《有難い 鍵の言葉が 見えてきて》

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 生きること,生き方について考えなければならないときがあります。その時,「人として」という設定と「人間として」という設定が可能です。人としてという場合には,健康や趣味や生きがいなどといった個人的,生命的な分析をすることが必要になります。一方,人間としてという場合には,誠実や共同などといった社会的な分析をすることになります。
 そこで「人」と「人間」の違いがどのように考えられているのか,ネット検索で2つの意見を探してみました。
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 ●「人」は,一般的には「生物の中でも自らの意思で行動するもの」という意味を持ち広い意味で使用されます。「人」は「人間」という広い概念の一部であり,個人や複数人を指す場合もあります。日常会話では,友達や家族など,身近な他の人々を指す際にも「人」という言葉が使用されます。
 「人間」は,より総合的な概念であり,広義には人類全体を指す言葉です。人間は知能を持ち,言語や文化を持っている存在として定義されます。また,人間は他の生物と比べて高度な社会を築いており,自己意識を持つことも特徴とされます。

 ●生物学の分類上の「人」のあとに関係性を示す「間」を加えると「人間」になります。この「人間」は私たちの高度な社会性に重きを置いた言葉です。図鑑の分類上の「人」とは違い,宗教や哲学など人文学の観点が含まれています。そのため「人間」が示す範囲は,しばしば各人の思想によって変化するのです。
 人と人間の大きな違いはその社会性の規模です。人間はより高度な社会性をもつとされます。ここでは人間だけがもつ3つの特徴についてみていきましょう。
・その1.生物学上の分類
 かつては私たち以外にも,猿人や原人,旧人などさまざまな人が存在しました。この「人」は生物学上,ヒト科のなかのヒト亜族に分類される動物の総称です。そのなかで唯一生き残ったホモ・サピエンスのみが高度な社会である文明を築き,自らを「人間」と呼んでいます。
・その2.言語能力
 人間の社会を支えているのは彼らの言語です。脳と声帯が発達したホモ・サピエンスは,話し言葉を使えるようになりました。そのため人間の集団は,会話によって狩猟・農業を円滑に行うのです。
 さらに人間は文字を利用することで,より複雑な社会を作り上げています。最古の文字は古代シュメール人が発明した楔形文字。文字の発明により,法律や税などおびただしい数の情報を正しく後世に伝えられるようになりました。
・その3.集団の規模
 人間の社会は,とりわけ大きな集団からなります。これは先ほどの言語能力だけでは説明できません。人類学者のロビン・ダンバーによると,本来人が団結できる数の限界は150人程度。この150人というのは,うわさ話を用いて結束した集団での数字です。しかし私たち人間は国家や法律など,抽象的なものを信じることでより大きな集団を維持しています。
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 日常的には,自分や関わりのある他人という個人を表すときに「人」を使っていて,「人間」という言葉が使われることは少ないと感じています。「人が悪い」,「人の目を気にする」,「人がやってくる」などです。
 感情や本能を持って生きている,自然な状態にある個人を「人」と表現しているものと考えておきましょう。一方で,社会的存在であるという一般的な状態にあるときに「人間」という言葉を使います。

 なぜ,人と人間の違いを考えることになったのかという背景があります。福祉の世界に関わっていると,人を見つめ人と関わりを持つことが主要な活動になります。その時に,人という概念と人間という概念が,個人と社会の接点という形でぶつかってしまいます。例えば,福祉の場では地域共生社会という目標が掲げられています。福祉は個人的な人の幸せを目指す一方で,地域社会とのつながりが必至であるという考え方です。人であるためには人間でなければならないという概念の融合を進めなければならないのです。
 人には感情がある一方で,人間は理性があるという,二つの世界をどのようにまとめていくことができるのか,模索の日が続きます。

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(2024年06月02日:No.1262)