《有難い 左右に振れて 真っ直ぐに》

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 フジテレビ番組審議会で「人権意識が強くなりすぎると良い表現ができなくなり,番組がつまらなくなる」などの発言があったということで,SNSで「出演者の人権を守らなくてどうする」「人権と面白さは関係ない」などの批判が出ているそうです。
 人の失敗を見て大笑いをする,人の嫌がることをして面白がるといった場面がテレビで映し出されて,子どもが大笑いをしていた時代がありました。それはテレビの中という別世界のこととして受け止めていたことで,かろうじて後ろめたさを免れていたと思われます。
 時代は移り,テレビの世界と現実世界が一体になってくると,事情は変わります。普段の世界に理不尽な振る舞いが当たり前のようにしみこんでくると,当事者は受け止めることはできません。劇場型生活を持ち込まれては迷惑なのです。侵害行為や悪ふざけは目的を明らかにした状況で限定したメッセージとして劇場の中に閉じ込めておくべきです。
 テレビには報道機関として実生活に直結した世界を提示しているという責務が課せられています。社会の公器として,その活動の末端まで人権を守る緊張感を保っていなければなりません。そのことが問われているのです。視聴者が勝手に受け止め間違いをしているという言い訳をすべきではありません。人の関心を引く指標である視聴率を番組評価の参考にしていると,気を抜いた際に非現実を持ち出し過ぎてしまいます。いわゆる度を超えてしまいます。度を超えた視聴率も要注意です。
 視聴する側としては,人権をないがしろにした面白さを映し出すテレビ番組を拒否すればいいのです。そういう無頓着な番組を放映する局やスポンサーを生活から排除しておけば,影響を受けることは少なくなるでしょう。ただ,世の中はテレビの世界の他にSNSの世界が拡大しています。無料である個々の表現世界の影響は限定的でしょうが,視聴する側の人権意識が虚弱であると,災いを自らに招き周りに拡散してしまいます。人間らしさを保つ努力が大切になっています。

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(2024年02月25日:No.1248)