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「第 99-13 章」 |
『子育ちは 節度を保ち 共育ち』

■子育ち12美醜■
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『子育ち第13美醜』
【節度】
《まえがき(毎号掲載)》
子育て羅針盤では,こどもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
この第99版でも,これまでの流れに沿って,子ども自身や親が育ちの確認をしていくときに,状況を特徴付けるキーワードとなる語を選んで育ちを展望していきます。ただ構成上に変化を繰り入れます。奇数号では美しい育ち,偶数号では醜い育ちという配置をします。育ちがずれていかないためには,避けるべきことにも目配りをしておくべきです。予め注意すべきことを知っておくと,安心することができるはずです。
《節度とは?》
節度とは,「人に迷惑を掛けないように,自分がそうしたいと思う事でも,良識の許す程度に抑制すること」とあります。節度を弁えていないような大人が増えてきたように感じています。セクハラやモラハラといった人との関係に適切さを欠いた振る舞いは,節度を弁えていないと言われるべきものです。親しき仲にも礼儀ありという言葉もありました。親子の間に節度が働けば虐待はなくなり,教師と生徒の間に節度が働けば体罰や暴力はなくなります。モンスターペアレントも節度を失った親なのです。
節度は大人になって身につくものであり,子どもには育ちの目標になるアイテムです。節度を弁える大人になるように育ってほしいということです。そのためには,真似をするという育ちの基本に依れば,子どもの側にいる大人が節度ある振る舞いを見せてやらなければなりません。節度という意味は後から分かればいいので,真似をしていて知らないうちに身につくという子育てをしてやるべきです。良識の許す範囲という条件は,子どもの経験では対処することはできません。親の後ろ姿という形で経験知を伝えてやってください。
節度は,人に迷惑を掛けないために大事な資質です。そこで,良識とはどういうことを指しているのかが想像できます。自分にとって良いことが,他の人にとって良いとは限りません。それは良いとは言えません。自分にも他の人にも良いことが,良いことなのです。自分が何かをしようとするとき,自分にとって良いことと思っているからですが,そこで一呼吸をおいて,他の人にとっても良いことであるのか考えるようにします。その気配りをできるようになれば,節度を弁える力が育っていくでしょう。
近年,スマートフォンが子どもにも普及するにつれ,小中高生の1日平均利用時間が5時間を超える状況が明らかになり,専門家からは,これほどの長時間使用が子どもたちの脳の機能低下を招く恐れがあると指摘しています。一方で,スマートフォンは子どもにとって魅力的なツールでもあり,生活の中で欠かせない存在になっている。今後スマートフォンが賢くなる一方で,人が愚かになる一方といかないように,自制をしていきましょう。
子育て羅針盤第99版は,今号で結びとなります。次号からは,100版という区切りになりますが,ことさらに気負うつもりはありません。前版のスタイルにしたがって,賢愚という対比をしていきます。視点の逆転は戸惑いがあるかもしれませんが,複眼を持つことは中央を進む助けになるはずです。
★落書き★
1853年に浦賀にペリー提督が率いる米国艦隊が来航しました。その船は見た目から黒船と呼ばれました。船が黒く塗られていたのですが,実用的な理由がありました。その当時の西洋船は,防水と,海水による腐食を防ぐために,防腐剤である黒いコールタールが塗られていたのです。それまで黒塗りの西洋船を見る機会がなかったので,その姿を見た庶民が驚いたというわけでした。
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