《安らぎは 無駄を承知で 言い伝え》

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 ある団体が主催する囲碁・将棋大会にお招きを受けて,来賓のあいさつです。背負っている団体の立場からお話をしなければなりません。序列は公的立場の方が先なので,順番は最後です。来賓としてのあいさつに必要なアイテムは語られてしまうので,繰り返すのはどうにも落ち着かないと思えば,全くフリーにならなければなりません。この日曜日には,こんな話で役を果たしてきました。
 おはようございます。○○の○○です。大会の開催をお慶びいたします。さて,ご挨拶も3,4人目となるとお話しすることがなくなって困ります。(余計はことを言わない方がいいのですが)。前の○○議長さんが「先を見通す」ということを言われていたので,その続きをお話しします。
 これから皆さんは盤面を前にしてああでもないこうでもないと考えることになります。どうにもならないとなると投了です。対局はなんとかならないか,どうにかできないか,ということを考え続けることが勝ちにつながります。考えるとはなんとかなると,できることを探し出すことです。できないことを探し出しては,先に進むことができません。皆さんは何とかしようと考えることのできる方たちです。
 私たちの組織は皆さんの暮らしの安心を作るお手伝いをしています。その中で,あれもだめ,これもだめとしか言わないのは何も考えていないことになるので,発展がありません。こうしたらどうだろうとできることを考えることの得意な皆さんの力が何より頼りになります。「考えておけばよかった」という後悔はしたくないですね。だから,「考えておいてよかった」と安心するようにしましょう。今後とも考える力を暮らしの中でみんなのために出して頂けるようにお願いして,あいさつといたします。どぞ,考える力を悔いのないところまで発揮されますように,頑張ってください。
 年寄りのどうでもいいお言葉といった感じでしょうが,こういう話をすることが年寄りの役目だと思い込んでいます。当たり障りのないというか,何の内容もない話で聞き流すだけでは,時間の無駄です。誰かが何か一つを聞き取ってもらえばいい,あるいは後になって,誰かが同じようなことを言っていたなと思い出してもらえばいい,そう思っています。暮らしに使ってほしい力はどういうものか,意識するためにのお手伝いができれば,言い残しておきたいのです。

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(2017年06月18日号:No.899)