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[2001/01/22]
【子 育 て 羅 針 盤】
(第17号)
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会場で「携帯電話の電源は切っていただくようにお願いします」とアナウンスされます。もともと言われなくても切るのがエチケットですが,案内されても必ず途中でメロディが鳴り出します。会場の視線は一斉に移動します。言われてもスイッチを切らない無粋さは,心の化粧を知らないのでしょう。
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★子育てtips★
『ハッピーバースデー・トゥー・ユー』
(第03号)
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この歌はもともと1893年に出版された「幼稚園の歌物語」という本の中に,「グッドモーニング・トゥ・オール」として発表されたものだ。
ケンタッキー州ルーイヴィルの姉妹によって作られたこの曲は,誕生祝いにではなく,朝子どもたちを教室に迎え入れるときに歌う歌として書かれた。これが誕生祝いの歌になるのは,のちに盗作されてからである。
「グッドモーニング・トゥ・オール」の著作権は,1893年10月16日にヒル姉妹によって登録されていたが,1924年3月4日,ロバート・H・コールマン編の歌集がダラスで出版されたとき,その中にこの歌が許可なく転載されていた。
歌の題と1番の歌詞はもとのままだったが,コールマン版では2番は「ハッピーバースデー・トゥ・ユー」で始まる歌詞に変わっていて,もとの歌で「グッドモーニング・ディア・チルドレン」というところは,「ハッピーバースデー・ディア・(名前)」となっていた。
続く10年間に,この歌は何度も歌集に載ったが,歌詞はほとんどコールマンの歌詞のままだった。1933年にはだれもがこの歌の題名は「ハッピーバースデー・トゥ・ユー」だと思っていた。翌年ブロードウェーのミュージカル「アズ・サウザンズ・チアー」の中でこの歌が使われ,毎晩大声で歌われるに至って,ヒル姉妹の3番目の妹ジェシカは,盗作がまかり通り著作権の存在がまるきり忘れられていることに腹を立て,ついに裁判所に訴え出た。彼女は勝ち,曲は晴れてヒル一族のものになった。
「はじまりコレクション−1」:チャールズ・パナティ著・フォー・ユー発行
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★続・子育ち12章★
『言い訳に 足りない言葉 ママが貸す』
《第2-03章》
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■はじめに
子どもは母からの言葉を第二の母乳としてヒトに成長していきます。
言葉づかいをしつけの筆頭にあげる親が多いのも,しごく当然です。
学びが読み書きから始まるのは,言葉の素養が不可欠だからです。
昔,地中海文明の成熟期にバベルの塔が人の手で天に突き出されました。
神は人の傲慢さを怒り,人が話す言葉をバラバラに分解しました。
そのため人はコミュニケーションがとれず,塔の建設は挫折しました。
人が生きるために必要な知恵は,言葉という形でメモリーされます。
メモリーが貧弱だとできる行動も狭められ,フリーズも起こります。
どんな言葉づかいができるかが,人となりを表しています。
今回のテーマは,「子どもがいつ育つのか」という課題です。
言葉を覚えたときに,知恵が身に付いて育つと考えています。
言葉の先生として,パパとママには予習をしていただきます。
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【質問2-03:あなたは,お子さんの話を楽しく聞いてやれますか?】
《「楽しく聞く」ということについて説明が必要ですね!》
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○見るもの聞くものすべて新鮮?
若者の無関心さはすっかり定着した感があります。無関心とは興味の幅が狭いということです。自分に直接関係ない物事には見向きもしません。そのように育てられたからです。よそ見や脇見を封じていませんか?
夕焼けの下を歩いているとき,子どもが「ママ.きれいだよ」と赤くなった空を指さします。帰りを急ぐママは,「そんなこと言ってないで,早く来なさい」と取り合いません。あきらめきれない子どもは空を見上げながらついていきます。「前をちゃんと見ないと危ないでしょ」と注意されます。
子どもには見るもの聞くものすべてが新鮮な体験です。その大切な体験は放っておくと消えてしまいます。立ち止まって親子で夕焼けをながめる時間を少しだけ過ごすことが必要です。お母さんと見た夕焼けとして,特別な印象付けが起こるからです。「帰ったらパパに話してあげようね」と,小さな宿題を与えることもできます。その復習が子どもに次の新たな関心を呼び覚まします。「パパ,どうしてお空が赤くなるの?」。
・・・新鮮さが印象の旬です。
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○体験不足になる訳は?
