2003年12月分(12/6)

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ピカレスクロマン?(12/6)

 市村正親主演、蜷川幸雄演出『リチャード三世』(日生劇場)を観る。
 先月末から、仕事と「家庭の事情」で睡眠時間を削られっぱなしだったので、途中、何度か意識が遠くなりましたが(^^;;)、主演の市村さんが舞台にいる時だけは、バッチリ目が覚めました。ホント、この人の存在感って、まったく「別格」なんだわ……と、改めて実感。
 陳腐な言い方だけど、「天性の主役俳優」って彼のような人のことなんだろうなぁ……と。 6月の『海の上のピアニスト』は、ほぼ「一人芝居」、10月の「オモチャ箱」はソロコンサートだったので、他の役者さんと絡む市村さんを観るのは、3月の『ペリクリーズ』(これも蜷川演出だったな)以来。『ペリクリーズ』も、その前の『モーツァルト!』でも脇役だった(でも、主役を喰いかけてたなぁ…)しで、「主演・市村」にはしばらくご無沙汰していたとはいえ、『ラ・カージュ・オ・フォール』や『蜘蛛女のキス』での輝きを忘れていた自分の愚かさをちょっと責めたい(^^;;)。
 冒頭、翻る巨大な赤いマント(パンフによると、素材はガーゼだそうで、かなりの大きさなのに、フワフワと軽やかに膨らんでいました)の下から現れる白塗りの顔。「さあ、おれたちの不満の冬は終わった…」と語り始めるグロスター公リチャード……から、もう視線が釘付け! マントの下の黒のレザーパンツ(ジーンズだったかも(^^;;))という現代風の衣装が宇崎竜童の音楽とあいまって「オトナの不良」って感じで、もうカッコイイのなんのって……(ウットリ)。右足は引きずり、左の背中には大きなこぶ……と、リチャードを文学史上もっとも有名な「醜男」にしている身体的特徴さえ、市村さんの肉体を通すと、むしろ「異形のヒーロー」を彩る「チャームポイント」に見えてしまうのは、なんなんだ(^^;;)。
 一幕前半、自らの手で殺した男の未亡人を口説き落とした直後、勝利の陶酔と己への諧謔の入り交じった台詞:

「どうやら俺はこれまでずっと自分を見損なっていたらしい! 間違いない、──俺には納得いかないが──あの女には俺が眉目秀麗な素晴らしい男に見えるのだ。ひとつ奮発して鏡でも買い込むか。」

 も、市村さんが演じると、シャレにならない(^^;;)。だって、わたしの目には事実「素晴らしい男」に見えるんだもん……

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