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Happy&Happy(ルーエリ篇)

作:美月 倫さん


==ルーウェンサイド==

「ルーウェンさん、4日後に誕生日だそうですね!これ、パーティーの招待状です。」
俺はルーウェン・フィルニール。冒険者をして生計をたてている。俺の前にいる錬金術師の子はエルフィール。
皆、エリーって呼んでる。いつも元気な子なんだけど、ちょっとそそっかしい所があってほっとけないんだ。
今日、俺はこの間のエリーの護衛で剣が折れてしまったので剣を新調しに武器屋に来ていた。
数時間後エリーが武器屋に駆け込んできた。そして俺の誕生日パーティーを開いてくれる事になった。
俺は嬉しさを心の中で押し付けながら平静を保ち招待状を開いてみた。エリーのきれいな字で書かれていた。

=招待状=

誕生日おめでとう!ルーウェンさん!
というわけでルーウェンさんの誕生日パーティーをアトリエで開きます。
飛翔亭の皆さんも来るそうなので是非来て下さい。

エルフィール・トラウム

「ああ、ありがとうエリー。是非行かせてもらうよ。楽しみにしてるからな。」
平静を保ちすぎて少し無愛想だったかな・・・?まあエリーは気にしてないみたいだからいいか。
そうして俺達はその後別れた。俺は2人だけでないのにさみしさも感じたがパーティー自体が嬉しかった。

==エリーサイド==

良かった・・・ルーウェンさん、来てくれるって!うれしい!じゃあ飛翔亭のみんなに伝えに行こうっと!
そして、私は足取りも軽く飛翔亭を目指した。

「こんにちわーーーー!!あ、良かった皆いるいる!あのね、ルーウェンさん来れるって!」
飛翔亭に私が駆け込むと、そこには5人の男女がいた。
「おう、良かったじゃないか。で、今日は依頼の方はないのか?」
私が口を閉じるなり、すぐに仕事の話をした人はマスターのディオさん。
「お嬢さん、元気なのはいいが怪我でもしたらパーティーが台無しだろう。」
お父さんのように、私に注意を促したのはマスターの弟のクーゲルさん。
「でも元気な所が無かったらエリーちゃんじゃないわよ。」
落ち着いてフォローしてくれたお姉さんはディオさんの娘のフレアさん。
「やっぱりフレアさんは優しいなぁ!」
フレアさんの方を向いて目がハートになっちゃってるのがハレッシュさん。
「何にせよ、良かったじゃないの、エリーちゃん。好きなんでしょ?ルーウェンの事。」
艶っぽい声で私にしなだれかかってきたのは踊り子のロマージュさん。
「な、なななんで知ってるんですかぁ!?ロマージュさん!!」
私は慌てた。だってその事は誰にも話していないはずだったから。
ルーウェンさんが好きな事は、私のトップシークレットだったのに・・?なんで・・・?

「お嬢さん、わしらは伊達にこの世界に何年もいるもんじゃないんだ。すぐに分かるよ。」
「そうだな、きっとエリーが気づく前から俺達は知ってただろうぜ。」
マスターもクーゲルさんも・・・・うそでしょー!?じゃあもしかしてここに来てる人みんな・・?
「あら、私は知らなかったわ・・・だって自分がそういう経験ないんですもの。」
「目がそう言ってるのよ。だってあなたルーウェンの方ばぁっかり、向いてたわよぉ。」
「ははは!まぁそういう事だ!俺も気づいてたからな!」
・・・・・うそぉ!私はショックで口が聞けなかった。もしかして・・・・・・・。
「あ、あのー・・・もしかして、ルーウェンさんも・・・・・・・・?」
皆私の質問を聞くや否や、爆笑し始めた。
「あはははは!エリーちゃん!それはないわ!だぁってぇ、ルーウェンったらにぶいんだもの!
「お嬢さん、ルーウェンはあのハレッシュの好きな人さえ、わからなかったんだぞ。」
あのハレッシュさんの好きな人が!びっくりした。だって、私にでもわかるくらいあからさまなんだもの。
そう。ハレッシュさんの好きな人はフレアさん。でもディオさんは全然許す気はなくって・・・。
でもこれは一瞬見たら誰でもわかるものだと思ってた。だって目がハートになってるし(笑)
って事は、安心なんだ・・・。よかったー!もし気づかれてたらもう会えないよ!恥ずかしいもん!

