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◆◇◆ 大晦日の夜に(二章) ◆◇◆
〜 一年遅れのカウントダウン 〜

  <ローズヒル:琴梨の部屋>
琴:(あーん、どうしたらいいか分からないよ)

『ピンポーン』

琴: (誰だろう? お兄ちゃん帰ってきたのかな?)
はーい

『ガチャ』

鮎:琴梨〜、元気してた?
琴:あ、鮎ちゃんだぁ〜
鮎:何?その鳩が豆鉄砲食らったような顔して(^^;
琴: ううん、何でもない。
さ、鮎ちゃんあがって。
でも、どうしたの突然。
鮎: だって琴梨、最近、連絡ないんだもん。
何か心配になっちゃって。
電話でも良かったんだけど、ちょっと顔見たくなってさ。
琴: ゴメンね。
今年も、お兄ちゃんが来てバタバタしてたから。
鮎: え?
やっぱり、そんな事だと思ってた(^^)
でも琴梨ずるいよ、そういう事は連絡してくれなきゃ。
で、お兄ちゃん、どこ?
早速、挨拶しないとね(^^)
琴: 鮎ちゃん、何慌ててるの?
お兄ちゃんは、今出かけてるよ。
鮎: なーんだ、ちょっと残念。
ところで、琴梨、名案があるんだけどさ。
今日のカウントダウン良かったら一緒に行かない?
琴:・・・・
鮎: 琴梨?
ねぇ、琴梨、どうかしたの?
琴:え? あ、何、鮎ちゃん。
もう、今日のカウントダウンだよ。
一緒に行こうかって!
せっかくだから、琴梨のお兄ちゃんも誘ってさ。
ね? 良い案だと思わない?
どうせ、今日おばさん仕事なんでしょ?
琴: うん、そうだけど・・・

・・・やっぱり私、行けない。

鮎: どうしたの? 琴梨。
何かあったの?
琴: 鮎ちゃん・・・

あのね、
お兄ちゃんに、カウントダウン誘われちゃったの・・・

鮎: !・・・・・・・・・・・・・・
そ、そっかぁ、そ、そうなんだ? ははっ
良かったじゃない、琴梨。
琴梨、前からお兄ちゃん、大好きって言ってたし。
それじゃ、一緒には行けないね(苦笑)
気合い入れて、しっかり頑張ってきなよ。
(そっか、やっぱり琴梨なんだ・・・)
琴: でも、私、行けない。
私、今までそういうこと真剣に考えたことなくて
一緒にいると、楽しくて、優しく包んでくれて
それでお兄ちゃんの好きだと思っていたから。
だから...よく分からないの。
鮎:・・・・・・・・・・・・・・・・・
琴:鮎ちゃん?
鮎: そ、そうなんだ・・・・・・
でも真剣に考えてあげなきゃ、あの人、可愛そうだよ。

あのね。
始めて3人でカラオケ行った時、琴梨がコーラこぼして席外したじゃない?
その時、私、あの人に聞いたんだ。
『琴梨のこと好きか?』って、そしたら迷わず『好きだ』って。
私さらに『親戚の好き? それとも?』って聞いたの。
そしたら『親戚の好き』だって。
その時、私、正直嬉しかったんだ。
前、言ったかもしれないけど、実はあの人、私の初恋の人に良く似ているんだ。
見た目とかじゃなくて、優しさって言うか、雰囲気がね。
それで、ちょっとね。

でも去年、琴梨達が3人で旅行から帰ってきたとき
あの人の琴梨を見る目が変わった気がしたんだ。
旅行で何かあったのかも?って思った。
でも、私、琴梨よりあの人のこと好きな自身あったし、
だから絶対、いつか私の方に振り向かせてみせるって。
あれ、あたし何言っているんだろう? あはは
琴:鮎ちゃん・・・・
鮎: ・・・あのね、琴梨。
私、ホントのこと言うとね。
ここに来た一番の理由は、琴梨に会うためじゃないんだ。
もちろん琴梨に会うことも大切な理由だよ。
でもね卑怯かもしれないけど、琴梨を出しにあの人に会いたくてさ。
もしかしたら今年も、琴梨の所に来ているかもしれないって。
それで今日の、カウントダウン、私の方から誘うつもりだったんだ。
キスまでは無理かもしれないけど、交際を申し込んで来年も
ここで会って下さいって。
そのくらい私の中であの人の存在は大きくなってるの。
でも、やっぱり琴梨を選んだんだ。
あーあ、また、ふられちゃったな(苦笑)
琴: 鮎ちゃん、ゴメンね。
鮎ちゃんの気持ち・・・全然知らなくて・・・
私、・・
鮎: ダ、ダメだよ!!!
私に遠慮して、断ったりしたら!
じゃないと、あの人可哀想だよ。
それに私、惨めすぎるよ。
琴梨は、私の親友だって信じているから、私の気持ち話したんだよ。
それでも、私に遠慮して行かないって言うのだけは絶対に許さないから。
そんな事するなら、親友辞めるからね!
だから行く行かないは、琴梨があの人に対する気持ちで選んで欲しいんだ。
琴: ・・・わかった、鮎ちゃん。
よく考えてみる。
私、近すぎてお兄ちゃんのこと、見えてなかったのかもしれないね?
それに、鮎ちゃんがこんなに大好きになれる人だもん、きっと悪い人じゃないよね。
鮎: 琴梨ー!(涙)

ごめん、しばらくこのままにさせて!(泣)

琴:・・・うん

(数十分後)

鮎: ・・・琴梨、ありがとう。
やっぱり、琴梨に話して良かった。
なんか、すっきりしちゃった。
じゃ、そろそろ私、帰るね!
琴: ううん、私の方こそ、鮎ちゃん、ありがとう。
鮎ちゃんが来てくれなかったら、私、いつまでも1人悩んでいて、
きっと、まっすぐにお兄ちゃんを見ること出来なかったと思うから。
鮎:その顔は、答えが出たんだね?
琴:うん!
鮎: ま、どういう答えが出たか知らないけど、それが琴梨にとって
良い方向に向かうといいね?
じゃ、またね!琴梨、良いお年を!
あ、そうそう、年が明けて、おせちもつきたら、3人で澤登へおいでよ!
お父さんも、楽しみに待ってるって。
琴: うん、そうする! じゃ、また来年ね!
鮎ちゃん、良いお年を!

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