*** 子育ち12章 ***
 

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「第 39-03 章」


『子育ては 子ども受け入れ 安心を』


【権利 39-03:親と暮らす権利!】

 ■子育ち12権利■
『子育ち第3権利』
〜家族である権利〜

 《コメント》
 子どもの権利条約・ユニセフ抄訳では,「第9条:親と引き離されない権利:子どもは,親といっしょに暮らす権利を持っています。ただし,それが子どもにとってよくない場合は,はなれてくらすことも認められます。はなれてくらすときにも,会ったり連絡したりすることができます」とあります。子どもにとって,親と暮らすことは至って自然なことです。社会の状況によって親子が引き離される特殊な場合を除けば,この権利条文は,親に対する養育義務を確認するものと理解しておけばいいでしょう。

 《場所を得ること》
 子どもの居場所ということが言われます。自分の部屋があれば,そこが居場所になると思っているふしがあります。隔離されている子ども部屋は寝室であり,居場所ではありません。家族のそれぞれがお互いを少し意識しながら,自分のやるべきことをすることができる,そのようなリビングが居場所になります。世間でも,活気のある場所にいるから自分の仕事ができるのであって,一人ぽつんとしていてはやる気は萎えていきます。居場所というのは,人とつながっている中での場所を得ることが大事なのです。

 《手伝いをさせる》
 家族が同じ家に暮らしていても,それぞれが自分のことだけしかしないようでは,閉じこもりであり,居場所にはなりません。家族は生活をしていますが,それは全員が関わるべきものです。子どもにもできることで,生活に関与する機会を与えるようにしましょう。子どもの手を借りると考えればいいでしょう。日々の暮らしの一部を担うことによって,自分も家族の一員であるという気持ちを持つことができるようになります。あなたは邪魔だからあっちで温和しくしていて! それは子どもを家族としての暮らしの外に追い出していることになります。

 《安心させる》
 家にいてもつまらない,することがない,自分のことは自分でしなさいと放り出されている,何かをすると余計なことはしないでと言われる,部屋に行って勉強しなさいと急かされる,そういう環境であれば,子どもは自分の世界に閉じこもらざるを得なくなり,なんとなく不安になります。仕方なく,ゲームにのめり込んで自ら閉じこもってしまうこともあるでしょう。家族が暮らしていく上で,子どもが果たさなければならないことを与えるようにすれば,子どもは面倒に思うかもしれませんが,家族がつながっているという実感を得て,安心することができます。

 《存在感が育つ》
 いない方がいい人というのは論外としても,いてもいなくてもいい人という扱いを受けると,人は自分の存在を危うく感じます。いなければならない人だと思って貰えたら,そこが安心できる居場所になります。さらには,居て欲しいというメッセージを受け取ると,子どもは自分の存在を肯定的に感じることができます。ぎゅうっと抱きしめてあげる,最も身近に触れ合うという単純な行動によって,子どもは安心し,求められている自分を確信します。親と暮らすということは,隣り合わせていることではなく,つながっているということです。

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※親離れした子どもは不安になります。その不安を解消しないと,育ちが滞ります。家族という居場所を与えることで,安心を取り戻させてやることができます。もしも,家族の間がぎくしゃくしていると,不安はもう一人の子どもに不信感を植え付け,自己防衛を図ろうとします。自立を促すつもりで突き放してばかりでは,やがて家族を忌避し排除する気分に駆り立てます。自分を丸ごと受け入れてくれる家族であれば,もう一人の子どもはその家族を大事にしようという気持ちになり,自立に向かった育ちを始めることができます。




 家族という人間関係に安心できると,その延長として近くにいる人との関係も素直に受け入れる準備が整います。世間というのは自分にとってよいものという感触です。外に出ると,子どもは同じくらいの子どもに興味を持ちます。もう一人の子どもが,その子どもに自分を見ているつもりなのかもしれません。自分と同じということで,親近感を抱くのでしょう。いっしょに遊ぶということを通して,自分を再発見することができます。子どもの中に居場所を持つことで,もう一人の子どもは自分の育ちを広げていく意欲を持つことができます。

★落書き★

 ラッコが海面に浮かんで,お腹の上で石を使って貝を割って食べる姿はかわいいので,子どもにも人気があるようです。ラッコは北洋の沿岸部に住んでいましたが,18世紀頃,毛皮が高く売れることから乱獲されました。このために,ラッコは人を恐れるようになり,陸から離れ,あのように海中で生活するようになったということです。ラッコにすれば,あの習性はそうせざるを得ない状況に追いやられた結果なのです。今では,ラッコもそれを愛でる人間も,お互いの悲しい関わり合いなど知るよしもありません。


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