表紙に戻る
楽譜(参考運指つき)1/4
楽譜(参考運指つき)2/4
楽譜(参考運指つき)3/4
楽譜(参考運指つき)4/4


平均律クラヴィア曲集第1巻8番 変ホ短調 BWV853〜フーガ

この曲については、あんまりいろんなこと書くと怒られるのかな。
バッハの最高傑作の一つ、らしいです。
とにかく神聖な作品らしいです。
8小節目から9小節目の連続3度を1-3の指の平行移動で弾くなんて失礼にもほどがあるって感じだけど、まあご勘弁。
いくつもあるこの曲の山場のうち、最後にして最高の山場、主題の拡大形をソプラノが担当するところ(78小節目あたり)を練習しているときに、ちょっと面白いことに気づきました。
この曲を弾いたことがある人のうち自分の手の大きさは9度ぐらいが限界と思っている人はおおかた気づいていると思うんですが。

ミ-ソの10度は不可能。無理やり届かせても指は完全にぺしゃんこだから余計な鍵盤までいっぱい押しちゃう。
でも、ミ♭-ソ♭の10度は届く。えー?自分の手で10度とどいちゃうのか?

この曲が変ホ短調でよかった、ニ短調、ホ短調だったら弾けなかった。
何に感謝かって、たぶん平均律という調律法に感謝。
この曲ってもともと別な調でつくったのを移したんですよね(むかし何かで読んだような気がする)
それはまさか指の都合で移したわけじゃないでしょ。
24全部の調を「埋めるために」移したんですよね。
正確には、24全部の調を埋めてみたくなったけど変ホ短調のために新曲をつくるのが面倒だったから昔つくったニ短調かホ短調の曲を移調したってことなのかな。
何にしても「埋めてみたいな」とバッハに思わせた平均律には感謝でしょ。
指の難所はそこの10度だけ(あと前半のどこかに9度があったような気がするけど、どこだったか思い出せないぐらいだからきっと大したことない)
どうでもいいけど、もう1個だけ、シ♭-レ♭の10度も届きますね。他は黒鍵どうしでも10度は絶対不可能。

3声しかないうえ、使われているフーガの作曲技術も分かりやすいものばかりなので、弾きながら余裕もって鑑賞ついでに感動できます。
ちょうどいいタイミングでフーガのいろんな面白技が登場、ちょうどいい頃合で退場していくから、退屈したり疲れたり混乱したりなんてことはない。
長いのでおぼえるのに手間はかかりますが、苦労して損したといういうことはまずありません。確実におトクな一曲です。
ただ演奏しながら余裕で感動できてしまうというのには多少問題があって、感動のあまり無駄に力が入り意味のない強弱表情付けが行われてしまう恐れがある。みっともないのでやめましょう。