティとすれ違っただけだった。トムラウシ〜十勝岳間の縦走者は非常に少ないようだ。美瑛富士避難小屋はぼろく、ちょっと使い物にならない(その後建て替えられたらしい)。しかも情報通り水がなく、この日は水を節約して一晩過ごした。


8/18:美瑛富士避難小屋〜十勝岳〜上ホロカメットク避難小屋


 朝起きると、何と快晴だ!!。びっくりしてしまう。この山行で初の快晴である。ウキウキして出発する。登山道は美瑛富士の東側を巻いており、美瑛岳に向かう(上写真)。途中の雪渓から流れる水で水筒を満たす。美瑛岳からは茶色い十勝岳が見える。火山灰の登りにくい道を登ると十勝岳である。昨日の静けさが嘘のように、人で一杯である。人はいるところにはいるものだ。
 この日は上ホロカメットク避難小屋へ。今日は行動時間も短くしかも晴れているのでテント場でのんびりくつろげた。雪渓末端で水をくんでいると、テントの近くできょうだいか、こどものキタキツネが三匹たわむれていた。子ギツネは縫いぐるみのようでかわいいが、見ているとだんだんテントの方へ近づいていく。危険を感じてテントの方に戻ると、離れていってしまった。そういえば北海道の山の水はエキノコックスに感染するから生では飲まない方がいいと言われるが、もうたくさん飲んでしまった。
 夕方、テント場の裏の上ホロカメットク山に登ると、十勝岳がたいへんきれいだった。今回の北海道の縦走で一番の景色だった。夕日が雲海に沈む中、下界の方では花火が上がっていた。しかしよく見ると横方向に発射されている。きっと自衛隊の戦車か何かの演習だろう。



8/19:上ホロカメットク避難小屋〜富良野岳〜十勝岳温泉

 最終日は薄曇り。今日は十勝連峰の南西端、富良野岳を往復し、十勝岳温泉に下った。長い縦走だった。