〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇 2000/12/24 〇〇〇〇
【子 育 て 羅 針 盤】
★パパコラム★
『ブランドで 装うあなたは 何隠す?』
(第14号)
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連れ合いが着替えをしているとき,目の前に背中を向けてすっと立ちます。洋服の背中のボタンかファスナーが止めてほしいと待っています。小さなものなので苦労します。どうして女性の服はもっと大きな留め具にしないのだろうと思います。実用よりおしゃれが優先するのでしょう。もっとも男の手に合わせていたらおかしいのかもしれません。因みに,おしゃれとしゃれこうべとは同じしゃれ(さらされるの意)だとご存じでしたでしょうか?
かつてシンデレラコンプレックスという言葉が流行りました。シンデレラが王子に見初められたのは,煌びやかな宮殿での舞踏会でした。もし貧しい市井の一角にひっそりと暮らしている身なりのよくないシンデレラであったら,王子の目には留まらなかったでしょう。人の魅力は出会った場所に左右されます。恋人時代はクリスマスをホテルで過ごす華やかさでお互いが魅力的に見えてしまいます。恋の手練手管です。目出度く結婚してごく普通の生活になると,メッキが剥げたような失望を味わうかもしれません。夢から覚めたことに耐えられなくなったら,破局です。場所の目くらましを割り引く落ち着きを示すのが大人なのでしょう。
鳥や虫で彩り豊かな姿をしているのは雄です。鳴くのも雄です。雌は聞こえれば用が足せますのでことさら鳴くこともなくおとなしくしていてもいいのです。基本的なコミュニケーションは両方から発信する必要はありません。連れ合いにもう少し身なりに構ったら言われながら,着飾るのは片方でいいのだと思い定めています。
華やかな着物姿の娘さんは言い寄る男に対して袖を振ることで返事をしていました。振られたというのは拒否の振り方をされたことから言われるようになりました。結婚したら意思表示をする必要はないので,袖を短くした留め袖になります。不要なコミュニケーションは止めなければなりません。おしゃれに無縁なことへの秘かな言い訳です。
未だに連れ合いのおしゃれの意図が読めずに考え込んでいます。清潔で寒暖を緩和してくれたらそれだけで十分な衣生活を抜け出せません。衣装を脱いだら裸の王様と嘲られるのではなく,裸でも王様になりたいと願っています。おしゃれとはうちからにじみ出るものがあってこそ,その補助としての機能が発揮できるものでしょう。おしゃれとは,自分をさらすことです。腹周りを隠すことではないのですが・・・。
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【子 育 て 羅 針 盤】
★子育ち12章★
『育ちゆく 背中見送る ママの夢』
《第14章》
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■はじめに
第13章では,子どもが笑顔で暮らすことについて考えました。
生きててよかったという思いは,笑顔に現れるからです。
産んだ責任は育てることだけではありません。
「子育て羅針盤」と名乗った理由を明かすときが来ました。
子育て全体を見渡すためにという切実な願いがありました。
まずその経緯から,お話ししておかなければなりません。
福岡県の家庭教育事業に関わって,一つの心配が生まれました。
それは母親の子育ての自信が年々低下し続けていることです。
平成になって自信のある母親は過半数を割り込んでしまいました。
理由はいろいろあると思いますが,理由探しより対応が急がれます。
なぜ自信が,よりも,どのように自信がなくなったのかが問題です。
自信の足を引っ張っている要因を見つけて除かねばなりません。
次の課題は,「子育て12章」の12という数字の持つ意味です。
なぜ12なのかということは,実はとても大切なのです。
この二つの課題にお答えすること,それがこの章のテーマです。
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【質問14:あなたのお子さんは,自分を大切にしていますか?】
《「自分を大切に」という意味について説明が必要ですね!》
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○ママはどうして子育ての自信が持てなくなったのでしょうか?
