5月4日(金) ザルビノ−ザルビノ 73.1km
 ウ〜ン、楽しい時間は早く過ぎ去る物で、とうとう最終日である。しかし天候はあいにくの雨。だが、ロシアンラリーに雨は付き物。楽しい事が起こりそうな予感はある。
 今日のスタート順は二輪のゼッケン番号の後ろから。と言うわけで二輪最終スタート。まあ、トップにスタートしても、帰ってくるのはいつも最後の方なのでスタート順はどうでもいいかと思う。
 
 朝から雨は降っていた物の、この雨もそんなに長くは降らないだろうと思い、合羽を着ずに走る。しかしこれが大誤算。雨はますます強くなり、下着までびしょびしょになってしまう。思いがけず‘寒い’,‘冷たい’のロシアンラリーメニューを味わう。
 
 本日の走行距離は最終日と言うこともあり60数キロ。コマ図を見ていると、ゴール地点はあそこかと言う見当は早々とついていた。なら面白くない日だったかというと、とんでもない。楽しかった。30km過ぎの地点に用意されていたCP1を抜け、通称‘ゴミの山’に入ったところでミスコース。どう見てもコマ図とは違うポイントに出てしまい、しばし迷う。迷ったときには、わかるポイントまで戻ると言うのが鉄則なので、#3,木澤さんとともに、ゴミの山への入り口まで戻る。最初に入ったときには地元警察の誘導があったが、戻ったときにはその姿がなかったので、二輪/四輪を含め、一番ケツになっていることを思い知る。
 
 しかし、慌てることはない。落ち着いてコマ図を追いかけて行けば、どこでミスコースをしたかも確認でき、コマ図をチェックしながらのナビゲーション走行を楽しむ。
 
 過去の経験から、もうすぐ海が見えてくるだろうな〜と思われる高原地帯に入り、路面状況が変わってくる。雨が災いして(幸いして?)、ヌタくりだしたのである。粘土質の泥がタイヤにつまり、あっという間にグリップを失う状況になり、どこへ行くかは運任せ,バイク任せの状態になる。ヒヤヒヤしながら‘二輪二足’の精神でえっちらおっちら走る。ヒーヒ〜言いながらも楽しむ。これもロシアンラリーのお楽しみ。
 
 その後も轍の深い地帯に入り込んだりしながらも、海岸沿いに出る。見れば先のヌタ場で我が愛車は泥だらけ。手前の川で川渡りを繰り返し、泥落としを試みるも、あまり成果は無かった。
 海岸沿いを抜け、再び高原地帯に入る。またコースを見失う。こういう時は、前車のタイヤ痕を探しながら走るのが得策。だがこれがミスコース。海沿いの轍の酷いルートに、#3,木澤さん、#18,八重樫さん、#35,池田さん、そして四輪の#104,川上・中村・会田さんトリオとともに迷い込む。‘迷い込む’とは言ってもここは過去にロシアンラリーのコースとして使われていたところ。それだけにこの先は轍がさらに深く刻まれていることも知っていたので、二輪は何とかなるであろうが、四輪は難しいのではと思われる。なので#3,木澤さん、#18,八重樫さんに先行してもらい、四輪でも走れそうかどうかを確認してもらうことにする。木澤さん,八重樫さん合作の‘ボディランゲージ’で「×」であることがわかる。なので四輪,#104,川上・中村・会田さんトリオはここで引き返す。#35,池田さんも最後はオンコースでゴールしたいという事から引き返す。私は「ミスコースも楽し」なので、最後もミスコースのまんまゴールする道を目指す。
 
 丘を一つ越えるとゴールが目前にあった。「ロシアンラリー’2001」もこれにて終了である。
 
 その後は砂浜タイムトライアル(?)に興ずるが、見ればヒルクライムをしているエントラントの姿がある。楽しそうなので行こうかと思うが、フト自分のバイクを見ると泥だらけ。港に帰ったら洗車はするのだが、その前にある程度泥は落としておこうと思い、作業を開始する。思った以上に泥付きは酷く、作業に没頭することになる。
 
 港に戻っても、泥落とし作業は続く。フロントスプロケットカバーの内側、スキッドプレートの内側に、これでもかと言うほど泥が詰まっている。分解しての泥落とし作業になる。ある程度泥が落ちたところで洗車場に向かう。‘洗車場’とは言っても消防用のホースが並んでいるだけで、その水圧で一気に洗い落とそうという豪快な物。ORAの川崎さんから、モトクロスではバイクを横倒しにして洗うと言う話を聞き実践してみる。確かにフェンダーの裏側などの汚れは簡単に落とせたが、エンジンに水が入ってしまうのではと言う懸念もする。‘洗車場で水没’となると、最大の珍事である。しかし洗車後、簡単にエンジンは掛かり、問題は無かった。
 
 ラリーも終わり、使わなかったパーツ類をまとめて、ロシア人エントラントにプレゼントする。ロシア人エントラントからは、「ウォッカ」や「カニ」を頂く。
 
 夜、恒例のさよならパーティが行われる。5日間走りきったという喜びからか皆一様に表情は明るい。ついつい飲み過ぎてします。
 
 パーティも終わり、酔ったそのままの勢いで出国審査を受ける。船に戻り、今年もロシアとお別れとなる。船室でしばらくボーとした後、バイクカバーを被せるためにデッキへ上がる。すると、丁度船が離岸したところであった。ザルビノの明かりが遠ざかるのをしばし眺める。