*****《ある町の人権擁護委員のメモ》*****

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【予習3?】


 人権といわれるものにはどういうものがあるのでしょうか。世界人権宣言では30条の条文として数え上げられています。少ないようでいて,把握するには難儀します。それぞれの条文が言わんとしている内容がとても大きいために,全体的な理解につながりにくいのです。もう少しまとまりが進めば理解しやすくなるのですが,その体系化がなされていません。
 人権とは人が生きていく権利であるといわれます。しかしながら,人が生きていくことがどういうことか,そのまとめがなされていないから,個々の権利がつながっていかないのです。そこで,人権というイメージを理解するために,人はどのように生きているのか,独断で整理をしてみました。それが以下の6つの項目です。その上で,さらに,人権の条文を,その6つにとりあえず無理矢理にグルーピングしてみました。なお,各項目の括弧書きは権利侵害の具体的な態様の例です。

 1.WHO:決定:「考えて決めるのは私」(強要・強制)
   ○自由平等
   ○思想、良心、宗教の自由
   ○集会、結社の自由
   ○私生活、名誉、信用の保護
   ●権利と自由に対する破壊的活動の禁止

 2.WHERE:安心:「私に必要な場は安心」(追放,シカト)
   ○生存、自由、身体の安全
   ○法の下に人としての承認
   ○国籍の権利
   ○婚姻と家庭
   ○移転と居住の自由
   ○生活の保障
   ●迫害からの避難
   ●差別待遇の禁止

 3.WHEN:対話:「私が欲しい一時は対話」(誹謗,中傷)
   ○意見、発表の自由
   ○法の下における平等
   ●奴隷の禁止

 4.WHAT:互恵:「私が心していることは互恵」(搾取,詐欺)
   ○参政権
   ○社会保障
   ○社会に対する義務
   ○人権を守る社会的国際的秩序の確保
   ●裁判所の公正な審理
   ●無罪の推定、罪刑法定主義

 5.WHY:希望:「私が生きようとするのは希望」(非難,否定)
   ○休息、余暇
   ○教育の権利
   ○文化権
   ●非人道的な待遇または刑罰の禁止

 6.HOW:挑戦:「私がしたいことは挑戦」(門前払い)
   ○労働の権利
   ○財産の権利
   ●基本的権利の侵害に対する救済
   ●逮捕、拘禁または追放の制限

 それぞれの条文が,「私が生きていく上でどのような意味があるのか」という一人の人間を見据えない限り,人権を理解することはできません。人が生きていく上で何が不可欠なのか,そのことを抜きにして人権を想定することは,一貫性を欠くことになっているように感じています。この迷いをどのように解消できるのか,考えていく必要があります。今その一歩を進めたばかりです。歩み始めたばかりですが,とにかく歩まなければ始まらないのです。気長に整理をしていきましょう。

(2014年08月15日)