5月3日(金)走行4日目(ナホトカ−ラゾ−ナホトカ,276.72km)
 昨日までの晴天とは打って変わって、朝から今にも泣き出しそうな曇天。気温も低く、肌寒い。
 
 舗装路を抜け、ダートに入る。前半は林道ツーリングの色が濃い。しかし道はガタガタで、地元の方々が走りやすいところをさがして色々な方向に道を作り、パラレルルートになっている。でも基本的には一本道で、どのコースを通っても同じところに出るので、走りやすいところを探しつつ走行する。
 でもやっぱりミスはする。ブッシュに突っ込みかけて木の枝に右ミラーを叩き割られ、その勢いで今度は大きな水たまりに突っ込み転倒寸前になる。水たまりで水没は何とか避ける事ができた。
 
 その後は川渡り中心のセクションになる。
 途中、ロシア人2輪エントラント,コスチャがパンク修理しているところに出くわす。既に、#7,8の舟木夫妻が修理を手伝われていたが、穴はふさいでもエアーが入らない等、なかなか上手くいかない。コスチャは「HONDA XLR」で毎年参加しているが、見ればタイヤはすり減ってしまっており、無惨な状態。よくこれでこのような道を走れるなと感心する。
 結局チューブに問題があった(?)ようで、オフィシャルからチューブをもらって入れ替えて、走行可能になった。
 
 その後も川渡りが続く。進めば進むほどその深さは増していき、「立ち水没」しかけないぐらいの深さのところもあった。水没の恐怖におののきながら走る。
 ある川渡りのところで、見れば対岸で、ORAの東福寺さんとメディカルの吉田先生が待っている場所に出る。なので、結構難しい場所なのかなと川に進入すると、底が砂地であった。パワーを食われ、やばいと思いつつも何とか中州に到着するが、登りのところも砂地。ついにスタックして動けなくなる。バイクはオブジェと化してしまい、格好の撮影対象になる。
 その後も川渡りは続くが、極めつけは61km地点の川。水深もあるし、水の流れも速い。エントラント同士助け合いながら渡す場面もある。私も途中までは行けたが、最も深い部分でエンジンストップ。水を吸い込むのも嫌だったので、助けてもらいながら押して渡る。
  ここもやはり水没の名所と化しており、水抜き作業をしているエントラントがたくさんいた。ORA川崎さんも、#9上山さんの救助に行き、その「セロー」にまたがって、自力で渡ろうとしたが、「立ち水没」してしまう。ちなみに上山さんの「セロー」はこれで3回目の水没となる。でも復活して再スタートしていたので、バイクって走るものだな〜と妙な感心をする。
 その後も川渡りにおののきつつ走り、それが終わり、メインルートに出るとCP1に出た。深い川をじゃぶじゃぶ歩いたりしていたので、ゴアのオーバーソックスの中に水が入り、歩く度にぐちゅぐちゅして気持ち悪い。‘ゴア’は水を通さないので、水に浸かっても灌水せず、気持ちよいものであるが、逆に中に入ってきてしまうと、‘逆ゴア’状態になり、外に水が抜けなくなるので足下が気持ち悪くなるってしまう。
 しかしこの日のように寒い場合は、その水が体温で温められて心地よいものであると言う意見もあり、片足だけ排水してその感覚の違いを確認してみることにする。結果、どっちもどっちかなと言うのが感想。
 
 CP1からCP2はフラットダート。いざ爆走ッ! と行きたいところであったが、寒さと、右手の握力が落ちてしまっていたことがあって、あまりスピードが上げられない。100km/h前後で走る。
 今年のロシアンラリーで思ったことは、配給される「ガソリンの質がよくなっているのではないか」と言うところ。以前なら上り坂で「100km/h」を出すことはできなかったが、今年はそれができた。
 しかし、#101佐藤さんのジムニーには合わなかったようで、かなり苦心されていた。まさに悲喜交々と言うところである。
 
 「寒ーーーッ!」と思いつつ、CP2に到着する。オフィシャルによる焚き火のサービスと暖かいコーヒーのサービスにありつく。
 天候の回復は望めず、この先にはラゾ−セルゲイエフカ間の峠地帯があり、高度が上がり、さらに気温が下がることが予想されたので、CP2で合羽を着込み、再スタートする。合羽一枚でもあるとないとでは大違いで、ここからは快適な走行ができた。
 
 ダートが消え、道が舗装路になると、後はゴールのナホトカまで一直線である。途中少し雨に見舞われたが、天気も大崩れする事はなく、一気にゴールする。
 今日も日の高いうちに、ナホトカ港にたどり着くことができた。
 
 夜、ロシア人エントラントと、ミュージックホールでの飲み会となる。ロシア人通訳もそこにいたので、通訳を介しての話も弾む。
 ここのところ、毎年来ている「アレックス」は実はバイクの輸入業のような仕事をしていると言うことがわかる。昨年来日して、岡崎のレッドバロン本社に一週間通ったと言う話を聞く。面白い事に、商談の場所は岡崎なのに、宿泊地は「名古屋」。この名古屋−岡崎間毎日自転車で2時間かけて通ったらしい。なんで自転車やねん、と言う気もするが、タフな彼らなら何でもないことなのかも知れないと妙に納得する。