*** 子育ち12章 ***
 

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「第 39-05 章」


『子育ては 言語世界に 親しんで』


【権利 39-05:意見を表す権利!】

 ■子育ち12権利■
『子育ち第5権利』
〜意見を言う権利〜

 《コメント》
 子どもの権利条約・ユニセフ抄訳では,「第12条:意見を表す権利:子どもは,自分に関係のあることについて自由に自分の意見を表す権利をもっています。その意見は,子どもの発達に応じて,じゅうぶん考慮されなければなりません」とあります。自分はどう思うのか,自分はどう感じるのか,自分はどうしたいのか,自分はどう考えるのか,自分について語ることによって,もう一人の子どもが自分の有り様を言葉を使って認識することができるようになります。意見の内容はともかく,自分を表現することで,もう一人の子どもは大きく成長していきます。

 《本を読むこと》
 これはなに? ものの名前を知ることから,言葉の獲得が始まります。花! どんな花? 黄色の花。色を表す言葉が必要です。大きさは? 小さい花。どれくらい? どう言えばいいのでしょう? 指でこれくらい。具体的な言葉の他に,抽象的な言葉や,感情表現も必要になります。本を読めば,場面が段階的に説明されているので,疑似体験をすることができます。体験を表す言葉が提示されているので,自然に表現の言葉を覚えていきます。覚えた言葉を使って自分を表現してみて,通じることを確認してみましょう。

 《聞かせる》
 親子の対話が必要だと言われます。それは分かっているのですが,どうすればいいのでしょうか? 最も基本的なことは,単語ではなく,文章で話を交わすことです。「宿題は?」。単語で言うと,どうしても命令調になってしまい,答える言葉は「はい」だけに封じられます。「宿題をする時間は大丈夫ね」。この程度の文章でも,子どもは時間を考えるという対応をすることができます。言葉を受け止めることができるように話す,それが聞かせる言葉遣いとなり,対話となります。言うことを聞かせるという支配型の単語調は禁物です。

 《話させる》
 子どもに十分に話させることです。大人は子どもの話を途中で分かってしまい,畳み込むことがあります。子どもが言い終わるまで,話を聞く姿勢を保つようにします。言葉が見つからずに言いよどむことがあるときも,ゆっくり話していいという笑顔を向けておきます。早く言いなさいと急かしていると,話すことを怖がるようになります。聞いてもらえるから,話す力が育っていきます。話すことは自分が見たこと,聞いたこと,考えたこと,感じたことです。何をどう考えたか,感じたか,その言葉の選択が自分を表現することになります。

 《主観性が育つ》
 意見とは,「私」の意見です。自分を大事にしようとするもう一人の自分が,自分をベースに置いた主観的な意見を主張することになります。自分なりの意見を持っていないと,自分がないことになります。私はこう思う,私はこう考える,それが自立することにつながります。話し合いの席で意見を聞かれて「分かりません」という返事は,自分を見失っているか,見るつもりがないか,その場での存在を自ら抹消することです。陰でしか話すことができないという情けない状況は,早く卒業しなければなりません。

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※感情を整理し,思考を展開する道具として言葉があります。ムカツクといった叫びしかできない幼稚さから抜け出して,人としての表現をするためには,言葉を駆使する必要があります。日常会話の言葉だけでは,複雑な自分の感情をもう一人の自分はつかみきれません。知的な情報社会に対処することもできなくなります。本を読む人が少なくなったという傾向は,本を読む力が身についていないということです。本を読めない言葉力では,もう一人の自分は自分を生かすことができないでしょう。子どもには,教科書を読んで理解できる力が当面の目標となります。




 人は無垢の状態で誕生します。とりあえず生きていく本能は備わっていますが,社会生活に必要な知恵は育ちの過程で学習し教育をされなければ獲得できません。文明も文化も情報として蓄積されていますが,その情報を摂取する手立てが言葉です。人から人へ伝わる情報の中に,知恵が凝縮されています。言葉を操るから,人は知恵を使うことのできる人間になります。社会は進歩発達をしています。言葉を駆使して新しい知恵を産み出すために,考える力が必要になります。それぞれの考えをお互いに知り練り上げていくことで,よりよい社会づくりに参画しなければなりません。

★落書き★

 先日何気なくテレビを見ていたら,マナーの番組の中で,ノックの回数について紹介されていました。普通2回叩いている方が多いと思いますが,2回はトイレノックといって,トイレや浴室などに人が入っているかどうかを確かめるときだそうです。3回はプライベートノックといって,恋人や夫婦の部屋に入る前の合図,4回が正式ノックで,仕事や人の家を訪ねたときに使うのだそうです。ベートーベン作曲の運命の扉を開くダダダダーンが4回ノックですね。海外などでは気をつけた方がよいということです。ところで,子ども部屋の扉は何回でしょう?


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