子育ての講座で,最近の子どもは日常体験が不足であると言われます。確かにその通りなのですが,体験する姿勢については語られません。つまり,体験させるにはどうすればいいのかという対処の仕方です。普通は体験学習といった特別の行事が想定されがちです。
体験は待っていてはできません。こちらから招くものです。招くためには,関心を持たなければなりません。関心を持たせるためには,関心を示したときにきちんと認めてやることです。関心を持てば,楽しくなるということを教えてください。たとえ,答は出なくても,面白いな,不思議だなと思う自分を認めてもらえたら,関心は持続できます。
パパの買い物は直行型ですが,ママの買い物はウロウロ型です。見るだけという脇見を楽しんでいますよね。子どもにも日常生活の中で何にでも関心を示すチャンスを十分与えて,楽しげにつきあってやってください。
・・・関心を持つことが体験の第一歩です。
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○体験から学ぶとは?
体験は育ちの素材です。そこから滋養を摂取できたとき,育ちが一つのステップをのぼります。ただ経験しすればいいというものではありません。体験はふさわしい言葉で名付けられたとき,認知できるものになります。「きれいだよ」と子どもが体験したことに対して,「真っ赤な夕焼けね」とママが名付けやることで,「赤い夕焼け」を見たという認知ができます。正しい言葉を身に付けないと,経験しても知識にならないということです。
ある実験です。3歳児に「黄色の蝶」を見せて覚えさせてから,別のたくさんの蝶々の中に並べます。「さっき見た蝶はどれかな?」と指ささせます。きちんとさせた子とさせなかった子に分かれます。させた子たちは「黄色」という言葉を知っている子たちでした。「黄色い蝶」と覚えられたのです。同じように蝶を見ても,黄色という言葉を知らない子は黄色が認知できないのです。人は物事を言葉で理解しています。
・・・体験には言葉のレッテルを。
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○国語だけでは物足りない?
小学校入学前には,ママの方が焦ってしまうものです。予習が始まります。「本は一冊,船は一艘,鉛筆は一本,鶏は一羽」。何度教えても,「鶏は一羽」を覚えません。たまりかねて大声で怒鳴ってしまいます。「鶏は何て言うの?」。追いつめられた子どもは,目にいっぱいこぼれそうに涙を溜めて,「コケコッコー」。緊張の糸が切れて,親子で大笑いになります。子どもにとって鶏の体験メモリーは「コケコッコー」なのです。「一羽」といった数詞をメモリーしようとするなら頭の中の「鶏」フォルダーにあらかじめきちんとコピーしておかなければなりません。そのコピーのタイミングは,鳥に出会ったときが最適です。「スズメは何羽いるかな?」
小学校に上がると算数を習います。算数は好きでしたか? 足し算を復習してみましょう。3+2=? 答は5ですね。それでは応用問題です。男の子3人と女の子2人を足すと? 答は5人です。簡単ですが,この応用問題が計算できない子どもがいます。3+2=5はできるのに,計算できないと言います。そのわけは,男の子と女の子は足せないからということなのです。どういうことでしょう? 別の問題で考えてみます。マッチ棒3本と電信柱2本を足すと何本ですか? 5本と答えられますか? 足せないと思いませんか? 同じように男の子と女の子は本当は足せないのです。
算数の基本概念は等号(=)であり,同じもの探しです。男の子と女の子を足した5人とは何者ですか? この計算の陰には,男の子も女の子も同じ子どもだから,子どもの足し算に読み替えるというステップが隠されています。子どもという言葉を自由に使えずに,男や女という言葉にこだわるとき,足せなくなります。言葉を知らなければ,算数にもつまずいてしまいます。算数に限らず,言葉をきちんと教えておかねば,高校まで12年間の学習についていけなくなります。言葉の先生であるママの役目は重大です。決してテレビに一任しないようにお願いしておきます。
・・・国語ができなければ始まりません。
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○今日はどうだった?