自信を無くす要因で最も大きなものは不安です。その不安の特徴は分からないということです。子育てをしているママは一所懸命です。でもいつも不安がつきまといます。自分はできるだけのことはしていると思っても,これだけで十分なのか,何か手抜かりをしているのではないか,どこか間違えていないのだろうか,不安は連鎖してふくらんでいきます。これでは,自信など持てなくなりますよね。
不安になったママは子育てについて相談したくても,近くに相談できる人はいません。知っている人には逆に相談しにくいのかもしれません。相談ごとは見知らぬ人にならできるという面もありますが,相談所は敷居が高いので気軽にという風にはなりません。弱みを見せるのはイヤということもあるかもしれません。同じ悩みを持つということで,ママ同士がつながればいいのでしょうが。
子育て情報はたくさんあり,読んだり聞いたりする毎に,それなりに気が付くことがあり参考になります。それでも不安はいっこうに解消しません。それは情報が増えるだけで,整理されていないからです。あれこれモノが増えても満たされないことと似ているところがあります。全体を見渡しているという自覚が大事なのです。はじめから最高の品揃えを望むのではなく,まず最低限の品揃えを目指そうとすることです。最低限ということはこれだけ揃っていれば,まず必要なモノは揃ったということです。そうすれば,落ちはないという自信から気持ちにゆとりが生まれ,不安は消えていくはずです。
身だしなみについても,最低限のものがあるでしょう。先ずそれをした後で個性的な装いを重ねているはずです。子育てについても,これだけは絶対必要なモノというポイントを知れば,安心して子育てできるはずです。その願いから,最低限の子育てをチェックできる指標を作ってみようとしたのが羅針盤です。自分の子育ては今こちらに向いているが,あちらが手薄になっているかもしれないと気付いて頂けるように,ママが自身で子育ての全体を見るための羅針盤です。
・・・子育ての自信は,子育ちの全体像が見えれば得られるはずです。
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○際限のない全体から必要最小限を選び出す方法はあるのでしょうか?
テレビの画面はカラーですね。でもそのすべての色は赤・緑・青の三つの原色から造り出されます。絵の具では赤・黄・青の三原色です。栄養素ではタンパク質・炭水化物・脂肪・ビタミンなどがありますね。どんなものにも基礎となるものがあります。理科系では割り切れても?・・
暮らしは文化系的ですから,すっぱりとは選び出せそうにありません。本当にそうでしょうか? 人はものを考えます。考えるときの道具があります。それは古今東西皆同じ道具です。誰もが学校で習って,身に付けているはずです。考えるときは言葉を使って考えますが,どんな言葉かというと疑問符です。問題がなければ考えることはできません。そうです。「どこで,いつ,誰が,何を,なぜ,どのように」という5W1Hです。
物事を説明する必要最小限,逆に言えば,これだけは言わなければならないことは,5W1Hでしたね。「庭で,今朝,私は,犬を,散歩のために,引き紐に接ぎ直しました」と書けば,必要最低限です。もちろん,かわいい犬とか,寒い朝といった飾りを付けることはできますが,それは不可欠なものではありません。
子育てについて考えましょう。子育ては子育ちの支援をすることです。そこで子育ちとはという課題に答えなければなりません。「どこで育つのか,いつ育つのか,誰が育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのか」という5W1Hに答えれば,子育ちに不可欠なポイントを知ることができます。これが羅針盤の基本的目盛りなのです。
・・・考えるべき必要最小限は,5W1Hの道具を使えば得られます。
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○必要最小限だけでは,まだ不安なのですが?
必要最小限とは,どれか一つでも欠けたら用をなさなくなるものと考えてください。その上で,次のことを考えます。子どもは育ちさえすればいいというものではありません。育ちようがあります。人は社会的な存在ですから,他人と仲良く生きていかざるを得ません。それが幸せに生きるということにつながるはずです。つまり,必要なことに,さらに十分な要素を備えることが求められます。それは社会性と言ってもいいでしょう。
そこで,5W1Hのそれぞれに必要なものと十分なものを解答しなければなりません。それが12章という12の数字の意味です。すべて揃ってはじめて,バランスの取れた子育ちが実現します。それぞれの強弱は個性になりますが,どれかが欠落するときには人としての未成熟になります。
これまでのマガジンが2章でワンセットになっていたことにお気づきでしょう。基本的には,前章が個人としての育ちに必要なこと,後章が人との関係で十分なことという構成であったのです。配信済みの12章を,次に,もう一度振り返りながら整理しておきましょう。
・・・必要なものに十分なものを添えたら,12章ですべてなのです。
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○子育ち12章の構成は?
