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1 いつだって、真剣勝負だ。 「……すっごい」 外野の、なんの気もなしの呟きが、それが、たまたま選手に大きく影響してしまうなんてこと。 「え?」 次の瞬間、ガシャン!!とケタタマシイ音が鳴って、倒れた。スカートが、同時に派手にめくれ上がった。 僕は目を見開いた。 痛ったぁ……という、うめき声の後、素早い動作ですぐに立ち上がった。 (あ) ごくっと唾を飲み込んだ。すっごい、と思った。 渾身の力を右足に込めて。こぎ出す。 がんばれ、と声を掛けて、その小さい背中を押して上げることができたなら、どんなに。どんなにいいだろうとも思う。 残り2メートル、大きく傾く、ハンドル握り直して無理やり方向を変える、1、メートル……あと少し、……最後の一こぎ…… シャーッ!という快音とともに、向こう側へと、その小さな背中は消えて行った。 「やった!!!」 と、思わず歓声を上げて、僕は見えなくなった背中を急いで追いかけた。もちろん僕の足じゃ敵わないことぐらい、百も承知の上で。 僕は坂のてっぺんに立って、もう一度「やったー」と、拳を握る。 131勝目だった。自分が知る範囲内によると。 |
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