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3 いつもの時間、いつもの場所で。 学校の手前、そこに最大最強の敵が待ち構えてる。 彼女は今日も、いつもの時間、タイミングで。 勢いよく、横を駆け抜けていった笹島さんを、僕はいつものように見送った。 前を歩いていた男子生徒が、ヒュー♪とチャチャを入れて、カッコイイ、なんて声を掛けたが、笹島さんは気にもしなかった。 上り坂も半ば。必死の攻防戦。 (あ) 負けない。負けてなんかやらないんだ。って。 なんて、強くて、カッコイイ。 (がんばれ) 「がんばれ」 無意識の内に口に出していた。 小さな背中が苦しいと言っていた。苦しくても苦しくても戦う。 「がんばれ!!」 笹島さんは振り返らない。当然だった。その集中力は昨日以上だった。 ただ、顔を上げて、キッと敵を睨みつけて、敵がひるんだその一瞬の隙に、一気に勝負を仕掛けたみたいに。 「……、ぃやった!!!」 と、その歓声は複数重なり。 笹島さんは、坂の向こう側へと退場する前に、後ろ向きのまま、高らかに右手を上げて、勝利のVサイン。 「かっけぇー……」 と言う男子生徒の呟きに、僕は大きく何度も頷いて。 なぜか涙が出そうで。でもそれじゃ、あんまりにもカッコ悪いから、我慢して。 僕のヒーローに。 |
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