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楽譜(参考運指つき)
楽譜(音の高さと長さの情報以外はほとんど削除した状態)


ゴルトベルク変奏曲〜第30変奏

ひっどい曲ですね。
たしかブリューゲルでしたっけ、村祭りで飲んで食って踊ってゲロ吐いて、みたいな絵描いたの。
あんな光景が浮かんできます。
芸術ってのが俗界を超越した特別な存在としてありがたがられるようになるのはたぶん19世紀あたりからなんでしょうけど、バッハがそれ以前の時代の人だったということがよく分かる曲です。
定型バスの上にのっかっているのは、ドイツ民謡らしいですね。
「キャベツとカブラに追い出された。家に入れない」とか、なに言ってんだかさっぱり分かりませんがそういう歌らしいです。
そのあたりをうまいこと組み合わせてまんまと曲に仕立てちゃう技術に関しては、バッハがそれまでやってきたことを考えれば、いまさら驚くのも間抜けな話なんでしょう(いや素直に驚いていいです。精魂込めてなしとげた悪ふざけを前にすると芸術って何さという気分にさせられます)

何はともあれこれを弾かなきゃゴルトベルク変奏曲弾いた気分になれません。というか、これとアリアだけ弾けばゴルトベルク変奏曲征服した気分になれます。
ただ決して簡単じゃないです。
底抜けのお馬鹿作品ではありますけど、つくりはちゃんとした4声の対位法でフーガ並みの集中力は要します。
ついでに指の問題。
29小節目2拍目、4声の右手左手配分はどうやってもいいんですが、最低でも9度は避けられません。

関係ないけど、これってピアノやチェンバロより管楽器4人で演奏したほうがふさわしくないですか。
前にこれのオルガン演奏版聴いたことがあるんです。
何本パイプのあるオルガンだか知らないけど、倍音は徹底的にしぼって、ぴーぴーぷーぷーショボい音にして。
なんかもう村祭りの素人楽隊。
とてもいい演奏だと思いました。