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[2001/07/02]
【子 育 て 羅 針 盤】
(第40号)
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「君の本はハッピーエンドだね。読み終わったときほっとしたものね」。
というジョークがあります。この羅針盤もそうなのかな・・・?
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★子育てtips★
『子どもの価値』
(第26号)
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ここ20年来,急激に男児よりも女児と,価値が逆転しました。その理由は,こうです。親には子に相続させる財産も家業もなくなりました。子どもはサラリーマンとなり,せいぜい妻子を養うのに精いっぱい,親への経済的な支援を子どもに期待することは,もはやできなくなりました。
だからといって,長期的な子どもの価値がない,まったく何も期待しないかというと,そうではありません。せめて精神的な面で老後を支えてほしいと,親は子どもに望むようになりました。
この点から見ると,息子より娘の方がなにかと有用です。息子は結婚するとあまり親のところに寄りつかなくなる。それに比べて娘は結婚後も頻繁にやってくるし,来れば話し相手になる,一緒に料理や買い物をする,なにくれとなく手伝ってくれるなど,密度の濃い交流があるものです。このように,親が子どもから得られるものが,娘からの方が大きくなったのです。
女児願望が強くなったことには,もう一つ,子どものために親が要する心身エネルギーや経済資源が,男児よりも女児の方が少なくて済むという事情があります。男の子には女の子より高い教育を受けさせるのが通例で,それだけ余計,学資がいります。子育ても,女児は男児よりも概して手がかからず育てやすいものです。このように,男児の方が親にとって物心の負担が大きいのです。
「子どもという価値」:柏木惠子著・中公新書
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★新・子育ち12章★
『母さんと 呼びたいときに ママいない』
《第4-01章》
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■はじめに
子どもはどこで育っているのでしょうか?
家庭ですか? 地域ですか? それとも学校ですか?
子どもが育ちの根を張っている所とは?
このことをはっきりとさせなければなりません。
そうしないと,子どもが浮ついた根無しに放置されるからです。
子どもが何を求めているのか,大事な6つのうちの1つです。
子どもが育つためには,居場所が必要です。
自分の部屋があるということではありません。
親との心のつながりがあるということです。
家族の一員であるという確かな実感です。
自分は一人ではないという安心感です。
とりわけ幼いときはママからの温かさです。
いつまでもママの傍にくっつくのは甘えではありません。
十分に甘えたら,子どもは自然と離れていきます。
甘え足りないから,離れていかないのです。
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【質問4-01:お子さんは,ママの傍で安心をしていますか?】
・・・・・・・「安心する」という内容について,説明が必要ですね!
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○過敏な反応?
最近の子どもたちに見られる特徴の一つは,心がもろくなっているということでしょう。忘れ物を注意された,チャンネル争いの果て,ピアノがうるさいと言われた,親との些細ないさかいなど,ちょっとしたことで「キレル」,「ムカツク」などと口走ります。こらえ性がないのです。逆に自殺に走る極端なケースもあります。子どもたちはどうしてこうまで不安定な状態に追い込まれてしまったのでしょう。
もちろん一つの要因だけではありません。ここでは,ママにできることがないかを考えておきます。地上30cmほどの高さに横たえられている丸太は平気で渡ることができますね。ところが,もしも同じ丸太が地上3mになるととても怖くて渡れなくなります。同じように,大地としての親が子どもの傍にいるかいないかで,子どもの心のありようは大きな違いがあります。
子どもが自転車に乗る練習の時,パパが後ろから支えていてやると,ペダルを漕ぐことに集中します。パパはときどき手を離します。それでも子どもはパパが支えていてくれると信じているので安心していますし,少しぐらついたぐらいでは何とかしようとがんばれます。もし怖いという思いがあると,子どもは内向きになります。内向きとは自分を守ることですから,少しのことに過敏に反応して騒ぎ立てます。それが心のもろさとして表立つのです。
・・・ママがついているから大丈夫と思いこませてください。
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○すねかじり?
