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恋のアトリエ・ドミノ Vol.16


第16章 第三の物語(7)

「おい! なんだ、ありゃあ!?」
バルトロメウスが叫ぶまでもなく、アイゼルにもブリギットにも、その光景ははっきりと見えた。
昼なお暗い森の中の踏み分け道を抜けた先に、まばゆい陽光に照らされた広場がある。森の反対側、ゾラ山脈に連なる険しく切り立った岩壁のふもとに、目的地テュルキス洞窟の入口が黒々と口を開けている。ヴィオラートたちが目指していたという、盗賊団ヤグアールの巣窟だ。普段の昼下がりならば、盗賊どもも動きを潜め、ひっそりと静まり返っているはずである。
だが今は、激しく大地を揺るがす振動とともに、洞窟の内部で轟音が響き渡り、土煙と炎が入り混じった黒煙がもくもくと噴き出している。
「何があったんですの!?」
「くそ、こうしちゃいられねえぞ!」
「ちょっと待って!」
飛び出して行こうとするふたりを、アイゼルが止めた。
「どうして止めるんだよ!?」
「そうですわ、ロードフリード様が――」
バルトロメウスが不満げに振り返り、ブリギットも目をつりあげて詰め寄る。
「何が起きているかもわからないのよ。そこに闇雲に飛び込んでいくつもり? まず、状況を見極めること。行動はそれからでしょう? 冒険者の基本よ」
冷静な声でふたりを落ち着かせると、アイゼルは巨木の幹の陰から、煙を噴き上げるテュルキス洞窟を見つめた。そして、ぶつぶつとつぶやく。
「火山の噴火・・・? いえ、違うわ。あれは、爆発よ。そう、メガフラムか、もっと強力な爆弾が、すぐ近くで――」
しかし、ブリギットの叫びに断ち切られる。
「あれをご覧になって!」
身体を丸めるようにして、みっつの人影が、煙の中から飛び出してくる。
距離が遠いのと、頭から足先まで汚れ、すすにまみれているため、顔かたちなどはわからない。抜き身の剣を手にした人影がふたつ――身長は同じくらいだが、ひとりはすらりとしており、もうひとりはがっしりした体格をしている。残りのひとりは小柄で髪が長く、アイゼルと同じような錬金術士のいでたちをしている。
「ロードフリードさま!!」
「ヴィオ!!」
ふたつの叫びが重なり合った。目ざとくロードフリードの姿を認めたブリギットと、妹のことなら誰よりもよくわかっている(つもりの)バルトロメウス。
「ローラントさん!」
ふたりに先を越されたアイゼルは、消去法でやむを得ずローラントの名を叫んだが、ブリギットとバルトロメウスの絶叫に比べ、やや熱意がこもっていなかったのは仕方がない。
しかし、背後から聞こえた叫びは、転がるように洞窟を飛び出してきた3人には届かなかったようだ。3人とも、すぐさま距離をとって身をひるがえすと、煙が晴れつつある洞窟の出口を一心に見つめている。
「ロードフリードさま!」
もう一度叫んで、ブリギットが飛び出そうとしたときだ。
「おい! 何だよ、あれ」
立ち上がったバルトロメウスが、突っ立ったままあんぐりと口を開けた。
テュルキス洞窟から、巨大な人影が出現したのだ。人間離れした巨体、身体と同様に巨大な盾と剛剣を構え、のしのしと歩み出てくる。すすと土埃にまみれてはいるものの、長い髪を涼しげになびかせ、傷を負っているようには見えない。
両脚を大地に据えるようにして立ち止まると、巨人は胸を張り、大きく口を開く。
