「実践編」と申しましても、別に「フィアナfanの心得」なんぞを説こうというわけではなく(^^;;)、要するに「わたしはフィアナのこのシーンが好き〜!」という具体例です(^^ゞ。
なにしろフィアナフリークのわたくしですから、そんなものは数限りなく…というより、彼女の登場するシーンすべてがお気に入り!といっても実は過言ではないのですが(^^ゞ。
そんな中でも、比較的有名でありながら、非フィアナfanの方からは「そういう解釈もできたのか!」と、驚かれることの多いシーンの解説なぞを……
34話「惑星サンサ」。前からはイプシロン率いるAT隊、後ろには、レッドショルダーへの復讐に燃えるゾフィー達。絶体絶命の窮地でも冷静に指示を下すキリコ……
だがしかし、そこで突然フィアナがキレる!
「あなたは独りなのね。誰の力も必要としていない、あたしでさえも!」
このセリフ、一般的にはフィアナの「言葉通り」……つまり、「キリコの孤独(ないしは孤高)」を表すものとして、受け止められているようですね。でも、ここでフィアナサイドに注目すると、まったく違う側面、「驚愕の真実」が見えてくるんですよ〜、ふっふっふ…
まず、そこに至るまでのふたりの会話を振り返ってみましょうか。(青:キリコ、茶:フィアナ)
「もう援護はない」「中へ入りましょう」
「だめだ。ヤツらに撃たれるだけだ」「でも…」
「とにかく、一対一でやってみよう。それが時間を稼ぐ唯一の手だ」
「…あたしも、戦うわ」
「だめだ」「なぜ?」
「とにかく、今はおれ一人でいい」
「でも、時間を稼いでどうするの? 何も、誰も、期待できないのよ」*1
「フィアナ…」*2
「今になってゴウトの言ったことが解ったわ。あなたは独りなのね
誰の力も必要としていない、あたしでさえも!」
「よせ」「キリコ!」*3
「どう戦えばいいかは、おれが一番知っている…」
どんなもんでしょうね? おおむねキリコの言ってることの方が、「筋が通っている」とわたしは思うんですけれど。まぁ、キリコの作戦も、結構「行き当たりバッタリ」の感はありますが、少なくとも、フィアナよりはずっと冷静に状況を把握している……というか、フィアナの方が、していなさ過ぎ(^^;;)。
*1のセリフ辺りから、もうヒステリーモード入ってる。それを受ける*2のキリコのセリフは、「戸惑いつつも、相手を宥めようとしている」感じですが、それに耳も貸さずに、更にフィアナまくし立てる!
……言ってはなんですが、これって、明らかに「痴話喧嘩」です。
まずふたりの間で「意見の食い違い」が発生して、男の方が申し分のない《正論》で女を黙らせようとしたら、女はどうするか?
「いつも*4そう! わたしの言うことなんて、全然聞いてもくれないんだから」
「どうせ、あなたってそういうひとよ」
「わたしのことなんてどうでもいいんでしょう!?」
──この時のフィアナの言い分って、つまりはそうですよ。どちらが正しいかという客観性は打ち捨てて、愛情の問題にすりかえ、相手の薄情を責める…。もう、見事なくらい《女》*5の手段。彼女や奥さんのいる男性で、この手に悩まされたことのない方って、まずいらっしゃらないんじゃないかしら。
ま、女の立場としては、そんな風に拗ねたり、ふくれたりしてる時ってのは、既にどっちが正しいかなんてことはどうでもよくって、ただ、言いたいのは「あたしのこと、どう思っているの?」って、ただそれだけ。「“その一言”が聞きたい女心」ってのは、男性の想像を絶して強烈なものがあるようです。18話のココナもそうだけど、戦場だろうが火事場だろうが、TPOなんて構っちゃいない。いつでも、どんなときでも、何度でも聞きたい!……って。
わたし、このカップルのこういうところ──「戦場のど真ん中で痴話喧嘩」って言うか、周囲の状況は緊迫しているんだけど、本人達は大真面目なんだけど、でもハタから見ると大笑い……ってところが、もう、好きで好きで……(^^;;)。
でも、当事者の片割れ、キリコの方はそうは受け止めなかったようで……。
*3のやり取りの後、ちょっと間が合って、「ゴーグルを上げ表情を露わにするフィアナ」と、「ゴーグルに“素顔”を隠したキリコ」のアップが交互に映るんです。で、最後のセリフと共にフィアナ機に背を向け、イプとの対決に赴くキリコ機……To
be continued.
この時、相手の言葉により深く「傷ついて」いたのは、実は、表情を見せない(見せようとしない
or 見せることが出来ない)キリコの方なんですよね。
戦場に赴くキリコのモノローグ。
「ゴウトはおれを戦うマシンだと言った。殺人機械だと。
そして、愛するフィアナでさえも、今……
いっそ、おれが本当のマシンならば、苦しまなくてすむのかもしれない。
ただの人間であるばかりに、おれはこの地獄で戦い続け、
自分を呪い続けている……」
……なんだかな〜(^^;;)。そこまで真剣に落ち込むことないんだよ〜、って言いたくなっちゃいますね(^^;;)。
ここで唐突(だと思いません?)に出てくる「愛するフィアナ」。
わたしは、この「愛する」を、言葉通りではなく、「自分を愛してくれているハズの」もしくは「自分を受け入れてくれるハズの」って意味にとっています。
なんていうか……「彼女だけは解ってくれると思っていたのに!」って「甘え」と、それが拒まれたことへの「傷心」に聞こえちゃうんですよね〜。
#昔、「キリコ=孤高のヒーロー」派の方からは思いっきり反発された解釈ですが(^^;;;)。
この時のキリコの「愛」って、「彼女が自分をどう思っていようと、彼女が彼女である限り、自分は彼女を“愛する”」という、そういう強い「愛する」ではない気がするんですよね。フィアナが、「自分を受け入れ、包んでくれる存在」であるから、「大切」であり「喪いたくない」んじゃないかなぁ……って。
それが「悪い」とは言いませんよ。むしろ「無理ないな〜」とも思う。特に、その前に一度彼女に「拒絶」されて、絶望のずんどこに落ちてるわけだし…。
だけど、それは、言葉を換えれば、やっぱり「甘え」だと思う。
たとえば、その前の、毒づくゴウトに対して切り返した、「アンタに解ってもらおうとは思わない」もそう。
真に「他人の理解を必要としない」人間は、そんなセリフ言いませんって(^^;)。口にした時点で、「ホントは解って欲しい」「解って欲しいのに解ってもらえないのが悔しい」って表明しちゃってるのよ。
#ゴウト達と出逢ったばかりの頃ののキリコだったら、絶対そういうセリフは出ないと思う。
で、そういう前フリを元に、「ゴウトは解ってくれなかった。その上フィアナまで……!」というのが、あの時のキリコちゃんの心理じゃないかな〜……と、わたしは見ています。
でも、そんな傷心のキリコちゃんに、フィアナは次の回で、ばっちりフォローしてあげるんですよね〜。
どこだと思います? 「押さえていて……わたしを」? ノンノン、本当にすぐ、35話の冒頭です。
1999.11.7
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