お子さんに何をしてやっていますか? 子どもには食べさせて,着せて,部屋を与えて,塾に行かせてと,結構物いりなものです。数え上げればきりがないことでしょう。子どもが育つ環境を考えるとき,このような具体的な物いりな環境が真っ先にあがります。親はよかれと思って金を出してはいますが,直接には何もしていないとも言えます。「欲しいものは何でも与えてきた」という親の言葉の裏に,子どもは虚しさを感じ取っています。
子どもが求めている「親らしいこと」とはどんなことなのでしょうか? 親が自分の心と体で育てることです。共に生きること,つまり喜怒哀楽や暮らしを共にすることです。例えば,子どもが擦り傷をつけたら,「痛い?」と突き放したように尋ねるのではなくて,「痛いね!」と痛みを引き取ってやる言葉かけが自然に出てくることです。心を分け与えるということです。
親の心を分けてもらっていると,私はパパとママの子どもだ,パパとママの子どもでよかったという信頼関係が生まれます。それが本当の居場所,子どもが育つ環境なのです。ブランドもののカレーが美味しいと言う子と,ママのカレーが美味しいと言う子は,どちらが美味しさを知っているでしょう。ママの心というスパイスが,子どもの心にさわやかに広がっているはずです。
・・・親はすねだけではなくて,心もかじられています。
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○受け止める?
夕方になると,保育園にいる子どもはママのお迎えを心待ちにしています。あたふたと顔を出したママを見て,子どもは「ママー」と駆け寄ります。「ただいま」と言いながら,ママはさっさと荷物を持って帰宅を急ぎます。ほんとにママ家業は大変です。でも,子どもはちょっぴり寂しくなります。
映画のワンシーンで,恋人が姿を現すと駆け寄って抱き合うという場面があります。待っていたという気持ちをしっかりと受け止めてほしいのです。ママはほんの30秒でいいですから,駆け寄ってくる子どもをしっかりと受け止めて抱き上げてください。それが帰りを待っている子どもの心に答えるママの心です。抱いてもらえたら,子どもは一緒にお家に帰ろうという次の気持ちに移れます。
子どもが中学生くらいになると,家族はそれぞれの生活になります。「ただいま」と家に帰っても,誰も返事をしてくれません。そのうち無言で帰るようになります。部屋のガラスに息を吹きかけて,「母さん」と書いてみます。でもすぐにその字は消えていきます。子どもがしようとすることは寂しさを紛らすことになります。勉強しようという気など起こりません。寂しい居場所は,日当たりの悪い畑と同じで,育ちには不向きです。せめて,帰ってきた子どもを迎えるママからのメッセージがあればいいのですが・・・。
・・・子どもはママの懐にちょっとだけ帰りたいのです。
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○お見通し?
子どもはサンタクロースが大好きですね。プレゼントをもらえるからでしょうか? それだけでしたら,これほどまでに世界中の子どもから慕われることはないでしょう。サンタクロースには子どもを引きつける魅力があるようです。それは一つの不思議です。
どうしてサンタクロースは自分の欲しいものが何かを知っているのか? という不思議です。自分のことを理解してくれていることが魅力なのです。子どもにとって待ち遠しいのは,私のために届けられるプレゼントなのです。サンタさんが来るかなという心配の陰で,私の願いが通じているかということを気にしています。
成長してくると,傍にいないサンタクロースが自分のことを分かるはずがないと思うようになります。それではサンタは誰と考えて,ママのことに気がつきます。だってママは自分のことをよく知っているはずだからです。そうですよね?
ここでママにちょっとした工夫が必要です。子どものことを無理に何でも知ろうとしないことはもちろんですが,知っていても知らない振りをすることも効果的です。子どもが内緒にしていたのに,それとなくママの気配りがされていたりすると,ママがどれほど自分のことを気にかけて見守ってくれているかを,不思議な感動で知ることになるでしょう。
・・・子どもにとって,ママは魔法使いです。
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○大きなママ?