すさまじい咆哮が、大気をどよもした。
「何ですの?」
森から飛び出しかけていたブリギットも、思わず足をすくませ、不安げにアイゼルを振り返る。
「究極の――用心棒・・・」
エメラルド色の目を見張ったまま、アイゼルはつぶやいた。以前にヴィオラートとともにテュルキス洞窟を探索した際、何度か戦っている。
「でも――」
アイゼルは眉をひそめた。こんなに大きかったかしら・・・? 洞窟の中と、外にいる時とでは、見え方が違うのかも知れない。しかし、それにしても――。
「だから、何なんだよ、あのでかぶつは!?」
バルトロメウスがかみつくように尋ねた。アイゼルは簡単に説明する。
「盗賊団の最終兵器――とでも言えばいいかしら。とにかく、手強いわ。それに、理由はわからないけれど、倒されれば倒されるほど強くなるらしい・・・。きっと、あたしが以前に戦ったときよりも強くなっているはずよ」
「そうか、相手にとって不足はねえってわけだな」
不敵に笑うと、バルトロメウスは長剣を引き抜いた。
「あなたのその自信、分けてもらいたいものだわ」
アイゼルは、爆弾や回復アイテムを探りながら言った。ホーニヒドルフからここへたどり着くまで、盗賊にも魔物にもまったく出会わなかったのが幸いして、ストックはまだ十分にある。
「早く! ロードフリード様を――! 援護しますわよ!」
ブリギットが急かすように叫んだ。
広場の向こう側では、ローラントとロードフリードが『ドラグーン・ノヴァ』を発動しようとして身構えるのが見える。ヴィオラートは、背後で爆弾を投げようとしているようだ。
ふたりの竜騎士の“気”が、猛烈な炎となって、大気を切り裂く。一直線に叩きつけられた炎の槍が、『究極の用心棒』をまともにとらえた。だが、巨漢の剣士はよろめいただけで、さほどダメージを受けた様子はない。それどころか、剛剣を振りかざすと、巨体からは考えられないスピードでロードフリードに迫ってくる。
ロードフリードがよろけた。近くにいたヴィオラートが小さな悲鳴をあげる。
『究極の用心棒』がすさまじい勢いで剛剣を叩きつける。なんとか受け止めたロードフリードの剣が、弾き飛ばされて、大きく宙を舞った。刀身が陽光を反射してきらめき、硬い金属音をたてて、遠く離れた地面で弾む。
既にブリギットを先頭に、3人は森を飛び出し、広場を横切りつつあった。だが、間に合わない。
ローラントも体力を使い果たしたのか、がっくりと膝を落としたまま身動きができず、ヴィオラートも凍りついたように動けないでいる。いや、動けたとしても、爆弾を投げたのではロードフリードを巻き込むことになるし、この敵にしびれ薬や毒薬が効かないのは証明済みだ。
無防備になったロードフリードに向かって、『究極の用心棒』無表情に再び剛剣を振り上げた。あれをまともにくらったら、ひとたまりもない。
「やめて!」
ロードフリードめがけて走りながら、ブリギットは叫んだ。しかし、『究極の用心棒』が聞く耳を持つはずもない。
ロードフリードは腰が砕けたまま、身動きもできないでいるようだ。剛剣が振り下ろされれば、その瞬間、すべてが終わる。そして、ブリギットが夢に描く未来も――。
「いやあああっ! そんなの、いやああああっ!!」
ブリギットは声を限りに叫んだ。もう、自分が何を言っているのかもわからない。
「やめてぇ!! ――いいかげんにしてぇ!!

