頭髪検査で思ったこと・・・(99/09/23)
−校則っていったい誰のために、何のためにあるの?−


 先日、生徒の頭髪検査を行った。せいちゃんにとって、頭髪検査をすることは実は苦痛である。もちろん、頭髪検査というくらいだから、そこに基準が設けられている。生徒手帳に書かれている頭髪規定は以下の通りである。




  <男子生徒頭髪>

 @パーマ・アイパー・染色・脱色については、ウェーブ、色等が残らないように整髪させる。(ドライヤーで赤くなった場合も整髪させる。)
 A異様なへアースタイル・長さについては、以下のように整髪させる。
    前髪は目にかからない。
    横髪は耳にかからない。
    後髪は横を刈上げた時、後ろも刈上げる。
 B白髪などは整髪する場合には、生徒指導部長の許可を得る。
  <女子生徒頭髪>
 @頭髪の全般にわたり、女子高校生らしい清楚さを保つこととする。
 A前髪は目にかからない長さとする。
 Bパーマ・カール・染色・脱色については、ウェーブ・カール・染色・脱色については、ウェーブ・色等が残らないように整髪させる(ドライヤーで赤くなった場合も整髪させる。)
 C髪の長い(肩にかぶさる)者は、束ねること。
 Dリボン・ゴムひも・ヘアーピンを使用する場合は、黒・紺・茶系統の無地とし、その他のアクセサリーや派手なリボンを使用してはならない。
  <頭髪・男女共通>
 T 上記の他、必要に応じて生徒指導部が協議の上、細則を定めて発表する。
 U 天然等の確認は、必ず年度初めに受け、生徒手帳に確認印をもらう。



 ところが、別に「頭髪規定」なるものが存在するのだ。実は、こっちが有効というか、細則のようなものなのである。その規定には以下の項目が付け足されているのである。下記の「頭髪規定」は、教室に掲示されたり、頭髪違反の生徒に配布したりしているが、どうも読んでみると文末やその内容から、「教員のための頭髪指導手引き」のような気もする。いかがなもんだろうか?



 1、頭髪検査は、原則として長期休業中の前後の月を生徒指導部、その他の月を学級主任が検査する。(都合により変更する場合もある。)

 2、違反者の再検査については、決められた日(原則として3日後)に生徒指導部が行う。(決められた日に合格しない者は、保護者に来校を願う。)
 3、天然(色)の確認は、必ず年度始めに受け、生徒手帳に確認印をもらう。
 4、検査内容は、パーマ・アイパー・染色・脱色・異様なへアースタイル(ツーブロックなど)・長髪・もみあげ・ひげ・整髪料・アクセサリー・束ねるなどについて整髪指示を行う。
◇ 男子生徒の整髪は次の通りとする。
 (1)パーマ・アイパー・染色・脱色については、ウェーブや色などが残らないように整髪させる。
    (※ドライヤーで赤くなった場合もこの対象とする。)
 (2)異様なヘアースタイル・長髪については。以下の様に整髪させる。(運動等で乱れた状態でも、前髪は目にかからない。横髪は耳にかからない。後髪は横を刈り上げた時に後ろも刈り上げて襟にかからないこと。)
 (3)もみあげ・まゆ・ひげ・整髪料については、以下のように定める。
    (もみあげは長くとも耳の中程までとする。まゆには必要以上に手を加えない。ひげは常に剃り、伸ばすことは禁止する。整髪料は控えめにし、異様に固めることは禁止する。)
 (4)白髪を黒く染めたい時は生徒指導部長の許可を得る。

◇ 女子生徒の整髪は次の通りとする。
 (1)頭髪の全般にわたり女子高生らしい清楚さを保つこと。
 (2)前髪は眉毛にかからない長さとする。
 (3)パーマ・カール・染色などをしてはならない。(整髪方法は男子(1)と同じ)
 (4)髪の長い(肩にかぶさる)者は、束ねること。
 (5)リボン・ゴムひも・ヘアーピンを使用する場合は、黒・紺・茶系統の無地とし、その他のアクセサリーや派手なリボンを使用してはならない。
 (6)まゆには必要以上に手を加えないこと。
 (7)上記の他、必要に応じて細則を定めて発表する。
 5、注意・指導に応じない者は、保護者に来校願い生徒指導部長注意及び、懲戒処分の対象とする。(※短く整髪後もウェーブ・色等が残っている場合は頭髪係の指示(許可を得る)により次回検査でもう一度整髪させる。)
 6、その他については生徒指導部頭髪係が協議の上指示する。
 ※自然に伸びた髪以外の違反(パーマ・染色・異様等)については検査日にかかわらず見つけ次第指導する。