「ははは、ところでエリー・・・ほんっとうに悪いんだが俺は行けないみたいなんだよ、パーティー。」
ハレッシュさんが急に謝り出した。
「ええー!?何でですかぁ?」
「ちょっと護衛の依頼が来ちまってな、悪い!」
うっそー・・・しょうがないか。護衛が仕事だもん。私はあきらめる事にした。ところが。
「あ、そうそうごめんなさいね、エリーちゃん。私も父もクーゲル叔父さんも行けないのよ。」
「店を早々開けられないんだ、悪いな。」
そんなぁ!フレアさんもディオさんもクーゲルさんも来れないのぉ!私はガックリしてきた。
「で、でも!ロマージュさんは大丈夫ですよね・・・?大丈夫って言って下さいよ?」
私の必死の頼みにもかかわらず、ロマージュさんはにっこり笑って謝った。
「ごめんねぇ。ちょっと他のとこでお仕事はいっちゃってぇ、ゆるしてねぇ。あ!このさい、2人だけでパーティーやるのはどう?いいじゃない!ルーウェンもエリーちゃんにまんざらでもなさそうよぉ。」
・・・・・・開いた口がふさがらなかった。まさか皆キャンセルなんて思いも寄らなかった。うそでしょ・・?
おまけにみんながいるから誘えたのに2人でやれなんて、そんなぁ!
「・・・・・・・・わかりました・・・とりあえず帰りますね・・・。」
ちょっとジト目でみんなを見つつ私は飛翔亭を後にした。その後、ある場所へ向かった。

―コンコン!
ちょっと(いや、かなり)緊張しつつ、私はドアを叩いた。
「開いてるぜ、誰だい?」
いつもの明るい声。でも今の私には私をもっと緊張させるものでしかなかった。ここはルーウェンさんの下宿。
「こんにちは、ルーウェンさん。あのパーティーの事なんですけど・・・。」
「うん?まぁ、入りなよ。あんまり片付いてないけどな。」
初めて入るルーウェンさんの下宿は「片付いてない」って言ってたけどすごくきれいだった。私も見習おう。
「で、どうしたんだい?たずねてくるなんて。何かあったのかい?」
「それが、パーティーの日に、飛翔亭の皆来れなくなっちゃったんです。」
ルーウェンさん、びっくりしてる。まぁ無理も無いな。
「それで、2人だけでも良かったらと思って・・・。いや!でもだめだったらいいんですけど!!」
ああ!きっと私今赤面してるなぁ。ここで赤面するのは変だよね・・・。ルーウェンさん、何か言って!!

私たちは少しの時間、沈黙していた。
「エリー。俺うれしいよ、エリーがそんなに俺の事考えてくれて。ありがとう。喜んでいかせてもらうよ。」
「ほんとですか!?よかったぁ。そんなに期待するほどのものにならないかもしれませんよ。」
ルーウェンさんは笑ってうなづいてくれた。
「あ、じゃあ私そろそろ帰りますね。おじゃましました。」
私が帰ろうとするとルーウェンさんは一緒に立ちあがった。
「送ってくよ。すぐだって言っても危ないからね。いいだろう?」
私は素直にその申し出を受ける事にした。夕暮れかかった街を私たちは歩いていた。

あっという間に時間は経ち、もう少し歩いていたかったが私のアトリエについてしまった。
「それじゃあ、今日はありがとうございました。」
一礼して私がアトリエに入ろうとした、その時ルーウェンさんが私を呼びとめた。
「エリー!俺、頼みがあるんだ!今度のパーティー、誰も呼ばないで欲しい!2人だけでやれないか?」
嬉しい頼みだった。もちろん私は了承した。そして、私たちは別れた。

「さぁ!今日中に仕上げよう!そしてー、あ!ラッピングもしなきゃ!」
私はルーウェンさんと別れてすぐにプレゼントの制作にとりかかった。それは、太陽のブローチ
製作日数がすっごくかかるものなんだけど、苦にはならなかった。本当に彼に似合いそうだったから。
それにつけてると強くなるから、私を守っても大丈夫なようにと、祈りも込めて。
私は徹夜でそれの制作を進めた。この分だと、明日の昼頃にできるかな?

=次の日=

昨日予想した時間より少しだけ早く、ブローチはでき上がった。見計らったようなタイミングで誰かが来た。
―コンコン!
誰だろう・・・?依頼なら今は受けられないよぉ。とりあえずいつものように出た。
「はーい!あいてまーす!!」
「こんにちは。エリー、今忙しいのかしら?」
アイゼルだった。アイゼルは私の親友なの。そう言えばこの頃会ってなかったなぁ。
アイゼルは私の側に来るとブローチをひったくった。
「何を作ってるの?手伝ってあげるわよ。貸してみなさいよ。」
とりあえず依頼ではないという事は言ったけど、どう説明しよう??
「どうしたのよ!?コンテスト前にこんな日数のかかるもの作って・・・?」
やっぱり説明しなきゃだめかなぁ・・・でもアイゼルに行ったらまた話がめちゃくちゃになりそう。ごまかそ!
「いや、その・・・ね・・・・・・プレゼントなのよ!!そ、それより!ミスティカティどう?分量を変えてみたの。」
うう・・・ごまかすのが下手だなぁ私は・・・。アイゼルはおいしかったと言ってすぐ出ていっちゃった。
私はとりあえず出来たものをテーブルの上に置いといて昼食をとった。

