《懐かしい 味につながる 人思う》

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 5月のこどもの日近くになると,ちまきが旬の食べ物となりますが,子どもの頃に口にした「あくまき」が馴染みの食べ物です。母のふるさと鹿児島の食べ物です。今は鹿児島を離れているので,手に入りにくいのですが,最近,通い慣れているスーパーで季節の食べ物として店頭に並ぶことがあり,この5月にも手に入れることができました。所で,あくまきはそれ程一般的に知られているものではないので,解説を転載しておきます。
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 あくまき(灰汁巻き)とは,鹿児島県本土,宮崎県,熊本県人吉・球磨地方など南九州で主に端午の節句に作られる独特な季節和菓子である。
 作り方は,予め一晩ほど灰汁(あく)に漬けて置いたもち米を,同じく灰汁または水に一晩漬けておいた竹の皮などで包み,麻糸や竹の皮から作った糸で縛り,灰汁で3時間〜半日程度炊いたもの。 餅米が煮られることで吸水し膨張するが,水は若干通すがもち米は通さず頑丈な竹の皮で包まれていることで,餅米自らの膨張圧力で餅化する。また、灰汁の強アルカリによって,澱粉の餅化と色づき(アミノカルボニル反応)が行われる。
 灰汁で炊くだけにアルカリ性食品でもあり,ミネラル類が多く含まれる。当地方では「ちまき」と称されるが,一般的な青笹の葉で包まれたものと違い,見た目は「けんそう:台湾のちまき」のような茶褐色の竹の皮で包まれている。中は鼈甲色のケーシング状の餅。一般的なちまきのように餡は入れず,もち米のみである。餅ながらねばりは少なく,水分が多いため柔らかく冷めても硬くならない。他のものに例えるならば,わらび餅や葛餅のねばりを強めたような感じである。
 食べ方は,単体ではほぼ無味である。 このため白砂糖や黒砂糖・三温糖、砂糖と若干の塩を混ぜたきな粉,黒蜜、砂糖醤油をふりかけたりするのが一般的な食べ方であるが,人によっては蜂蜜,溜まり醤油,わさび醤油,ココアパウダーと砂糖などで食べる人もいる。常温で食べるのが一般的だが,冷やしても美味しい。冷やすとえぐみを弱く感じるため,苦手な人でも食べやすくなる。固くなったら軽く暖めると良い。
 切る時は包丁などではなく糸が使われるが,刃物では付着したり柔らかすぎて切りにくいためである。皮で包む際に縛った糸(竹の皮を細く割いたものや,タコ糸を使う場合もある)がこの切り分け用にも使えるようになっている。糸を若干湿らせておいて,ぐるりとあくまきを一周巻いてから縛るように引くと,刃物で切るより綺麗に切ることが出来る。

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 鹿児島に伯母が存命中は,5月になると送ってもらっていましたが,今は,見かけたらまとめ買いして楽しむ程度です。注文買いができるようですが,そこまではまだ踏み込んではいません。定番のきな粉を掛けて食べていると,恰幅のよかった伯母が思い出されて,しばし心和むタイムスリップをしています。

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(2014年05月11日号:No.737)