――そして、時が止まった。
大上段に剛剣を振りかぶったまま、『究極の用心棒』は動きを止めた。不意に生命を抜き取られでもしたかのように、ぴくりとも動かない。
駆け寄ってきたアイゼルとバルトロメウスが声も出せずに見守る中、『究極の用心棒』は後ろへ2、3歩よろめくと、地響きをたてて崩れ落ちた。剛剣をしっかりと握ったままの右手も、力をなくしたようにだらりと下がる。先ほどまでの威圧感は、完全に消え去っている。
「どうしたんだ、こいつ? 急におとなしくなっちまいやがって」
声は勇ましいが、バルトロメウスは腰が引けている。だが、おそるおそる剣先でつついても、巨漢の剣士は何の反応も示さない。
「ロードフリードさま! ロードフリードさま!」
ブリギットは、ぐったりと仰向けに倒れているロードフリードにしがみつくように、肩を揺すって必死に呼びかけている。しかし、目を開ける気配がない。
「ロードフリードさま――! しっかりなさって!」
「ちょっとお待ちなさい」
ひざまずいたアイゼルが、取り乱すブリギットを優しく脇へ押しやった。ロードフリードの脈を取り、口元に耳を寄せて呼吸を確かめる。あごに手をあて、しばらく考え込んでいたが、すがるように見つめるブリギットを振り向くと、静かに首を横に振った。
「騒がしくしないで。ゆっくり眠らせてあげましょう」
「え?」
ブリギットが愕然と顔を上げる。青紫色の瞳から、涙がこぼれ落ちた。
「そんな――!? 嘘よ! ロードフリードさまが――死んだりしないわ!!」
そして、再びロードフリードに取りすがる。
「ロードフリードさま! お願い――目を覚まして! 死んじゃいやあああああああっ!!」
ブリギットの絶叫をさえぎるように、落ち着いた口調でアイゼルが言う。
「早とちりしないで。ロードフリードさんは死んでなんかいないわ。ぐっすり眠っているのよ。ただ、それだけ」
「へ?」
きょとんとして、ブリギットは顔を上げる。アイゼルは微笑みながら、
「ざっと見たところ、命に関わるようなけがはどこもしていないわ。ただ――、とにかく、疲れ切っているみたい。身体が眠りを欲しがっているのね」
「本当・・・ですのね」
「ええ。しばらく、膝枕でもしていておあげなさいな」
「まあ」
頬を染め、恥ずかしげにうつむいたブリギットだが、アイゼルがその場を離れると、素直に言葉どおりにした。
次にアイゼルはローラントに近づく。鎧をまとってうつ伏せになったままの姿で、ロードフリードと同様、軽いいびきをかいて深い眠りに落ちているようだ。やけどやすり傷は無数に負っているが、致命傷はない。
最後にアイゼルは、『メテオール』を握り締めたまま茫然と立ち尽くしているヴィオラートを見やった。バルトロメウスが話しかけている。
「おい、ヴィオ! しっかりしろ! いったい何があったんだ!?」
心ここにあらずという様子だったヴィオラートが、ぼんやりと兄に目を向ける。
「へ? ・・・どうしたんだろう、お兄ちゃんの声がする」
「だから、俺だよ、ヴィオ! 目ぇ覚ませ、こら!」
「だって、徹夜明けなんだもん・・・」
「ヴィオ!、なに言ってんだ、寝ぼけてるのか?」
「ちょっと待って」
力任せに妹の両肩を揺すぶろうとするバルトロメウスを、アイゼルが止めた。
そして、魔物避けに使う『ガッシュの木炭』をヴィオラートの鼻先にかざす。
「へ――へくち!」
強烈な臭気を吸い込んで、ヴィオラートはくしゃみをした。そして、目を開くときょろきょろと回りを見回す。
「あ――あれ? ここ、どこ? ・・・ふわあああああ」
「おい、ヴィオ」
兄の声に、大あくびをしていたヴィオラートは振り向く。
「お兄ちゃん!」
「ヴィオ! ようやく追いついたぜ。クラーラさんが――」
「お兄ちゃん・・・。――お店番は?」
「いや、そっちは大丈夫だから。それより、お前――」
「お店をほっぽって、こんなところで何してるの?」
