*****《ある町の退任人権擁護委員のメモ》*****

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【生きる羅針盤の提案(59):子声掛け5】


 人権宣言等から導き出した「人権羅針盤」は,人権という言葉が目指すものに言い換えると人が穏やかに生きるための羅針盤と考えなければなりません。だからこそ,先に示した子どもの育ちを考える羅針盤としても有効になることができたのです。ここでは,「生きる羅針盤」としての様子を描き出しておくことにします。ふと立ち止まって,「生きるとは?」という疑問に出会った際に,その思考のお手伝いができたら幸いです。

 「私が生きる羅針盤」を考える第59版です。子育て中は、子どもへのポジティブな声かけを心がけると自分の心もぱっと明るくなり、子どもの感情が安定しやすくなり、ママやパパが怒らなければならないことも、減る可能性があるので、口癖にしたいフレーズを5つ紹介している記事が目にとまりましたので,生きる羅針盤に参照してみました。
  ※参照先の「口癖にしたい子育てが明るくなる子どもへの声かけBEST5」は こちらです。

生きる羅針盤の提案(子声掛け5)です
【がんばってるね!】
《説明》子どもが何かを頑張っていたときは,「がんばってるね!」あるいは「がんばったね!」という声掛けがおすすめです。これは,子どもが出した結果を褒める言葉ではなく,結果に至るまでの子どもの頑張りを「見てるよ」と優しく認める言葉といえるでしょう。子どもにとって,大切なのはパパやママに認められることです。とりわけ「頑張り」というプロセスを認めてもらえることで,子どもは頑張ることの価値を知ることができます。「がんばってるね」は,運動会の徒競走など,順位や点数がつくものにだけ使う言葉ではありません。一所懸命に食事を食べているときでも,遊んでいるときにでも使え,子どもにさまざまな自信をつけさせることができます。

※私たちが子どもの育ちを促すように働きかけるポイントは,もう一人の子どもが自分をありのままに認めるように導くことです。そのために,親の言葉かけを素直になぞれるようにします。親の口まねをすれば,落ち着けるという経験を重ねることで,もう一人の子どもがやがて自分への声かけの仕方を身につけていくことができます。親がお手本を見せるのです。自尊心は,自分を認めることから始まります。《WHO》

【ケガがなくてよかったよ!】
《説明》子どもが何かを落としたり,ぶつかったりしたときに,ケガがなければぜひ「ケガがなくてよかった!」と声をかけてみてください。例えば皿を落として割ってしまったような場合,パパやママがかけてしまいがちなのが「何やってるの!」という言葉です。しかし子どもはわざと皿を落としたわけではないため,何をやっているかと言われても困ってしまい,罪悪感や恐怖感が非常に大きくなります。それがわざとではなく失敗だとわかっているのなら,「責められた」と感じさせることのないよう,まず「大丈夫?ケガはない?」と聞いてあげるのがおすすめです。ほっとすると,自分から「ごめんなさい,失敗しちゃった」と反省してくることも多いはずです。

※私たちが子どもの育ちを促すように働きかけるポイントは,普段とちょっと違う状況に出会って混乱しているときに,子どもに寄り添って守ってくれる人がいることを確認させることです。まずは安心な状況に導いてやるように接します。そうすれば,子どもは自分を取り戻すことができます。親が見ていてくれる,見守ってくれている,その安心があるから,前向きに立ち直りができます。《WHERE》

【そうかー,そうだよね】
《説明》子どもがなにか,気に入らない気持ちやつらい気持ちを表現してきたときに役立つのが「そうだよね」という言葉です。もし子どもの感情が,あなたにも「無理もない」と思えるものだったら,「そうだよね、わかるよ」と共感を示してあげましょう。例えば,友達同士のコミュニケーションがうまくいかなくてわが子が誰かを批判したときや,頑張ったけれど思いどおりの結果が出なくて落ち込んでいるときなどは,まず「そうだよね」という共感の言葉があると子どもの心を開きやすくなります。もちろんわが子が理不尽なことを言っていると感じることもあります。単に頑張りが足りなかっただけだろう,と声を掛けけたくなることもあるでしょう。しかしそうであっても,最初に「でもさ」や「そんなこと言っちゃ駄目だよ」といった,わが子を否定する言葉を使ってしまうと,子どもは心を閉ざしてしまいます。

※私たちが子どもの育ちを促すように働きかけるポイントは,もう一人の子どもの表現をまずは素直に受け止めることです。会話はキャッチボールと同じなので,多少変な球でもとりあえずは受け取らなければなりません。言葉を交わしながら,了解したことと尋ねたいことを織り交ぜ,双方の納得に至るようにします。言葉少なく、いきなり注意をするといった,対話の手抜きをしないことです。問答無用は関係の拒否になるので,回避しましょう。《WHEN》

