家庭の窓
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空を見上げて流れていく雲に乗ってみたいと思った幼い日があります。孫悟空のキン斗雲(きんとうん)(キン=角偏に力という字です)は,雲に乗って空を飛ぶ仙術であり,それによって呼ばれる架空の雲です。子ども向けの話やマンガで馴染みのものです。そんな情報を得て,雲には乗ることができると単純に信じていた頃がありました。また,「ノンちゃん雲に乗る」という映画も観たことがありました。話の筋はすっかり忘れていますが。
いい年をした大人になってしまうと,雲に乗るという戯言は受け付けなくなっています。ただ,雲を見下ろす場に立ち会うと,なんとなく雲の上に飛び降りてみようかなと思っています。呑気な戯れ言をふいっと思いついて苦笑いです。童心というのは,ときには楽しいものです。
目の前の雲に降りて,少し歩いて行くと,雲の切れ目というか,大きな穴があいたところに行き着くようです。そこから,下界を覗いてみたいという気分になります。そんな妄想に耽っていると,何かしら天界にいるのではという錯覚に陥ります。フワフワした感じに捉まえられて,雲のじゅうたんの上を転げ回りたくなってきます。孫悟空のような仙術が使えないので,おそらく雲に乗った途端にすり抜けて真っ逆さまに落下ということになるはずです。踏み止まる方が賢明のようです。
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