「そうじゃなくて、お前、ホーニヒドルフで何をやったんだ!? それから、とにかくクラーラさんが――」
兄妹の会話はまったくかみ合わない。
「ねえ、ヴィオラート」
これでは埒が開かないと考えたアイゼルが割り込んだ。
「へ? アイゼルさんまで――どうしたんですか?」
「訊きたいのはこっちよ。あなたたち、『究極の用心棒』と戦っていたのね」
アイゼルの言葉に、ヴィオラートははっとして、洞窟の方を見やる。
「そうだ! 用心棒は? いくら戦っても、全然倒せなくて――。あいつが、街へ下りて行っちゃったら――」
「今のところ、その心配はないみたいよ」
アイゼルは、くずおれて動きを止めている『究極の用心棒』を指し示す。ヴィオラートはぱっと目を輝かせた。
「アイゼルさんがやっつけてくれたんですか!? すごい! さすがです!」
尊敬の眼差しを向けるヴィオラートに、アイゼルは肩をすくめて見せた。
「違うのよ。なぜかわからないけれど、止まってしまったの。それより、ローラントさんとロードフリードさんは、どうしてしまったのかしら」
「そうだ! ふたりとも、大丈夫なんですか?」
あわててヴィオラートは周囲を見回す。
「あたしが見た限り、ふたりとも大きなけがはしていないみたいね。ただ、ぐっすり眠ってしまっていて、目を覚ましそうにないの」
「あ、そうですか。よかった・・・ふわああああ〜」
ヴィオラートはほっとした表情を浮かべたが、大きなあくびをする。
「あなたも、眠そうね」
「はい・・・。ところでアイゼルさん、今日は何日ですか?」
「へ?」
「おいおい。なにを寝ぼけてるんだよ。今日はな――」
あきれたようにバルトロメウスが日付を言うと、ヴィオラートは納得したようにうなずいた。
「そっか、眠いわけですよ。2日2晩、一睡もせずに『究極の用心棒』と戦い続けていたことになりますから」
「何だと!?」
「あたしは調合で、2晩くらいの完徹には慣れていますけど、ローラントさんやロードフリードさんは――」
「なるほどね」
アイゼルも、半分あきれたようにうなずく。たしかに錬金術士は長時間の徹夜に強い。とはいえ、ローラントにしてもロードフリードにしても、まる二昼夜も戦いを続けていたとは、並みの体力ではない。おそらく、かなりの量の回復アイテムを消費したのだろう。
ヴィオラートの説明を聞きながら、アイゼルはあらためて、テュルキス洞窟の手前の広場を見渡した。頭の中では、ここ数日に沸き起こった、いくつもの疑問が渦巻いている。
ぴくりとも動かない『究極の用心棒』、同じように微動だにせず熟睡しているローラント。ブリギットはロードフリードの頭を膝に載せ、穏やかな表情で、髪や顔にこびりついた汚れをそっとぬぐい取ってやっている。
とはいえ、この風景は、何の説明にもなっていない。ヴィオラートの話に出てきた、テュルキス洞窟を襲って盗賊どもを根こそぎにした“悪魔”とは何なのか。『究極の用心棒』が、なぜあれほどまでに凶暴化して暴走したのか――。

そのとき、頭上から、脳天気な声が降ってきた。
「あれえ、みんな、こんなところで何してるの?」
「へ?」
振り仰ぐと、紺碧の空をバックに、竹ぼうきにまたがったふたつの人影が宙に浮かんでいる。
「マルローネさん!?」
ヴィオラートが、大声をあげた。
「――と、クライスさん」
アイゼルは落ち着いた声で補足し、やっぱりね――と、心の中でつぶやいた。すべてのピースがかちりと音をたて、あるべき場所へと収まっていく。
グラムナート動乱の際、はからずもケントニスからカナーラント王国へやってきたマルローネとクライスは、動乱を鎮めるのに大きな役割を果たしたが、その後もザールブルグへは帰らず、グラムナートの各地を探索していた。そのことは、アイゼルも知っている。
「ねえ、あの人たち、どうしたの?」
