5月2日(木) 走行三日目(ナホトカ−パルチザンスク−ナホトカ,110.86km)
 本日も良い天気。気温も高くなりそうなので、インナーウェアを脱いで走行することにする。ロシアンラリーは「雨」と「寒さ」が名物だと思っているが、今年はまだその影はない。
「名物」と言えば、今年の名物はロシア人エントラントの駆る4輪、『ミツカン酢』と書かれた「HONDA シビック」であろう。中身はどれだけ改造されているかわからないが、今年のロシアンラリーのコースをバリバリ走破している。昨日、増水した川に果敢に挑戦し、水没して動けなくなってしまったという話を聞いていたので、今日からその姿を見ることはないかなと思っていたが、今朝、その勇姿をナホトカ港に現した。一晩で復活させたとは驚きである。
 
 本日のコース設定は、「100km」程度と短い。と言うことは、かなりの難所が設定されているものとワクワクしながらスタートする。
 舗装路が切れ、道がダートに変わると、辺りは高原地帯のヌタ場と化す。天気は良いが道はヌタヌタ。草原の方にルートを求めるも、ここもやはりヌタヌタ。スタックしながらもここは何とか自力で這い出す。
 でもまだまだヌタ場が続く。慎重に走っていたつもりだが、ついに滑って転倒する。右半身赤い泥にまみれてしまう。
 
 ヌタ場をすぎると次は川渡りのセクションになる。水流,水圧が有り、川底の石も大きくて滑りやすいと言う難所。慎重に、時には押して渡る。数あるトラブルの中でも、水没からのリカバリーが最も大変だと考えているので、ここは慎重の上にも慎重に走る。
 ちなみにここでの水没者は結構出て、私が記憶しているだけでも、#10吉田さん,#22松村さんが撃沈していた。
 
 川のセクションを抜けると林道ツーリングになり、CP1に到着する。昼食もかねて休憩を取る。
 
 再スタート後のルートは、ロシアンラリー初のコースになる。基本的には林道ツーリングであるが、前半は所々がぬかるんでいるコース。慎重にルートを選びながら走るが、集中力が切れた瞬間に、ぬかるみにはまり身動きできなくなる。#18向井さんに助けていただき、脱出することができた。
 このコース。このところ晴天が続いていたのでこの程度のぬかるみですんだが、雨でも降っていようものなら全コースちゅるちゅるヌタヌタで、地獄絵図だったに違いない。
 
 後半はやや険しい山間ルート。片側は「崖」、と言うところもあり、びびりながら走る。
 
 このコースを抜けた先で、ちょっとしたトラブル。後輪側から“バラバラバラ”と言う異音が聞こえ始め、何事かと思いバイクを止めて確認してみると、チェーンガードが外れかけており、それが後輪のスポークに干渉して異音を発していたことがわかる。
 修正して再スタートする。
 
林道コースを抜け、町中に抜ける。迷いながらもオンコースに出ると、見覚えのある逆U字型の管列が見えてくる。もしかして・・・と思いつつ進んでいくと、思い出したくもない、過去水没した経験のある川に出る。トラウマに捕らわれつつも川渡りに挑戦する。水量が少なかったことが幸いして、無事渡り切る。
と言うことは、この辺りは、過去のロシアンラリーでよく初日のコースで使われていたものの逆コースであることに気づく。記憶違いがなければ3年ぶりの走行になるはず。以前苦しんだ、地元の人も通らなくなったお山の廃道はどうなっているのかなと思いつつ、当時のコースを逆走する。
 
 過去の経験から、この先険しいルートは無いことはわかったので、のんびり走る。するといつもはすっ飛んで行っているはずの#4下司さんと遭遇する。下司さんは今年はSUZUKI DR400 での参加で有り、付いて行ってみようと試みる。下司さんも流している雰囲気があったので、余裕で追走できる。
 フラットダートを追走していると、突然前を走っている#4下司さんのスピードが落ちる。これは何かを見つけたものに違いないと思い、こちらもスピード落として右側に目をやると、地元のロシア人が河原でバーベキューをしている。なぜかビキニ姿のお姉ちゃんが多くおり、こちらに手を振っている。目一杯手を振り返す。もう少し早く気づいていれば、迷わずそちらに行っていたのだが・・・。
 
 距離が短く、コースもそれほどひどい状態では無かったので、まだ日の高いうちにゴールし、ナホトカ港に戻ることができた。
 入念にバイクの整備を行う。
 日も暮れたころ、#9上山さんの駆る「セロー」のキックペダルによるエンジン始動教育になる。まず、ロシア人2輪エントラント、アレックスが見本を見せる。簡単にエンジンがかかる。次に上山さん挑戦。かからない。アレックス曰く、身振り手振りを交えて、体重のかけ方が悪いのだと、再見本。簡単にエンジンがかかる。再び上山さん挑戦。かからない。次にアレックスは左手でキックペダルを握り、振り下ろす。簡単にエンジンがかかった。皆爆笑する。
そんなこんなで夜は更けた。