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「第 100-01 章」 |
『子育ちは 自分のことは 我が決め』

■子育ち12賢愚■
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『子育ち第1賢愚』
【智:自らを知る】
《まえがき(毎号掲載)》
子育て羅針盤では,こどもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
この第100版でも,これまでの流れに沿って,子ども自身や親が育ちの確認をしていくときに,状況を特徴付けるキーワードとなる語を選んで育ちを展望していきます。ただ構成上に変化を繰り入れます。奇数号では賢い育ち,偶数号では愚かな育ちという配置をします。育ちが望ましくない向きにずれていかないためには,避けるべきことにも目配りをしておくべきです。予め推奨すべきことと同時に注意すべきことを知っておくと,安心することができるはずです。
《智について考える?》
人である要件は,自分のことは自分で決めるということです。生きるか生きないか,その問題に自ら答えなければなりません。この決定とは,多くの場合,どれにするかという選択の形になります。昼ご飯は何を食べようか? その自分の欲を満たすためのもう一人の自分が行う選択は,メニューという情報を知ってから可能になります。お母さんが料理をする際に,冷蔵庫に何があるかを確かめてから,メニューを決めているでしょう。物事を決めるためには,必要な情報という智が必須なのです。
汝自身を知れ。人は自分のことを知っているでしょうか? 自分を知るのは,もう一人の自分です。自分を幸せにするために,もう一人の自分が最も良い決定をしなければなりません。そのために,自分のことをありのままに知る,自分智があらゆる人智の中で最も大切なものとなります。自分は生きている価値があるのだろうか,そういう疑問に取り憑かれることがあっても,親子代々の命を受け継いでいる自分を知ることで自分を尊い存在であると納得できるなら,まっすぐに生きていくことができます。
智には,経験知という領域があります。自分を知る上では経験という自分と直接繋がる智が,子どもには有効です。人の感性を経たいわゆる情報よりも,自分の五感で捉えた情報を自分の頭で処理・整理・記憶することを通して,もう一人の自分が自分の智的世界を形作っていきます。富士山の映像をたくさん見ても,自分の目,耳,鼻,肌で直接感じ取ったものとは全く違います。それは,富士山と自分の存在が直に向き合うからです。智とは,他人の情報ではなく自分の情報によって積み上げていくものです。
夫婦げんかを見てしまった子どもは,自分が妹に意地悪したことが原因と怖れます。あらゆる見聞きしたことを自分に結びつけてしまうのが,幼児の経験知となります。虐待を受けてもひどいことをされるのは自分が至らないからと,自分のせいにしてしまうので,外部には訴えません。もう一人の子どもが育ってくると,親と自分を相対的に見ることができるので,自分への過度な関係づけはしなくなります。親子以外の第三者,隣人や祖父母が側にいてくれると,もう一人の子どもの育ちが促されるのですが。
★落書き★
フランスの高級鞄ブランド,ルイ・ヴィトンの製品を最初に購入した日本人は,土佐藩士後藤象二郎と言われていました。しかし,2017年にパリの本店の購入記録から,1883年(明治16年)に「Itagaki」なる人物が先に購入していることが分かりました。それは自由民権運動の指導者だった板垣退助で,記録と現物から裏付けられる最初の購入者とみられています。
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