|
【復習?】
人権擁護委員指導者養成研修において,グループ協議があり,意見交換がなされました。時間が限られている中で,全国各地の多様な状況にいる委員から述べられる意見を収束することは困難であるという想定がなされたのでしょう,予め意見調査のアンケートがなされました。その意見のいくつかが協議の席で発言されました。発言されなかったものも含めて,参加したグループの協議を簡単にまとめておくことにします。
1.委員組織体の現状及び問題点について
【委員の問題】
組織体の活性の度合いは,その構成員である委員のあり方によって決まる。
○最も基本的な問題として,人権擁護委員としての意欲を持った方が必ずしも推薦されていないのではという指摘が上がってきた。
推薦者である自治体の担当者が人権擁護委員の役割を理解しているとは言えず,委員候補者として既に他の役職に着いている方などを当てる傾向があり,したがって,年間数回でいいという誤った仕事観によって説得をしているようである。
一方で,推薦された方は,たいした役ではない,名誉職といった意識で引き受けられることもある。
結果として,組織体が行う事業や活動,会議には欠席が多く,一部の委員や女性委員に負担が掛かっている。
○就任前に聞いたことと就任後にすることが全く違っているということで,委員の就任期間が短くなっている。そのために,経験を活かすことができない,継続的な活動ができないという組織としての問題が出てきている。
○人権擁護機関としての重要な役割である調査救済などに必要な専門性や,事務処理上に不可欠なITスキルの要望に応えることのできる人材は極めて少ないという現状もある。
【組織の問題】
※組織活動の要である「事務局」が十全な機能を果たし得ない事情もある。
○事務局員を引き受ける委員が見つからないということがあり,したがって,数人で交代勤務をすると業務の引継に支障が出るという弊害がでている。
○事務量が多すぎるということがあり,その軽減化に必須のネット環境が整っていないという問題点もある。一部には,整備されているというところもある。
※「組織間の連携」が取れていないと,活動の広がりと深まりに影響がある。
○協議会の間,連合会と協議会の間,全連とのつながりが,不十分である。
※委員の資質向上を図るはずの「研修」が,いろんな意味でミスマッチをしている。
※組織を動かす「運営」が制約を受けて機能していない部分を抱えている。
○会議回数・時間の不足,情報の不伝達,事業の評価・改善の未実施,予算不足など,さまざまな制約は相互に有機的につながっていて,解決は難しい状況にある。
2.委員組織体は,今後どうあるべきか
【委員の対応】
※委員の推薦に対する対応として
○自治体職員に委員活動を熟知して貰い,兼職でない,専門家の推薦を依頼する。特に,消極的な委員は他の委員の負担になるという認識を持って貰う。
【組織の対応】
※「事務局」の整備充実に向けた対応として
○事務局専従体制,有給の雇用(拠出金)などの実現も考えることも必要である。実際,拠出金を集めているところもある。
○企画担当委員を有効に活用することを考える。
※組織間,他組織との「連携」に対する対応として
○関係機関,協力機関等とのネットワーク,連絡会議,交流会などを構築するような働きかけをすべきである。
※「運営」面での対応として
○事業・活動を精選し,効果的な啓発・相談を充実する。
○有機的に噛み合う委員会運営を行う。
○公的補助金の確保・拡充を要請する。
3.委員組織体の体制を充実・強化するための具体的方策について
【委員の方策】
○活動する意欲のある人を選ぶことができる体制を自治体と共に作り上げる。
【組織の方策】
※「事務局」における可能な方策
○事務業務の分担化,IT導入による効率化の推進を求める。
※「運営」面における可能な方策
○企画委員会を設置し,組織全体に目配りをする。
○企画常駐委員制度を積極的に取り入れる。
○事業のまとめや検証を確実に行い,必要な委員会の設置も柔軟に考慮する。
○人権教室の増加する要望に応えるために,講師派遣制度を導入する
※「情報」の共有を進める方策
○全連から委員個人までの情報伝達網を整備し,報告や資料を共有する体制にする。
○活動記録・報告を整備しマニュアル化し,事例集などの教本を作成する。
○組織内,組織外への広報の整備と拡張を実現する。
※「研修」を充実する方策
○相談対応スキル,ネットスキルなどの向上のための研修を開催する。
●第3次研修以後の研修も必要である。
(2014年09月15日)
|
|
|