*** 子育て羅針盤 ***

〜 《Ver.12 from No.144》 〜

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「子育て羅針盤」:第147号
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[2003/07/28]
【子 育 て 羅 針 盤】
(第147号)
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 過去にこだわるものは,未来を失う。

・・・・・チャーチル

 過去にこだわる親は,子の未来を奪う。
 子どもは現在に育っているからである。

・・・・・H.モリのクマさん

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★ママの?★
『タケノコ?』
(第04号)
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 タケノコと言えばそのまま竹の子どもですが,キノコは木の子どもではありませんね。木には子ども時代はないのでしょうか。ところで,七夕飾りはササと相場が決まっています。笹と竹はどう違うのでしょうか? イネ科の植物で,一般的には背が低く形の小さい竹を笹と呼んでいて,笹の方が茎が成長しても皮がなかなか落ちません。

 タケノコはいつタケになるのでしょうか? 皮が落ちてしまったときからタケになるようです。タケノコは「筍」とも表記しますが,旬という字は10日を意味することから,芽が出て10日間がタケノコであるということを表しています。昔の人はちゃんと考えていたんですね。

 タケの成長速度は木の200倍だそうで,一日で1メートルも伸びることもあります。数十日で太く長く伸びきってしまいます。ということは,毎年大きくなることはないということです。何年もののタケなんて聞いたことがありません。

 木には,幹の皮のすぐ内側に形成層という成長層があります。この形成層が分裂を続けているから木の幹は太っていきます。分裂の速さが寒暖で違って,春には荒く大きな組織の春材に,秋には細かい組織の秋材になります。季節が巡るのに合わせて成長の違いが繰り返された結果,木には年輪が刻まれていきます。

 タケにはこの形成層がありません。一度成長すると,それっきりで止まってしまいます。タケに年輪がないのは,成長が一度っきりだからです。子どもがタケのようにすくすく伸びて欲しいと思っても,一度っきりの成長では困ります。やはり年輪があった方がいいですね。


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★ボクの育ち12章★
『泣き笑い 何故か子どもと 逆になる』
《第12-04講》
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■つれづれ・・・

 子どもは環境に順応しながら,自分の育ちをしていきます。その環境には,家庭・学校・地域社会があります。当然そこそこに合わせた姿や行動をしています。ママは家庭での子どもの姿しか見ていません。そのために,学校や社会での姿に直面する場合には,その違いに当惑することになります。

 大人でも同じ場面に出会います。家にいるときと外にいるとき,会社にいるときでは,同じ人とは思えない行動や姿を見せてくれます。誰にでもあることで,そのこと自体はさして問題ではありませんが,違いが甚だしいときは要注意です。かつては,外ではいい人だが家では暴君といった姿などもありました。

 これまでの羅針盤でたびたび「子どもを丸ごと受け容れる」というアドバイスをしてきました。その際「丸ごと」という言葉をさりげなく使ってきましたが,実は重大な意味を含ませてあるのです。ママがよく知っている家庭での子どもは一部であり,ママの知らない子どもがいます。知らない子どもを含めて丸ごとになります。知らない部分があると考えているか,それが親の懐の深さに関わります。

 我が子が可愛いという愛情は不可欠ですが,子どもを育てるときは目が眩んではいけないのです。眩んだ目は視野が狭くなり,子どもの一部,それも親にとって都合のいい姿に視野を絞るからです。丸ごとという全視野が得られなくなります。家庭での子どもしか見ていなかったら,子育ては片寄ってしまうのは明らかです。

 子どもの見えない部分をそのままにしておくわけにはいきません。ある程度の把握は必要でしょう。それでは,どのように推察できるのでしょうか? 親同士の地域ネットワークがあれば,それとなく子どもたちの姿に関する情報が入ってきます。我が子ではなく「子どもたち」の姿です。我が子は「子どもたちの中の一人」であると見なしていれば,それほど我が子を見失うことはないはずです。

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 【質問12-04:ママ,あのね。ママはワタシをちゃんと見てる?】

・・・・・「ワタシを見る」という意味を分かってあげましょう。

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 ○本の世界?

 ワタシは本が大好きです。だって,もう一人のワタシが本の世界に入っていけるので,とっても楽しいよ。図書館から借りてきた本が面白いので,お家に帰ってからずっと読んでいたら,急にママが話しかけてきました。何か聞こえていたような気がしてたけど,「ほら,聞いてるの」という声ではっとして見上げると,ママがのぞき込んできました。

 「何してるの?」って聞かれて困ってしまいます。本を持っているんだから,読んでいるに決まっています。ときどきママはわけの分からないことを言います。ワタシが見えているのに,見ていないのかな。「いい加減にして。夕食よ」と言われて,食卓の方を見ると準備ができています。「アッ,ごめんなさい」。配膳するのをすっかり忘れていました。

 いつもと違ったことをしていると,見えなくなってしまうようです。ワタシは読書をしていて時間を忘れ,夕食の準備をパスしてしまいました。ママは近くにいたワタシを見ていながら,ワタシが気のつくのを待っていたようです。本を読んでいるから,そっとしておいてくれたのかな。「ありがとう,ママ」。

 ママには本を読んでいるワタシが見えていますが,もう一人のワタシが本の世界の中をどこまで遊びに行ってるかは見えなかったことでしょう。「何してるの」というのは,迷子になっているもう一人のワタシを探し出したときの言葉だったのかもしれません。

 すぐ側にいるのに,もう一人のワタシはそんなつもりはないのに,いつの間にかママの前から雲隠れしてしまいます。それでも必ずママの見守りの中にいるような気がしています。ママが見ていてくれるから,もう一人のワタシは安心して思いっきり自由に遊びに行けます。

・・・《姿は見えても,もう一人の子どもはそこにはいませんよ》

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 ○知ってる?