 こうやって見てみると、結構大変な数の検査項目である。生徒手帳にはない「ひげ」・「まゆ」・「もみあげ」の項目も、別の規定では細かく指示されている。しかも、なぜか更に協議によっては指導項目が増えるらしい。こんなに項目が多いと、生徒も大変であるが、教員も大変である。いかにして検査項目や基準を覚え、教員間の意思統一をはかればいいのだろうか?「もみあげ」などの規定も、流行の影響ではないだろうか?数年前まで、そんなに厳しく検査をしていなかった気がする。これはきっと、その時代の流行が関係しているのだろう。

 
せいちゃんは、流行を校則でとりしまることには反対である。流行によって作られた校則は、流行がすたれるとともに空虚なものとなる。以前、「たまごっち」が流行した時に「たまごっちを持ってこない」という校則を作った学校があると聞いたが、今では笑い話しにしかならない。あれだけ流行した「ルーズソックス」も、絶滅寸前である。「あのソックスは、名前からルーズなんですよ。だから禁止にすべきだ」なんて話題に上っていた頃が懐かしい・・・。名前がルーズじゃなけりゃ、禁止じゃなかったのかい?なんて思ってしまう。まぁ、とにかくルーズソックスが減少したのは、指導がゆきとどいたのではなく、流行が終わったのだとせいちゃんは思っている。つまり、流行による一時的な頭髪の多少の違反や、服装の多少の乱れを殊更に取り上げる必要はないと思うのである。

 頭髪が異様であるというのは、どういう点が異様なのか?これは個人のセンスの問題であろう。異様といっても、学校生活に支障がある髪型というのは、それほど多くないと思う。また、「高校生らしい」という言葉をよく聞くが、「高校生らしい」とは誰のどんな基準を指しているのであろうか?昔の丸刈りの生徒を想像しているのなら、時代錯誤であるような気もする。結局、大人の要求(社会の要求とは違うような気がする)によって作られた「高校生らしさ」なのではなかろうか?だとすれば、そこに現代を生きる生徒の姿は見ることはできない気がする。校則はいったい何のためにあるのか?誰のためにあるのか?を考え直して見る時がきている気がする。

 頭髪検査をしながら、我が身を振り返ってみる。せいちゃんの髪は、過去に「スズメの巣」、「カリフラワー」、「ブロッコリー」、「焼きそば」、「スチールウール」などの異名をとってきた髪型・髪質である。櫛がとおらないくらいにウェーブ・・・いや、ちぢれた髪なのである。髪型で自己表現をするのは、かなり難しいと言わざるをえない。

 せいちゃんが高校生の頃には、「ちぢれ」の許可をもらわなければならなかった。生まれつきの髪質なのに「許可」をもらわなければならないのには腹が立ったのを覚えている。髪は身体の一部である。生まれつき髪質が固く、ちぢれているだけなのに、他人に許してもらわなければならないのである。別の言い方をすれば、顔が悪いのを許してもらうのと同じであろう。それは、あまりにもひどいのではなかろうか?現在は、「認める」、「確認」などの言葉に変わりはしたが、それでも同じじゃないだろうか?困ったもんである。

 さて、せいちゃんは自分の頭髪について心配していることがある。以前は、頭のてっぺんだけがハゲた場合に、「お茶の水博士」(鉄腕アトムより)になってしまうことを心配したが、最近になって心配しているのは、散髪の時に髪が巻いている途中で切られてしまっているのではないか?ということである。おそらくは、普通の人のように髪の先から切ってもらってはいないだろうなぁ・・・。まぁ、整髪後の仕上がりがいい(少なくとも、自分は納得している)から、結果オーライなのかもしれないけれど・・・。 ついでに言っておくと、ひげを伸ばしたらどうなるんだろう?という心配(好奇心と言ったほうが正確かもしれないけれど・・・)をしている。もしかしたら、ひげも伸ばしたらちぢれるのだろうか?長期休みにでも実験をしてみたいと思っている。


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