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◆◇◆ 大晦日の夜に(一章) ◆◇◆
〜 一年遅れのカウントダウン 〜

  <12/31:朝、ローズヒル>
主:あのさ、ちょっと良いかな?
琴: 何、お兄ちゃん。
ご飯もう少しで出来るからちょっと待ってね?
主:うん・・・
琴: さ、出来たよ、お兄ちゃん。
どうぞ、召し上がれ。
主:いただきまーす。
琴: お兄ちゃん、今日は、大晦日でしょ。
だから、お母さん会社忙しいみたい。
ほら、この時期って特番って、多いじゃない?
お母さんのTV局でも、生の中継が入るとかで大変みたい。
主:そっか、それで陽子さんいないんだ?
琴: うん。
ほんとは20世紀の最後の日、家族みんなで過ごしたかったんだけどダメみたい。
残念だね? お兄ちゃん。
でも、新しい年はみんなで初詣行こうね!
主: そうだね。
ん、ごちそうさま、美味しかったよ。
琴:どういたしまして!
主: あのさ、琴梨ちゃん。
ちょっと話があるんだ。
琴:何? お兄ちゃん?
主: もし、都合が良かったら、今日のカウントダウン
・・・一緒に行って欲しいんだ。
琴:え? ・・・
主:・・・ダメかな?
琴:それって・・・やっぱり・・・キス・・・ってことだよね?
主: ああ。
突然だし、とんでもないことを言って、困らせているのは分かっているつもり。
このことで、今までの楽しい関係が壊れるかもしれないって不安もあった。
ただ今まで通りでも良いと思ったけど、でも自分の気持ちにケジメを付けたくて。
自分の都合で、勝手なこと言っていることは承知しているつもり。
だから、すぐここで答えを出さなくて良いよ。
けど、今日一日よく考えて欲しいんだ。
今日、TV塔にいるから。
もし決心が付いたら来て欲しいんだ。
琴: 私ね、お兄ちゃんのこと・・・好きだよ。
でも、それが兄妹の好きなのか、そうじゃない好きなのか考えた事なかった。
だから、今は答えられそうもないの。
今日一日、よく考えてみる。 ごめんね、お兄ちゃん。
主: ううん、わかった・・・ありがとう。
じゃ、僕は出かけてくる。
琴:うん。 行ってらっしゃい。
エ:(にゃーん)
主:行ってきます。
エ:(にゃーん)

主: (やっぱり、琴梨ちゃん動揺してたな。
 まだ、打ち明けるの早すぎたのかも。
 でも今の自分の正直な気持ちだ。
 だから後悔はしていない。
 そして今の自分にけじめを付けるんだ。)

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