=2日後=

アイゼルが来て2日後また来訪者が来た。だれかな?私はラッピングのようやく終わったブローチを置いて出た。
2人の来訪者はノルディスとアイゼルで、2人はどこから聞いたのか私たちのパーティーの事を話し出した。
話の内容は私の部屋を飾り付けしてくれるという事だった。悪いと思ったけど無理矢理追い出されちゃった。

=夕方=

私は2人の方はもう終わってそうだと思ったので、アトリエに帰った。予想どうり終わっていた。
行く前より心なしか、2人の顔が赤い気がしたけどあんまり気にしないで2人にお礼を言った。
アトリエは色とりどりの飾りが沢山飾られていた。私は明日に迫ったパーティーをうきうきしながら待った。

=次の日=

ルーウェンさんは約束の時間どうりに来てくれた。私はアイゼルが「着なさいよ!」と言ったドレスを着ていた。
そのドレスは私の錬金術師の服と同じオレンジ色ですごく可愛いもので、アイゼルらしかった。
「やあ。今日はありがとな。」
「どうぞー。あ、そこに座って下さい。」
ルーウェンさんはきれいな工房に驚きを隠せない様だった。いつもが汚いからなんだろうなぁ・・・。
「きれいですよね。アイゼルとノルディスが飾り付けしてくれたんですよ。」
「・・・・・・・いや・・・俺はエリーの方がきれいだと思う。・・・・可愛いよ。」
私は驚きを隠せなかった、だってそんなこといわれたの初めてだったから。
「そ、そんなお世辞言わなくっていいですよぉ!ルーウェンさん!」
ルーウェンさんは今までに見せた事の無いような凄く優しい顔をした。
「お世辞じゃないよ、エリー。・・・・・・なぁエリー?俺の事さ、ルーウェンって呼んでくれよ。やっぱりさ、好きな子にはそんな他人行儀な呼ばれ方、されたくないんだよ。」
「ルーウェン・・私も・・私も初めて会った時から、ずっと、ずっと好きだった!」
私はその後、ルーウェンに抱き着いて泣いてしまった。少したって落ち着いてからルーウェンがつぶやいた。
「エリー・・・俺さ、両親を捜してるって事は言ったよな?それで、見つかったらあんたの事、紹介したい。」
私は何も言わずにただうなづいていた。でもルーウェンにはちゃんと伝わったみたいだった。
私は立ち上がって太陽のブローチの包みを持ってきた。そしてそれをルーウェンに渡した。
「誕生日おめでとう!ルーウェン!」

=後日、飛翔亭にて=

ロマージュ:「ねぇマスター。あの時は面白かったわねぇ。」
ディオ:「あの時?」
ハレッシュ:「ああ!マスター。ロマージュの言ってるのはきっとルーウェンの誕生日パーティーの時の事だよ。」
ロマージュ:「そうよぉ。エリーちゃんったらすっごく不安そうな顔しちゃって。」
クーゲル:「ふふ・・・お前が目で合図をしたんじゃないか。」
ロマージュ:「だぁってぇ2人とも鈍いんだもん。でもいま幸せそうだからいいじゃない。」
クーゲル:「終わりよければなんとやらってやつか?」
ロマージュ:「あぁーあ!私もいい人いないかしらねぇ。」
ハレッシュ:「俺も早くフレアさんと・・・」
ディオ:「なんかいったか!!?ハレッシュ!」
ハレッシュ:「なんも言ってないですよマスター!!ナイフを向けないで!」

その後、飛翔亭ではハレッシュを鬼のように追い掛け回すディオの姿が見られたと言う。


=====あとがき=====

どうでしたか?初めてのルーエリSSです。というかルーエリな部分かなりすくなめですけどね・・・。
かなり省略した部分もあります・・・。でもそこは前作を見て頂ければわかるかな・・・と。
その後どのように2人が幸せそうだったのかは各自でご想像下さい。
ちなみに今回初めてダグラスをだしませんでした。いや・・・なんかこんがらかりそうで。
いつかダグとルー兄さんが対決する話なんか書いてみたいですねぇ。(無理そうですけど)


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