*****《ある町の人権擁護委員のメモ》*****

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【平成27年度総会における会長挨拶】


 ○○人権擁護委員協議会の平成27年度総会を開催するにあたり,一言ご挨拶をいたします。
 委員の皆様方には,平成27年度が立ち上がって間もない何かとご多忙な中、ご出席をいただきありがとうございます。
 御来賓の皆様方には,平成26年度を通じて,当協議会の諸活動に対して多大なるご支援と深い御理解を賜り,ありがとうございました。お陰をもちまして,当初に計画しておりました事業を滞りなく終えることができましたことを,ご報告させていただきます。
 本日は,何かとご用繁多の中にもかかわりませず,御臨席を賜りましたことに厚くお礼を申し上げます。総会審議の中で,平成26年度の協議会活動を見届けていただき,平成27年度も変わらぬご支援とご鞭撻をお願いいたします。

 さて,平成26年度の協議会活動,部会活動,地元の活動に,委員の皆様方は精力的に取り組んでいただきましたことを,深く感謝いたします。
 活動を振り返ってみますと,人権相談については,平成23年度に,委員の取り扱い件数が2000件の大台になって,26年は2,400件に伸びています。特に,特設相談件数が750件から1000件へと増加しており,委員一人当たり25件の相談を受けたことになります。
 子どもの人権110番などの全国一斉相談も徐々に件数が伸びています。
 SOSミニレターも県内ではここ数年1000件程度で,その内ほぼ400件が当協議会関係です。皆様の適正な返信に対し,お礼のレターもたくさん届いており,子どもたちに信頼されるレターとなっています。
 また,啓発活動については,中学生の人権作文の応募数は,25年度の応募数5,000編を残念ながら割り込んでしまいましたが,我が協議会から推薦した作文が全国大会で法務事務次官賞をいただくという結果をご報告できることはうれしいことです。各自治体でも独自に作文等の募集をしていることと思いますが,全国への応募を是非勧誘していただきたいと思います。
 人権教室の開催は,36回,対象人数はほぼ3000名と増えてきています。当協議会独自の人権教室推進委員会も委員の皆様の意欲を高めることに努め,人権の花活動支援に結びついた機会とは別に、新たな教室の開催が増えてきたことはとても喜ばしいことです。この流れが平成27年度も,よりいっそう進むように,皆様の知恵と経験を注ぎ込んでいただきますように願っております。
 ところで,人権擁護機関に対しては,人権相談,人権啓発はもとより,人権救済の活動が期待されています。救済に向けた活動の一環として調査救済の活動を行うために,25年度に委員の皆様にアンケートを取って体制の準備をし,26年度に稼働して参りました。その実績を評価すると,県全体の関与の割合に比べて当協議会の割合はかなり低くなっています。この状況を改善するために,当協議会のすべての委員に,調査に同行したりして法務局職員と侵犯事案について意見交換をすることは人権擁護委員に求められる役割であるという自覚をもって,調査への関与の機会を十分に生かしていただくことを,お願いすることにしました。お手元にお配りしている調査救済の要領に沿って,27年度は調査救済の活動を進めて参りますので,ご協力をよろしくお願い致します。

 昨年1月に障害者権利条約が批准され2月に発効して以来,障がい者の権利を擁護するための国の法律や地方自治体の条例による体制も整備されてきました。この3月には「○○市に障がい者差別禁止条例をつくる会」による差別体験アンケートの報告書が発行されました。このような動きに寄り添うことも時宜に適うことであると考えて,障がい者問題に関わる体制づくりと学習をこの総会で皆様に提示することにしました。

 私たち委員一人ひとりが担う人権擁護の活動は小さなものですが,組織としての活動に束ねていけば,人権侵害に遭っている人のために,少しはお役に立てるのではないかと思い,皆様方の積極的な活動の上向いている実績を継続できるように,協議会としての活動を進めて参ります。
 本日の総会が皆様の新しい一歩へつながることを願って,挨拶と致します。
 
《補足》
 調査救済への関与について,平成26年度までは体制の発足に伴う試行時期でもあり関与を希望した委員にお願いをしていました。本格的な活動に向けて,すべての委員が関与するような運営に移行することにしました。直接に相談を受けた事案,所属している部会に関わる事案,居住市町での事案など,各委員に関連のある事案の中で人権侵害の疑いある事案について,法務局第二課より調査に同行する打ち合わせの連絡が入ることになります。できる範囲で積極的に調査に関与していただくようにお願いをいたします。

(2015年06月12日)