『子育ちは 覚える言葉 精選し』
【公式 41-05:子育ち第5式】
■子育ち12公式■
『子育ち第5式』
〜知恵=経験×言葉〜
《解説》
赤ちゃんは手当たり次第にモノを口にします。生きていく本能として,食べられるかどうかを試しています。子どもはさまざまなことに対して,先ずは五感を使った経験によって,身の回りの環境との関係を見極めていきます。幼いときは同じことを繰り返す経験になります。色や形を言葉で区別できない間は,記憶できないからです。赤いモノを見ても,赤いという色の名前を知らないと,見ていても赤いと理解し記憶することができません。経験は言葉が掛け合わさって知恵になるのです。言葉が0なら,経験は無になります。
《事例:見習い》
子どもを見れば親が見えるといわれます。子どもは身近にいる親や大人を見習いながら,経験を重ねていきます。どのような環境で育つかという違いが,経験の違いになって,育ちが違ってきます。ただ最近の環境は,テレビやゲームなどのバーチャルなものにシフトしているので,子どもたちの経験が体験とは異なってきています。現実感が伴わないことが,限界という知恵の喪失を招いています。例えば,していいことといけないことの区別,するにも程があるという限度を弁えることは,身を守る大事な知恵です。
《事例:支配権》
「お父さんが話しているから,黙って聞きなさい」。そう言われた経験のある子どもは,もう一人の子どもが真似をして同じように自分に指令を出すことができます。自分に言い聞かせるという所作は,もう一人の自分がすることです。子どもはママに言われた言葉を覚えて,ママの口調で口にすることがあります。それをしているのが,子どもの中に育っているもう一人の子どもです。例えば,学校で先生の話を温和しく聞くことのできる子どもは,もう一人の子どもが自分に向かって言葉掛けのできる子どもなのです。
《事例:適時性》
娘が1歳半のときCDケースからCDを取り出そうと奮闘中。どうしても出せなくてぐずり出しそうになったので、「頭を使って考えてごらん」と言ったらCDケースに向かって何度もヘッドバットを繰り返していた。頭を使うという言葉は理解できるので,自分の頭を使いました。でも,考えるという言葉は理解できないので,聞こえてきても自分に語りかける力はありません。無意味な言葉になります。言葉を知らないと,自分を動かす言葉にはならないのです。考えるという高度な経験に言葉を重ねて覚えさせる時期はもう少し後になるでしょう。
《事例:曲解》
娘がまだしゃべり始めたばかりの春先、小さいテーブルにタンポポやつくしを並べていたので、「かわいいお店屋さんだね、なに屋さん?」と聞くと、「あのね、春を売ってるの♪」・・・売るのも買うのも犯罪です。お店屋さんは,何かを売っているところという経験知はあります。なに屋さんという問いかけが通じていません。店には花屋さん,八百屋さん,お魚屋さんといった種類があるという経験知が無いからです。何を売っているかという問いかけとしか聞き取れません。タンポポやツクシは春であるという知恵は楽しいですね。
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※どのような内容をどのように話しているかを聞けば,その人となりを知ることができます。性格と言葉遣いもかなりつながっています。言葉はもう一人の自分が自分を動かすプログラム言語になるからです。言葉を知らないと理解できないし行動に移すこともできません。荒っぽい言葉遣いをしていると,行動も荒っぽくなりがちです。優しいから優しい言葉遣いをするのではなく,もう一人の自分が優しい言葉を使っているから自分が優しくなることができます。母親は言葉の伝授者であることを自覚して下さい。
言葉は社会性の条件です。日本語を使うから,日本人という生き方が可能になります。土地の方言を使うから,その土地っ子として暮らしていくことができます。言葉を共有するから仲間意識が醸し出されます。世代に共有される言葉があります。時代を反映する言葉もあります。言葉は対話によって磨かれ,言葉を使う人の思考を促します。考えるプロセスは言葉をつないでいく営為です。業界用語や専門用語が生まれるのは,思考を深化していく上で不可欠なことです。思慮深くなるには,言葉の質と量が大事になります。
★落書き★
お腹具合が弱ったとき,おかゆを食べることがあります。その際に食べ方に気をつけましょう。よく噛んで食べることです。噛む際に唾液と混ざります。唾液にはアミラーゼなどの消化酵素が含まれています。噛まないで飲み込むと,消化酵素が混じりません。また,おかゆは水分が多いため,胃液が薄められて消化能力が低下することにもなります。ゆっくりとよく噛んで食べて下さい。よく噛んで食べる,それはちゃんと意味のあることです。
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