家庭の窓
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第2陣の実習生に向けた課題は,「お辞儀で頭を下げる意味は?」としました。いろんな場面で,礼といった動作で頭を下げるお辞儀をします。その形の意味を問いかけます。回答を探すとりあえずの手はずとして,ネット検索をしておきます。
「お辞儀をする」は,「頭を下げる」のもっとフォーマルな表現です。日本文化では,礼儀正しさを示すために広く使われており,感謝や謝罪の気持ちを伝える際にも使われます。西暦の500年頃に中国から伝わりました。日本では数々の出会いの際にお辞儀を用い,日常的に「おはよう」や「こんにちは」「ありがとうございます」などで使うようになったのは,江戸時代だそうです。
頭を下げる行為は、位の高い人に対して日常的に,貴族の間では行われていました。天皇に対しては,謁見の場にて入室する際には頭を下げ,顔を見せないことが通例です。したがって「頭を下げる」そのものの概念は,古くから存在しました。武士の社会になり,朝廷にならう形にて,家来は武将(もしくは従者)が一言を発するまで,頭を上げないことが当たり前のマナーです。ここから交渉ごとなどには,相手に敬意を表する意味で,頭を下げた状態にて相手を待つことが一般的でした。
会釈も軽く頭を下げています。相手に対する思いやりの表現です。ところで,少し外れて,食事の前に「いただきます」と言っています。「いただきます」の語源ですが,「いただく」は神様にお供えしたものを食べるときや,位の高い方から物を受取るときに,頂(いただき=頭の上)にかかげたことから,「食べる」「もらう」の謙譲語として使われるようになったことに由来します。やがて,食事を始める時に「いただきます」と言うようになり,食前の挨拶として定着しました。この「いただきます」には2つの意味があります。1つめは,食事に携わってくれた方々への感謝です。料理を作ってくれた方,配膳をしてくれた方,野菜を作ってくれた方,魚を獲ってくれた方など,その食事に携わってくれた方々へ感謝のこころを表しています。2つめは,食材への感謝です。肉や魚はもちろんのこと,野菜や果物にも命があると考えて,「○○の命を私の命にさせていただきます」とそれぞれの食材に感謝しており,こちらが本意だと言われています。
頭を下げてお辞儀をする形は,大事なものを受け取るために,頭の頂を相手の方に向けようとしているのです。頂で受け取らせてもらうという礼を守って,感謝する形を表明しているのです。日々の暮らしの中にある大事ないのちのつながりをきちんと意識して受け取っている証なのです。これこそが,「ふ」つうの「く」らしに「し」あわせをという福祉を生み出していく仕草となっています。
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