*****《ある町の人権擁護委員のメモ》*****

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【見ようとすれば?】


 人は情報社会の中で暮らすようになって,情報の過剰負荷環境にさらされて,ストレスが高じ,見えない引きこもりで対処しようとしているようです。例えば,必要最小限の会話で済まそうとしたり,周りの情報を余計なものとして見なくなったり,自分に向けられた情報とは思わず忌避したり,不都合なことに対しては自分を埒外に置いて他者のせいにしたり,直接他者と接触せずに社会的な仲介機関を利用したりする傾向に向かっています。
 その仲介機関の一つである人権相談には,電話相談と面接相談,さらには小中学生を対象とするSOSミニレター相談があります。その方法の特性をおおよそ把握しておくのもいいでしょう。電話は声だけ,面接は声と表情の情報を受け取ります。感情表現という面で比較すると,喜び,不快,怒りなどは表情だけで,恐れは声だけで正確に伝わるということです。驚きは声と表情の両方で伝わりやすくなります。電話の場合,恐れは伝わりますが,喜びや不快は伝わりにくいようです。
 手紙では,内容はともかく,書かれた文字に性格が現れます。筆跡学によると,大きい字を書く人は,自信が強く積極的であり,字の小さい人は,慎重で正確さを重んじる人です。角張った直線的な字を書く人は慎重で理性的であり,曲線的な丸みのある字を書く人は社交的で適応力のある人です。右肩が上がった字を書く人は感情的で感覚が鋭いが,右肩が下がる字を書く人はデリケートで気取り屋であり劣等感を持っています。筆圧の高い人は真面目,理性的,神経質であり,筆圧の弱い人は社交的,快活,意志が弱い,感情的です。
 ミニレターに返事を書くとき,子どもの字に現れている性格に沿うように,言葉遣いや文体を整えるようにしたら,伝わりやすくなります。さらには,気持ちを理解して支える面と,状況を論理的に整理して見通しを示す面を,子どもに会わせた配分にすることもできるでしょう。
(2010年06月09日)