*** 子育ち12章 ***
 

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「第 101-06 章」


『子育ちは 共に生きると 感じつつ』


■子育ち12試問■

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『子育ち第6試問』

【お子さんは,美しい言葉遣いをしていますか?】

《まえがき(毎号掲載)》
 子育て羅針盤では,こどもの育ちを6つの方向と2つの領域から考察します。6つの方向とは,「誰が,どこで,いつ,何が,なぜ,どのように育つのか」という5W1Hの問題視座です。また,2つの領域とは,「自分の育ち(私の育ち)」と「他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ち」の領域を表します。6つの方向にそれぞれ2つの領域を重ねた12の論点が「子育て羅針盤」の基本的な考察の構成となります。
 この第101版では,子ども自身や親が育ちの確認をしていくときに,状況を分析するキーワードとなる12の試問を選んで育ちを検討していくことにします。その構成は,奇数号では「私の育ち」を,偶数号では「私たちの育ち」という配置をします。私の育ちだけに意識が向くと,私たちという社会性に基づく仕合わせな育ちが疎かになります。あちらこちらで人のつながりに欠陥が見られる現状は,私たちという育ちから得られる「私たち」という意識が未熟だからです。そのことに注目して,羅針盤を手元に設定していただくようにお願いいたします。

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 《「美しい言葉遣い」という言葉について説明が必要ですね!》

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 ○ワアー きれい!

 ママと一緒に歩いている子どもが,道ばたに咲いている花を見て立ち止まっています。「何をぐずぐずしているの,早くいらっしゃい」と急かせます。心が育つ大切なチャンスを逃そうとしています。心の育ちは心が動いているときにきっちりと定着させなければなりません。

 子どもは風景の中から花を見つけだして何かを感じています。そのときに,ママが「きれい花ね!」と言葉を掛けてほしいのです。そうすれば,子どもは今感じている気持ちを「きれい」と表現出来ることを覚え,意識することができます。同時に,「きれい」の一言でママと共感出来る,つまり心が通いあうことを確認します。

 心を教えるということは,相応しい言葉による表現を教えることです。今どきの若者が心の動きのすべてを「すご〜い」の一言でしか表現できないようですが,言葉の貧しさは心の貧しさにつながります。

 ・・・花の美しさを何通りの言葉で表現できますか?

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 ○なぜだろう? ママの顔を見たら逆らいたくなる!

 連れだって歩きながら,それぞれが携帯電話で別の人とお話ししている風景は不思議です。自転車を携帯片手にながら運転する若者も増えてきました。会っているときに話せばいいのにと思いますが,電話の方が話しやすいそうです。なぜなんでしょう?

 人と向き合うと疲れるようです。自分を語ることは得意ですが,話を相手にあわせて転がしていくのは苦手なためのようです。それに電話だと取り繕いが簡単にできます。話をやめたいときも,どうにでも理由を付けられます。相手には見えていないのですから。

 コミュニケーションは言葉を使います。言葉が文字になり,記号化され,情報化が進んでいき,携帯電話になりました。しかしそれは主食であるご飯やパンと同じであり,食事ではありません。言葉を発する人の表情や態度というオカズが揃ってはじめてコミュニケーションという情報の食事になります。

 ママがきわめて優しい言葉をかけながら冷たさをたたえた表情をしていると,子どもは戸惑いを感じます。それが続くと情緒不安定になり,やがて心の病気にかかっていくそうです。タテマエの言葉とホンネの表情を見分けます。「あなたには手を取られたくない」,「あなたには面倒掛けられる」といった否定的な気持ちは,表情になって発信されます。子どもはそれを母親からの受動的な攻撃と読み取ります。

 ママは大変だなと思っていても,次から次に追い立てるようなママの不機嫌な顔を見ていると,子どもは防衛本能からつい逆らわざるを得なくなります。そうするようにママがし向けているのです。子どもの行動は親の鏡とみなすことができます。

 ・・・美しい会話は,言葉と表情とがぴったりと一致したものです。

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 〇うれしいときは?

 親は子どもが幸せであるとき,子どもにいいことがあったときは,とてもうれしい顔になるものです。自分のことではないけれど幸せな気持ちになることができます。人が社会的動物であると言われるのは「共存原則」を持っているからです。喜怒哀楽を共感する能力です。この共感力を眠らせてはなりません。

 地方から都会に出稼ぎに出ていたお父さんが,年末に帰郷する日が明日です。家には小学2年生の女の子がいました。「明日,お父さんが帰ってくるね。お父さんに何をお話しする?」,「分からない」,「どうして?」,「だっていっぱいあるから」。あくる日,駅に出迎えに行きました。「お父さんがもうすぐ帰ってくるよ。お父さんの姿が見えたら,何て言う?」・・。

 女の子は駅の出口を見ながらしばらく考えていましたが,「笑う」とひとこと言いました。大人なら「お帰りなさい」と迎えるでしょう。でも,その子は笑顔を見せると言ったのです。笑顔は人を迎え入れる最高のサインです。心を思いっきり開いて・・。

 ・・・笑顔がなぜ美しいのか,最高のおもてなしだからです!

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 《美しい言葉づかいとは,気持ちが通い合い共感することです》

 ○言葉のしつけは体験をベースにして共感を表現していけば,ごく自然にできるはずです。うまくいかないときは,自分の体験を押しつけているときです。

 【質問6:あなたのお子さんは,美しい言葉づかいをしていますか?】

   ●答は?・・・もちろん「イエス」ですね!?



 子どもは生きていると同時に,育っています。経験を重ねることを通して,さまざまな能力を開発し体得していきます。ただ,その能力を適切に活用する手引きを組み込むことが必要です。力の使いようによって,人としての生き方が変わってくることは注意しなければなりません。何も善悪の違いというだけではなく,らしさが現れてきます。そのために,力の意味を知っておくことが大事です。

★落書き★

 前号で,潮の満ち引きによって陸と海の線引きが違っていると書いていました。ところで,日本の土地の高さを示す「標高」は,東京湾の平均海面を基準(0メートル)として測られています。その東京湾の平均海面を地上に固定するために設置されたのが「日本水準原点」です。ちなみに,東京都千代田区の国会前庭に設置されている日本水準原点の標高は24.3900メートルです。

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