*****《ある町の人権擁護委員のメモ》*****

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【あら探し無用?!】


 一寸法師は,お椀の舟に箸の櫂をこいで,京の都に上ります。そこで三条宰相に召し抱えられ,宰相の娘に一目惚れし,芝居を打ちました。
 神前に供える米を眠っている娘の口に付けて,泣き叫びました。「姫様が食べちゃった」と訴えると,宰相は「そんな娘を都にはおいておけない」と,二人を難波に追放します。その道中,嵐に遭って,孤島へ流され,その島の鬼と針の剣で戦って,退治します。鬼が忘れていった打ち出の小槌で,背の高い青年に生まれ変わりました。
 その後の一寸法師の消息は「御伽草子」にあります。
 姫と二人,京に戻った一寸法師は,帝に呼ばれて宮中に参内し,先祖を調べると,祖父は無実の罪で流人となった堀川中納言の息子,祖母は伏見少将の子ということが判明します。帝は一寸法師を取り立て,堀川少将としました。それから,一寸法師は故郷の難波から父母を呼び,3人の子どもに恵まれて,中納言まで出世しました。
 おとぎ話を読み聞かせているとき,子どもに何を伝えているのでしょうか? 普通の子ではない一寸法師が健気に戦って奇跡を起こし,立派な男性に成り代わった夢物語でしょうか。一目惚れして姫の気持ちなど構わずに謀により押し切った男らしさ?でしょうか。
「めでたしめでたし」と締めくくることで,苦あれば楽ありとの人生教訓でしょうか。
 現実的な話ではなくても何か意味があると考えてみてください。人は至らないことや過ちをしながらも,どこかで修復しながら生きていけると・・・。
(2015年11月12日)