学校から帰ってきた子どもを迎えて,「今日はどうだった?」と声をかけます。返事は「別にー」とあっさりしたものです。ママは最近子どもが全く話さなくなったと心配しているので「ねえ,どうだったの」と迫りますが,「何んにもないよ」といなされます。
小学生も高学年になってくると,すべてを語らなくなるものです。親に対する秘密を持つようになって,自立していきます。そのことを前提とした上で,ママの問いかけ方の問題を考えておきます。「どうだった?」と問いかけられたら,どう答えればいいのでしょうか? 何を聞かれているのかがあいまいですから,「別に」とあいまいに返事するしかありません。おそらく,尋ねるママの方も何を聞いたらいいのか分かっていないから,そんな尋ね方をするのでしょう。
話を聞こうとするなら,もっと具体的に尋ねるようにしましょう。「雨に濡れなかった?」,「今日はどんな歌を歌ったの?」,「給食は何を食べた?」,「〇〇ちゃんは元気だった?」などと,年齢に合わせた問で,なおかつ短く返事をできるようにしましょう。最初の一言が交わせたら,会話に入ることができます。問いかけられた方が何を答えればいいか分かるようにすることが話を聞くコツです。
・・・第一声を掛け違わないようにしましょう!。
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○声かけも毎日では種切れに?
特に聞くことがないときは,黙って子どもの様子を見ていてやるだけでもいいでしょう。話したいことがあれば,それとなく素振りが見えます。「なーに?」と誘いをかけてやれば,話してくれます。そのとき親らしい返事をしようなどとは力まないことです。ただ話を聞くだけといった積もりでいてください。子どもは話せば必ず何か言われると思ったら話しません。ただ聞いてもらえればいいというときがあるものです。その関係を持てていないと,子どもは本当に何か言ってほしいときにも話せなくなります。
子どもが家族を意識できるときとして,「留守番をしていたら家族が帰ってきたとき」があげられます。ちょっとした寂しさを味わうから,家族のぬくもりが意識できるのです。うれしそうに「お帰りなさい」と出迎えます。そんなときママが疲れた顔でムスッとしていたら,子どもの気持ちに冷水を浴びせます。せっかく家族を温かいものと感じ始めた出鼻をくじかれます。子どもから「お帰りなさい」と声を掛けられているのに応えていなければ,親の問いかけに「別にー」と応えている子どもより拙い対応です。会話の最初の出だしを,親は案外となおざりにしてはいないでしょうか?
・・・子どもの気持ちを読み取ってあげることです。
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《楽しく聞くとは,子どもの言葉を膨らませてあげるということです》
○本を読み聞かせていると,子どもはすっかり覚えているのに読ませられます。ママは話の筋が分かればいいと思っているので,覚えた話をなぜ繰り返し読ませるのか不思議でしょう。子どもは覚えている言葉と耳で聞く言葉をつきあわせることを楽しんでいるのです。言葉によって自分の中にイメージが広がってくることを不思議な感動として咀嚼しています。話の筋を言葉によって分かる自分が楽しくて仕方がないのです。聞くことは楽しいことです。
【質問2-03:あなたは,お子さんの話を楽しく聞いてやれますか?】
●答は?・・・もちろん「イエス」ですよね!?
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★編集後記★
お届けした「子育て羅針盤」第17号はいかがでしたか?
昔話花咲爺さんの歌に,「裏の畑でポチが鳴く・・・」という歌詞があります。ポチとは明治以降に使われた犬名です。カタカナですからね。昔話には似つかわしくありません。言葉は時と所に似合うものでなければなりませんね。
さて,皆さんもお子さんとの暮らしの中でいろんな体験をお持ちでしょう。よろしかったら,皆さんに話のお裾分けをするために,ぜひお聞かせ下さい。メールをお待ちしております。
☆予告☆
次号では,
【質問2-04:あなたは,お子さんに優しく話していますか?】
について考えます。お楽しみに!
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※ご案内※
●モリのクマさんのホームページ「徒然窓」,
http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear/
に,コラム「パパな毎日」や子育てに関する受賞論文,子育ち12章,
県教委の事業として実施した調査結果や組織活動指導テキスト
などを掲載しています。是非訪ねてみてください。
●皆様の場として掲示板を設けています。ドウゾ積極的にご利用下さい。
http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear/bearbbs/index.html
●講演のご依頼は,メールでお問い合わせ下さい。
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○タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban]
〇発行責任:モリのクマさん
○発行期日:2000年9月25日より,毎週月曜日正午
○著者連絡: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp
http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear/MailMag/MMannai.html
(このメールマガジンの登録解除やバックナンバー参照サイトです)
〇転載許可:事前に必ず,クマさんまでメールのご一報を下さい。
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