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【偏見の壁?】
観光地などで外国人が騒いでいるのを見かけて、「外国人は本当にマナーが悪い」と腹を立てている人が少なからずいます。同様に、小さな子どもが騒げば「子ども連れはうるさい」と、怒ったりもします。
実際には外国人や子ども連ればかりでなく、成人の日本人のグループで騒がしい人々はたくさんいます。けれど、「外国人は」「子どもは」などとひとくくりでレッテルを貼ってしまいがちなのは、どうしてなのでしょうか。
これは、少数派に対する誤った関連づけという心理が作用しています。人は目立つ存在に対して、極端な判断を下す傾向があるのです。心理学者ハミルトンらの実験に、次のようなものがあります。Aという大集団とBという小集団を想定したうえで、被験者に、人間の日常の行動について、どちらの集団の人間が行ったものかを予想させる、という記述実験を行いました。すると、日常的に好ましい行動に関してはA集団の人が、好ましくない行動に関してはB集団の人が行ったという回答が多くなりました。
これは、Bが少数派であるということと、好ましくない行動が少ない行動様式であるという二つの関連の項目が、誤って関連づけられてしまったのが原因で行われた評価です。
こうした認知のゆがみは、人に対する偏見や誤解などの原因になります。人種や国籍、宗教による差別、性差別、年齢や職業による差別など、いわれのない差別は、こうした認知のゆがみから生じていることが少なくありません。
このような、自分以外の少数派に対する偏見を、外集団認知の錯誤といいます。
(2014年05月05日)
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