虐待を受けている子どもは,親から逃げようとか,親が憎いとは思っていません。端から見ていると,どうして逃げ出さなかったのかと思うのですが,子どもは自分がいけない子だから,親は自分のために叱ってくれているんだと思っています。子どもは自分の危うさを無視してまで,親の愛を信じ切っています。切ないことですが,その心根を親は分かっていなければなりません。
子どもだって叱られることは嫌です。しかしそれは自分がいけないからと納得できますし,親との確かなつながりを感じることができます。親から叱られることを願ってわざと悪さをしでかす子どもがいるのもうなずけることです。子どもが最も恐れるのは,親に嫌われることです。構ってもらえなくなったら,親との絆が切れるからです。叱られても嫌われることはないという確信が,子どもには不可欠です。
子どもにとっても,親にとっても,今必要なことは「ママの許し」です。叱るのはいいのですが,その先に許しがなければなりません。親がカッとなって虐待にまで行き着くのは,許しというガス抜きを忘れているからです。「やってしまったことはしかたがないね」という許しです。この許しがあれば,親子とも嫌いになることはないはずです。子どもに対して許しを発揮できる人,それがママの資格なのです。
・・・安心とは許しあえる関係の中にあります。
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○手綱さばき?
かつて,ベルリンフィルの指揮をしていたカラヤンが日本の若い指揮者に説きました。「指揮とはドライブしてはいけない。オーケストラをキャリーしろ」。指揮を乗馬にたとえたのです。馬にまたがり手綱を引き締め,絶えず馬を思い通りに動かそうとすることをドライブと言います。反対に手綱を緩め馬を自由にさせ,馬が乗り手の存在を忘れ,自分の行きたい方向に好きな速さで進みます。しかし本当は完全に騎手に統御されている,これがキャリーです。
実際に指揮を受けたコンサートマスターは,「誰か音程が悪くても名指しでは注意するようなことはしない。それとなく分かるように目配せする。白鳥の翼のように大きく広げた両手に抱かれて,みんなのびのびと音を出した」と語っています。子どもたちの指揮をしているママには,大変参考になることですね。
ドライブされると反発する気持ちが出てきて,やる気が封じられます。頭ごなしに注意されると嫌になり,投げ出したくなります。ママの目にビクビクするようではかわいそうですね。拙いところはママだけが胸に納めて子どもに自分で分からせるようにすれば,子どもは安心して力を発揮できます。
・・・ドライブよりキャリーの方が,ママは楽できますよ。
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《安心するとは,見守ってくれる人がいると信じられることです。》
※子どもは叱られるとき,それが自分のためなのか,それともママ自身のためなのか,しっかりと見極めます。叱っているママの方が存外にその辺を曖昧にしているかもしれません。子どものためと思いこんでいても,落ち着いて考えたらママの都合で叱っていたり・・・。気をつけましょう!
【質問4-01:お子さんは,ママの傍で安心をしていますか?】
●答は?・・・自信を持って,「イエス」ですよね!?
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★編集後記★
お届けした「子育て羅針盤」第40号は,いかがでしたか?
今週号から,「子育て羅針盤」も第4クールになり,「新・子育ち12章」として装いを改めて継続していきます。奇数章はお子さんの立場から,偶数章はママの立場から,考えていきます。
なお,今週号から次のような『子どもの権利12条』という形式で各号の内容を表す条文を追記しておくことにしました。各号のサブタイトルと思ってください。全12条が揃ったら,皆様方の育成活動のスローガンとしてもご利用頂けることでしょう。
なお,公式活動にご利用の節は著作権の関係で,必ずご一報くださるようにお願いいたします。また,12条をすべて今すぐに知りたいというお急ぎの方は,メールを頂ければ折り返しお知らせいたします。
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子育て羅針盤編:『子どもの権利12条』
第1条 安心して生きる権利
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※ご案内※
●モリのクマさんのホームページ・・・「徒然窓」=
http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear/
には,マガジンの「バックナンバー」,〜「掲示板」や登録・解除欄,
コラム「パパな毎日」,「子育ち12章(Ver.1,2,3)」,
「子育て心温計」などの受賞論文,養育アンケート調査結果,
組織活動の指導者用テキスト〜
を掲載しています。
是非訪ねてみて下さい。
●PTAや家庭教育学級などでの講演のご依頼も承ります。
メールで気軽にお問い合わせ下さい。
プロフィールは上記のHPを参照してください。
なお,クマさんの本拠は福岡市近郊です。
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☆予告☆
次号では,
【質問4-02:あなたは,お子さんの傍にいて楽しいですか?】
について考えます。お楽しみに!
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○タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban]
○発行期日:2000年09月25日より,毎週月曜日正午
〇発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)
○著者連絡: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp
〇転載許可:必ず事前に,モリのクマさんまでメールのご一報を下さい。
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