軽い音を立てて地面に降り立ったマルローネは、目を丸くして、鎧姿のまま熟睡しているローラントや、ブリギットの膝枕で安らかに眠っているロードフリードを見やった。眼鏡に手を添えて周囲を見渡していたクライスが、あっと小さく叫んだ。
「マルローネさん! あれは――」
「へ?」
クライスの視線の先へ目をやったマルローネは、素っ頓狂な声をあげる。
「ええっ!? どうして、アレが出て来ちゃってるの!? そんなはずないのに」
「やはり、心配していたことが起こりましたね。ですから、私が何度も『大丈夫でしょうね』と念を押したではないですか。それなのに、あなたはちっとも取り合ってくれなかった――」
「いや、だって、デフォルト設定がそうなっていると思ってたし」
「それが考えなしだというのです。根拠のない推測には意味はありません。いつになったら、学んでくれるのですか。本当に学習能力のない人ですね」
「もう! うるさいわね! そんなにポンポン言わなくてもいいでしょ!」
たちまちのうちに、言い争いのボルテージが上がる。アイゼルが強い口調で割り込んだ。
「それでは、やはり、おふたりの仕業だったのですね」
「へ? 何が?」
きょとんとするマルローネに対して、クライスは思い当たることでもあるかのように目を伏せた。
アイゼルがきっぱりと言う。
「テュルキス洞窟に入り込んで、盗賊団を根こそぎ追い払ったのも、あなたたちですね。それから、ホーニヒドルフの村で『惚れ薬』を暴発させて、グレゴールさんを厄介な立場に追い込んだのも――」
「すっごーい。よくわかったね」
マルローネが目を丸くする。クライスは恥じ入るようにもぐもぐとつぶやいた。
「面目ありません」
「へ? そうなんですか? マルローネさんたちが、“悪魔”の正体――?」
ヴィオラートが叫び、やがて納得したようにうなずいた。
「そっか、だから洞窟に『ぷにぷに玉』が落ちていたんですね。それに、今わかりましたけど、爆発があった部屋にかすかに残っていたのは、メガフラムの火薬のにおいでした」
「では、『究極の用心棒』も――? あれも、マルローネさんが関わっているのですか?」
アイゼルが問い詰める。マルローネはあっさりとうなずいた。
「うん、そう。あたしの学位論文のテーマにぴったりだと思ってさ。だって、昔のグラムナートに、今のケントニスやザールブルグよりもはるかに進んだ錬金術が存在していた証拠だもん」
「錬金術? あれが――?」
ヴィオラートもアイゼルも驚いて、『究極の用心棒』の巨体を振り返った。マルローネは得意げに答える。
「そう、あれは――自己修復機能付自律成長型ホムンクルスなんだよ」
「名付けたのは私ですけれどね」
クライスが補足する。
「ホムンクルスですって!?」
アイゼルは叫び、ホムンクルスについてまだ勉強していないヴィオラートはきょとんとしている。
「うん、それにしても――」
ぴくりとも動かない『究極の用心棒』を見やり、マルローネは感心したように言う。
「よくアレを止める合言葉がわかったね」
「へ? 合言葉ですか」
「そう。暴走すると困るから、安全のために活動を停止させる合言葉を設定しておいたのよ」
「でも、それを知らなかったら、意味ないですけど」
アイゼルがあきれたように言う。
「で、その合言葉って、何なんですか?」
ヴィオラートが興味津々で尋ねる。
「忘れないように、親友のシアの口ぐせにしたのよ。――『いいかげんにして』ってね」
「あっ!」
「なるほど、そうだったのか!」
アイゼルとバルトロメウスが振り返り、マルローネとクライスも、その方向に視線を向ける。
「え? 何ですの?」
急に注目を浴びたブリギットは、ロードフリードを膝枕したまま、ばつの悪そうな表情を浮かべて頬を染め、こちらに顔を向けた。


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