*** 子育ち12章 ***
 

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「第 101-02 章」


『子育ちは 見られる自分 共にいて』


■子育ち12試問■

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『子育ち第2試問』

【お子さんは,他者の目で自分を見ていますか?】

《まえがき(毎号掲載)》
 子育て羅針盤では,こどもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という5W1Hの問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
 この第101版では,子ども自身や親が育ちの確認をしていくときに,状況を分析するキーワードとなる12の試問を選んで育ちを検討していくことにします。その構成は,奇数号では「私の育ち」を,偶数号では「私たちの育ち」という配置をします。私の育ちだけに意識が向くと,私たちという社会性に基づく仕合わせな育ちが疎かになります。あちらこちらで人のつながりに欠陥が見られる現状は,私たちという育ちから得られる「私たち」という意識が未熟だからです。そのことに注目して,羅針盤を手元に設定していただくようにお願いいたします。

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 《「他者の目で見る」ということの意味について説明が必要ですね!》

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 ○自分を見つめるのは?

 作文や日記を書くときは,自分の思いや生活をもう一人の自分が思い出そうと目覚めます。内省と言われる行為の基本です。
 イジメを受けた子どもは,いじめられるような弱い自分,惨めな自分をもう一人の自分が許せなくなります。自分なんか居なくなればいいと見捨てるとき,命を絶たせます。もう一人の自分が自尊心の傷つくことに絶えられなくなるからです。イジメという負の体験がもう一人の子どもを目覚めさせ追いつめてしまうのは不幸です。
 犯罪を犯した少年に更生のために作文を書かせるのも,もう一人の自分を目覚めさせ反省させるという目的があるからです。
 自制はもう一人の自分が自分を制することです。もう一人の自分が眠ったままでは,責任能力が無く社会人になれないのです。

 ・・・もう一人の子どもを目覚めさせるきっかけを豊かに!

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 ○みんなの中で!

 モノをおねだりするとき,「みんなが持っている」と理由付けしてきます。もう一人の子どもが持っていない自分は他人と同じでないと判断するからです。この他人と同じでありたいという意識は大切な社会性の始まりです。大切だと感じているから,親との交渉に口実として持ち出してきます。
 言い寄られた親が「本当に必要なモノなら」と査定するのも,そこに社会的必然性を見つけようとしているからです。「人並みに」という暮らしの知恵です。
 子どもは知らないうちに悪さをしでかします。もう一人の子どもがまだ社会的に未熟だからです。河原でビンを石垣に投げつけて割って遊ぶとき,後から河原に来る人に危険だと考える力が未発達です。自転車盗も持ち主の迷惑を察することができない未熟さのせいです。雪下ろしの苦労を思わずに,雪国に憧れるのも未経験からくる幻想です。
 「みんな」という範囲が狭いのです。身内や仲間だけを「みんな」と思っていて,「赤の他人」はみんなの中に入れていません。限定された「みんな」に止まっているから,社会性が偏狭なものに固定化し,問題行動に発展していきます。
 もう一人の子どもが「みんな」の目を持っていますが,それを他人の目にまで見開けるように育てなければなりません。昔の人が「かわいい子には旅をさせよ」といったのは,他人の目を持つために多くの人との関わりを体験させることだったのです。そこから生まれた「恥の意識(文化)」はすでに消滅しています。新しい目を・・・

 ・・・公共性は,見ず知らずの人もみんなの中に含めることです。

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 ○考えるもう一人の自分

 夜道を歩いていると無灯火の自転車が音もなくすり寄ってきます。一瞬びくっとさせられます。車での帰り道,目の前にいきなり自転車が現れます。はっとさせられます。自転車に乗る人は勝手知った道なので,灯火なしでもこわくはないのでしょう。しかし,歩く人に対して身を隠して加害者になる可能性,ドライバーに対して陰のようになって被害者になる可能性を考え及んでいません。自分を見る他者の目を持っていないからです。
 シートベルトを装着していないドライバーを見かけます。シートベルトは自分のためにする安全策です。自分の命への気配りのない人は他人の命など考えることはできないでしょう。とてもこわいと感じます。他者の目を持つことは,自分を大事にすることにつながります。
 思いやりは相手の立場になって考えることであり,もう一人の自分がすることです。自分を大切に思うのはもう一人の自分であり,他者の目を持つもう一人の自分が他者も同じ人として大事に思うのです。人が人間らしくなるには,もう一人の自分が育つことです。

 ・・・豊かな心とは,もう一人の自分がいなければ現れません。

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 《他者の目で見るとは,もう一人の自分が社会化するという意味です》

 ○子どもたちは,「何となく」,「皆がするから」という曖昧な形で社会化しはじめますが,もう一人の自分が体験し考えるようになれば,さらに成長していきます。大人の社会的な目で見た意見を子どもに伝授し続けましょう。

 【質問2:あなたのお子さんは,他者の目で自分を見ていますか?】

   ●答は?・・・どちらかと言えば「イエス」ですね!?



 子育て羅針盤についての説明の初版を整理採録していますので,最近の版に比べると少し長めになっていますが,いかがですか? 子どもの育ちに寄り添うために必須の12ポイントを定義していきますので,ゆっくりと確認をしてみてください。
 育っているのは子どもではなく,もう一人の子どもであると書きました。実はここの部分が「子育て羅針盤」の最大の難所ですので,ちょっと分かりにくい点があったことと思います。ただこのように考えるといろんな課題が見えやすく整理できるのではないかと考えた次第です。

★落書き★

 大阪万博は終わります。モニュメントが残ります。パリ万博の記念モニュメントがエッフェル塔ですが,1889年に建設されました。当初の契約では,20年後の1909年に解体される予定でした。ところが,軍事用の無線電波を送受信するのに適していたことから,取り壊しを免れました。その電波塔としての役割は,今のエッフェル塔にも受け継がれています。

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