【人権啓発活動の推進:その1】
我が協議会でも人権啓発活動の一環として,人権教室を開いています。ただ協議会として取り組んでいるという体裁にはなっていません。個人による積極的な取組におんぶしている有様です。そのことが良いように働いて,それぞれの工夫が活かされた特徴のある活動が進められています。ただ,組織として整備されていないために,活動の広がりや深化ができにくいという側面が見られます。そのような現状を整えようと思い立ち,「人権教室推進委員会」の立ち上げを画策しました。
人権教室のあれこれを考える専門部局を作って,活動を組織的に支援しようという目論みです。主立った役員に集まってもらって,準備会を開催しました。ところが,最初の会議では,メンバーの人権教室に対する認識や立場が多様なために,協議が拡散していきました。これまで,組織としてのスタンスを議論してこなかった付けが現れました。数回は,概念の構築に向けた協議を重ねなければなりません。
準備会の進行は,総務委員長に任せたので,そばから見守ることにしますが,会長としての考え方をまとめておくことが必要です。協議会としての認識に対する責任があります。そこで,第1回会議の議事録を参考にして意見の分類を行い,それぞれに対する考え方を整理しておくことにしました。以下がその概要です。
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第2回推進委員会に向けて
(議事録に答えて)
【人権教室】
○「人権教育啓発推進法」の中に定義がある。
・法律では小中学校児童生徒に対する啓発を人権教育という
○法律に照らして,実施していることは正しいのか,これからどうするのか?
→ 教育と啓発の区分けを:啓発は現在の擁護推進,侵害防止の活動
教育は将来に向けての道筋,実行力の育成の活動
○人権教室とは?:イメージが見えない
○人権教室を語る場が欲しい
○先ずは基本的な議論を?
○人権教室の議論をもっとすべきでは?
○人権教室ではなく人権啓発でなければ,大人・高齢者が対象にならないのでは?
○教室とは集団に対する教育であり,どのような年代にも当てはまるのでは?
○人権教室とは何か,を誰かに提案してもらって議論しては?
●この会議では,広い意味での人権教室を対象と考える
→ 教室とは,「野球教室」のような実践的能力向上を目指すための修練の場とする
「人権研修」という形も有り得るかも?
【委員会位置】
○人権の花運動はネットワーク事業にうつった。その代替事業を作る会議では?
→ 人権の花運動に「教室」という活動をはめ込むことが協議会活動
○統一した委員会組織が必要か?(人権教室の方向性を決める場では)
○既に人権教室を実施している部会と,推進委員会との関わり方は?
○地域での人権教室の担い手など,地域活動との兼ね合いは?
○委員会を総合シンクタンク,各部会を実動部隊としては?
→ 協議会システム → 活動部局 → 市町部会:常務委員
専門部会:部会長
→ 企画部局 → 総務委員会
教室推進委員会
○地域の実情に応じた活動が必要だが,現状では地域全体でまとまり動くことはない
・協議会の情報も届いてこない → 組織としてのシステムづくりが必要では?
→ 市町ごとの連絡会議を定期開催するようにしては(特設相談とリンク)
【県連との関係】
○県連子ども委員会の冊子では不十分であり,きめ細かい学習が必要
○県連子ども委員会の取組が,協議会につながっていないのは?
○人権教室は,協議会独自か,県連主体なのか?
・全連と各県連に差があり,協議会にも差がある。県連は情報交換を
→ 県連では,啓発・相談活動の一端として人権教室(各教育機関)を取り上げ
【委員会機能】
○委員会は実動部隊か方針策定か専門家チームを作るのか?
→ イメージの共通認識,方向付け,中身を詰める,コンセプトづくりの場に
●協議会での人権教室の企画をする参謀本部的なもの
→ プログラムの準備,人権教室の仕掛け作りなど
○委員会メンバーにプログラム作成の時間があるか?
・経験を活かして,誰にでもできるプログラムを
○教師との関係や,教材の選択など,コンセンサスを形成する場になれば
○幼稚園や高齢者の集まりを訪問したが,地元の委員だけのアイデアは行き詰まる
・拠り所が欲しかった。この会に期待している。
○人権教室の実践のほかに,学校での人権教育をチェックする役割も期待されている
○具体的な実践にはバックアップ体制が必要。
【啓発主題】
○誰にでもできることより,委員として伝えたいことは何かが重要
●伝えるべきことを発信しなくては
→ 各部会が持っている問題意識,情報の中核にしたい
○対象者の多様さもあり,共通理解は流動的なので,固める必要は無い
・問題を出し合って,整理したい
○今話し合っている中から,方向性が出てくるのでは
【実践方策】
○人権教室の今後の課題を整理するために
・誰が実施する(WHO):部会,市町活動として,各委員が実践者に
・実施先の確保はどうする(WHERE):案内や申込を
(WHEN):事業・イベントなどとの連携
・内容はどうする(WHAT):現下の人権課題から(相談等の分析)
・目的はどうする(WHY):救済との関連を明確化,意識化
・実行はどのように(HOW):ビデオ,紙芝居,講話,冊子等を利用
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人権教室のイメージを掴みかねている様子がうかがえます。疑問の一つ一つに丁寧に答えていくことで,共通認識ができていくはずです。さらには,我が協議会独自の認識が出来上がってもいいことですので,自然に任せていこうと思っています。今後の協議に期待しています。(続く)
(2011年10月29日)