【・・・・・】
《説明》・・・・・

※私たちが子どもの育ちを促すように働きかけるポイントは,親と一緒にいる今,この場であるべき状況を子どもにきちんと伝える言葉をかけることです。公共の場では,静かにすること,道では飛び出さないこと,出会う人に挨拶をすること,手を貸してもらったらありがとうと言うこと,マナーや責任のある振る舞いなど,親がしている行動を一緒にすることで伝えていく機会を大事にします。背中を見て育てようとするだけではなく,一緒にすることで、育ちを促す言葉かけをしましょう。《WHAT》

【大丈夫,なんとかなるって!】
《説明》生きていくうえで,深く考えることはとても大切です。一方で,考えすぎるよりも体を動かすほうがいいこともある,ということも教えてあげたいですよね。とりわけ子どもに不安の感情が強いときや,「あとは実践するのみ」という段階に至っているときは,「大丈夫だよ,なんとかなるよ,とりあえずやってみようよ」と声をかけることが大切です。もちろん,つまづくこともありますが,結果的にどうにかなることは多いですよね。「なんとかなった!」の経験は,子どもに「失敗してもいいんだ,成功するとわかっていなくてもチャレンジしていいんだ」と教えてくれるでしょう。成功するかどうかわからないものに一歩踏み出すのは,誰にとっても勇気のいることです。「やってみようよ」だけでは手足が動かないとき,後押しをしてくれるのは「大丈夫!」のひとことかもしれません。

※私たちが子どもの育ちを促すように働きかけるポイントは,次に向けて歩みを進めるようにきっかけを与えることです。育ちは明日への旅立ちであり,そのためには今ここでの一歩が大事になります。育ちの先は子どもには未経験なので,不安や躊躇がつきものです。急がず慌てず,安心を見届けながら,そっと踏み出す勇気を引き出してやることが大事です。転ばないように支えるのではなく,転んでも大丈夫なように守っておくことです。《WHY》

【すごくいいね!】
《説明》「すごくいいね!」は,褒め言葉だと思われる方も多いでしょう。しかし正確には,褒めるだけではなく,相手のすべてを肯定することのできる「肯定言葉」です。子どもが何かをやり遂げたり,頑張りを見せたりしたときでなくても,「すごくいいね!」ならいつでも使えるでしょう。例えば,子どもが「今日は,○○ちゃんと公園で遊んできた!」と報告してきたときは,「すごくいいね!」と反応することができます。「ふーん,そうなんだ」などと言われるのに比べて,子どもは自分の行動が肯定された,自分の行動が認められた,という気持ちになれるはずです。「すごくいいね!」は,SNSの「いいねボタン」に似ています。パパやママはいいと思ったよ,という気持ちをストレートに伝えられる言葉です。

※私たちが子どもの育ちを促すように働きかけるポイントは,もう一人の子どもが自分の育ちをきちんと認知する手助けをすることです。子どもがしたことを話したとき,それが当然であると聞き流すのではなく,「できたね」と認めてやれば,それはもう一人の子どもが受け止めます。試験で60点であれば,60点できたねと認めることで,次の70点を目指すことができます。60点じゃだめと言ってしまうと,育ってきた60点を否定されるので,だめな自分と閉じこもるだけです。今を認めるから、挑戦できるのです。《HOW》

○以上,私たちが子どもの育ちを促すように働きかけるときには,子ども今の育ちを見届けて,育とうとする子どもを,もう一人の子どもと一緒に応援することです。育てようとすると,子どものペースとずれてしまうので困惑が生じます。子どもと並んで共に前を向いているつもりで,寄り添う言葉かけをします。同行親子なのです。
 口癖にしたいフレーズ5つを「生きる羅針盤」に対応させてもらいました。これまでの対応事例と同じように,あまり違和感もなく整理をすることができているはずです。それぞれの想定している世界観における具体的な表現は違っていても,人が思い至る幸せに生きる境地は本質的に同じ構造になっているようです。それぞれを別個にしておかずに,まとめていく作業から,人の生き方について深い理解が得られるのではないかと期待しています。

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 社会に真剣に向き合って生きていくことは,人として誰もが願っていることです。ただ人には本能から派生する弱さもあります。その弱さを押し込めていく意思が必要になります。そしてその意思は目標を必要とします。それが羅針盤なのです。
 人としてすべきことから外れないようにすることは大事であり,それは誰にとってもできることであり,気持ちの良いものです。しあわせは誰かだけにあるのではなく,皆に同時にあるものです。権利を守る,言葉は堅く響きますが,人として生きていく自然な姿であればいいのです。

(2026年03月22日)