 ママと一緒にスーパーにお買い物です。子ども服売り場で,ママはあれこれとワタシの洋服を探しています。「これがいいわね」といいながら,「こっちにきてごらん」とワタシを呼び,胸に服をあてがって大きさを確かめています。ママは必ず「これでいいわね」と念を押してきます。ワタシは「ウン」と言うしかありません。

 その洋服があまり気に入らないときには,ワタシはなるべく着ないようにしています。着るものに敏感な目を持っているママは,「あなたがいいと言ったから買ってあげたのに」とワタシを責めます。本当は,ママが押しつけているだけと言いたいのですが,ワタシは黙っています。

 ママが好きなものとワタシが好きなものはちょっと違うのです。でも,自分では買うことができないから,いつでも「ウン」と言っています。これまで何度か「こっちの方がいい」と言ったことがありますが,「そんなのはダメ」といつも拒否されてきたからです。ママはそんな私の思いに気付いていないみたいです。

 あのね,ママ。ママはいつまでもワタシのことを子どもだと思っているようだけど,子どもでも毎年大きくなっているの。好みだって変わってきてるし,子どもっぽいままではないの。ときどきママはワタシをペット扱いしてるんじゃないかと感じることがあって,いやだなあ。

 口ではうまく言えないけれど,ワタシはママに分かって欲しいことがたくさんあるの。ママが忙しそうにしているから,ついつい言いそびれてしまうこともあったりして。ちょっとだけワタシをちゃんと見てくれたら,にらむんではなくて優しい目で見てくれたら・・・。ワタシはママと違うんだから。

・・・《我が子のことは知り尽くしてる自信が,子どもを見逃します》

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 ○分からない?

 大事にしていた髪留めを落としてなくしてしまいました。「どこで落としたの?」って,ママが不思議なことを尋ねます。どこで落としたか分かるぐらいなら,拾っています。どこで落としたか分からないからなくすのです。ママは無理なことを言うから,困ってしまいます。

 算数の計算をしているときです。答えが違ってしまいました。アレッと思ってそのまま考えていました。「どうしたの,どこが分からないの」って,ママが詰め寄ってきます。来ました,またです。分からないところが分からないから考えているんで〜す。ママは何を考えているんでしょうか?

 漢字を書く練習をしているときです。鉛筆の動きが止まっていたからでしょうか,ママが「何をボーッとしてるの」と声を掛けてきます。「手が止まってるわよ。さっさと済ませなさい」。手という字はどうしてこんな形をしているんだろう,水という字は噴水みたい,字って面白いなと思います。そんなことを考えていると,楽しくなります。でも,ママが邪魔をします。

 あのね,ママ。このごろのママは少し変。だって,ワタシに何でもかんでも教えようとしているから,まるで先生みたい。ママは先生と違うのに。以前のママだったら,黙って見守っていてくれたから,「ママ,漢字って面白いね」と言えたと思うよ。今のママにそんなこと言ったら,「余計なことは考えないでいいの」って,言われちゃう。

 ママはワタシをちゃんと見る前に,勝手にワタシのことをこうだと決めてかかっていない? ママの思っているワタシでないから,ワタシのことが分からなくなったって言ってるみたいだけど,本当はママがワタシを見ようとしていないからだと思うよ。こんなに素直なワタシのどこが分からないのかなあ。

・・・《育てようと焦ると,子どもの姿を素直に見られなくなります》

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 《ワタシを見るとは,こんな子という先入観を拭い去ることです。》

※子どもの問題行動が現れたとき,事前に出していたサインを見逃したのではといわれます。気がつかなかった,それが普通になっています。でも,それは最近の親たちの弱さです。かつては,親のみならず,近所の大人が小さなサインをキャッチして,子どもを迷い道から引き戻していました。

 何が違うのでしょうか。それは子どもを人間として認めてやって行動や言葉をまっすぐに受け止めていたからです。子どもが口に出して言わないから分からない,それは親としての感性を自己否定することです。感受性,それは信号を受け取る体勢となっていることです。文字通りに見守ってくださいね。

 【質問12-04:ママ,あのね。ママはワタシをちゃんと見てる?】

   ●答は?・・・もちろん,「イエス」ですよね!

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★編集後記★
 お届けした「子育て羅針盤」第147号は,いかがでしたか?

 前号と今号では,子どもが「どこで」育つのかということ,種は土に蒔かれてはじめて芽吹くように,親との温かな接触があればこそ育ちはじめるということを述べておきました。5W1Hを2号ずつ解明していくという,このマガジンの隠しテーマは依然として生きています。次号は「いつ」育つのか,言葉による糧の摂取をしながら育つというテーマに移ります。

 夏休みが一週間過ぎました。まだ一週間,もう一週間? ものは考えようです。どうせ考えるなら,よい方に考えましょう。考える力とは,心配するためではなくて,楽しくなるためにあるのですから。子どもは夏休みを楽しんでいます。ママも一緒に。無理ですか?

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 ●モリのクマさんのホームページは ・・・「徒然窓」=
     http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear
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  などを掲載しています。 ・・・是非訪ねてみて下さい。・・・

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  なお,クマさんの本拠地は福岡市近郊です。

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☆予告☆
 次号では,

 【質問12-05:ママ,あのね。ママはボクの言葉を聞いてる?】

について考えます。どうぞお楽しみに!

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○タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban]
○発行期日:2000年09月25日より,毎週月曜日正午
〇発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)
○著者連絡: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp 
●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。
 掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行うこと
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