第1,2章は「どこで育つのか」を考え,望まれた子として安心できる居場所で育っていくこと,そこでの親との信頼が人間を信じる種になるように育ってほしいという解答を示しました。
第3,4章は「いつ育つのか」を考え,もう一人の子どもが言葉を母乳として覚えたときにヒトとして育つこと,その上で他人と共感できるように育つための方策を示しました。
第5,6章は「誰が育つのか」を考え,もう一人の子どもの誕生を促し,自己決定がその出生証明と見なされること,さらに自分と他人を客観視できるもう一人の自分の育ちについて訴えました。
第7,8章は「何が育つのか」を考え,いろんなできる能力が育つこと,それが人に向けて優しく発揮されることの価値について答えてみました。価値観の多様性に惑わされ,価値を崩壊させつつあることが心配です。
第9,10章は「なぜ育つのか」を考え,弱さを恥じないからこそ育とうとすること,人の縦のつながりを自分の人生に重ねて見えてくる明日の楽しみが育ちの意欲になることを示しました。
第11,12章は「どう育つのか」を考え,失敗によってもう一人の子どもが目覚め,反省し,他者から学び,自分を挑戦に向かわせながら育ち続けると解答しました。
第13章はまとめとして,子どもに生きる喜びといった育ちの核(魂)を移植するのは,親の家族愛であると結論しておきました。
非常に簡単な説明で分かりにくいかと思いますが,これ以上説明するスペースもありません。また,これまでのメールでは触れることのできなかった点も残されています。今後のメールの中で,少しずつ個別に解きほぐしていくつもりです。今のところは,なんとなく全体の雰囲気だけを掴んでおいていただくことをお願いしておきます。
・・・12章は子育ちの幹になります。枝葉は皆さんで茂らせてください。
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○自分を大切にするとは?
もう一人の自分が自分をこよなく大切に思うから人を慈しみ,家族や人との温かな関係の場にいる自分を大切に,気持ちが通いあうときの自分を大切に,人に優しくできる自分を大切に,生きようとする健気な自分を大切に,可能性を信じて失敗を挑戦に変える健全な自分を大切に思います,そんな子どもに育ってほしいと願っています。この子育て羅針盤が,そのためのお手伝いをできたら幸いです。
・・・もう一人の自分と自分がしっかり結ばれていることです。
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《子育ちとは,もう一人の子どもが自分を育てていくことなのです》
○我を忘れるとは,もう一人の自分が雲隠れすること。無我夢中とはもう一人の自分が手綱を緩めること。そして犯罪で鑑定されるのはもう一人の自分が起きているかどうかです。品性とはもう一人の自分の姿です。そのもう一人の自分が自分と決別したら,いろんな問題行動を呈します。惚けると惚れるは同じ漢字ですが,心を否定する意を表しており,もう一人の自分が休眠している状態と見なすことができます。もう一人の自分は七変化するようです。
【質問14:あなたのお子さんは,自分を大切にしていますか?】
●答は?・・・もちろん「イエス」ですね!?
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★編集後記★
お届けした「子育て羅針盤」第14号はいかがでしたか。
「子育ち12章」は,このアンコール章で最初の完結を迎えました。次号からは,「続・子育ち12章」として第2版に改まります。
新世紀を迎えるからと言えばおめでたいのですが,実のところ然したる理由もなく次号のマガジンからスタイルを変えます。購読されている方々は「子育ち12章」を愛読されておられますので,「パパコラム」はマガジンから外します。代わりに,子育てについてのコメント欄〜「子育てtips」を設けます。ご質問にお答えしたり,親子の短い話を紹介したり,記事から抜粋したり,子育て何でもありというコーナーにトライしようと思っています。なお,「パパコラム」は本来,ホームページ「徒然窓」に連載中のコラムですので,ときどきは思い出して訪ねてくださるとうれしいです。
2000年最後の配信です。 *****今日はメリークリスマス!*****
皆様の2001年が幸せな年になりますように,心より祈念申し上げます。
☆予告☆
次号では,
【質問2-01:あなたは,手塩に掛けた子育てをしていますか?】
について考えます。お楽しみに!
★変更★
次号の発行日は,お正月を休み,1月8日から配信させていただきます。第1版同様にご愛読をよろしくお願いいたします。
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※ご案内※
●ホームページ「徒然窓」,
http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear/
に,過去4年のコラム「パパな毎日」や子育てに関する考察テキスト,
調査結果などを掲載しています。是非開いてみて下さい。
●また皆様の場として掲示板を設けました。ドウゾ積極的にご利用下さい。
http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear/bearbbs/index.html
http://bbs.melma.com/cgi-bin/forum/m00019737/
●講演を希望される方は,メールでお問い合わせ下さい。
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○タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban]
〇発行責任:モリのクマさん
○発行期日:2000年9月25日より,毎週月曜日正午
○連絡mail:mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp
〇URL=http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear/MailMag/MMannai.html
(このメールマガジンの登録解除やバックナンバー参照サイトです)
〇転載許可:クマさんまでメールのご一報下さい。
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〇配信協力:
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