*** 子育ち12章 ***
 

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「第 42-02 章」


『子育ちは 自分を思う もう一人』


【目標 42-02:他者を認めること】

 ■子育ち12目標■
『子育ち第2目標』
〜「他者を認める」ということの意味について説明が必要ですね!〜

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 ○自分を見つめるのは?

 作文や日記を書くときは,過ぎ去った自分の思いや生活を思い出すためにもう一人の自分が目覚めます。過ぎた自分のところに行けるのは,もう一人の自分にしかできないことだからです。内省と言われる行為の基本パターンです。

 イジメを受けている子どもは,いじめられるような弱い自分,惨めな自分をもう一人の自分が許せなくなります。「自分なんか居なくなればいい」と,もう一人の自分が自分を見捨てるとき,命を絶たせます。もう一人の自分が自尊心の傷つくことに耐えられなくなるからです。イジメという負の体験がもう一人の子どもを目覚めさせ,自分を追いつめてしまうのは不幸なことです。

 犯罪を犯した少年に更生のために作文を書かせるという心理的療法も,もう一人の自分を目覚めさせ反省する力を持たせるという目的があるからです。犯罪は他者に対する不法行為ですが,相手である被害者の心情に気付くのは,もう一人の自分なのです。

 自制というのは,もう一人の自分が自分を制することです。もう一人の自分が眠ったままでは,自分の行いに対する責任能力が発揮できずに,社会人になれないのです。

・・・もう一人の子どもは,自分を見つめながら育ちます。

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 ○トイレのしつけのため?

 はじめのうち,子どもは「オシッコ出た」と言ってきます。不快感があるから出たことが分かって訴えます。言葉を使うのは「もう一人の自分」ですが,もう一人の自分がまだ自分をしっかりと把握できていないために,タイミングを失して「出そう」とは言えないのです。出そうと言えるようになるためには,もう一人の子どもがいつも目覚めて自分を見守っていることが必要です。

・・・もう一人の子どもが育てば,自然に言えるようになります。

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 ○読書の楽しみは?

 推理小説を読むことがあります。もう一人の自分は本の世界に入り込み,主人公の探偵に同化します。決して被害者にはなりません。被害者ははじめに消えるからです。謎解きをしているもう一人の自分は疑似体験をしていることになります。本を読むことは,もう一人の自分が目覚めて,主人公という他人になって得難い体験をすることです。読書はもう一人の自分を一回り大きく育てているということができます。

 子どもはヒーロー遊びが好きで,自分がなったつもりで飛び回ります。もう一人の子どもが夢いっぱいの体験をしています。正義の味方として振る舞うことで,正義の意味や気持ちを身に付けていきます。大人になってもアニメなどのコスチュームに身を包むというのはいささか気になりますが,自分以外の存在になりきるというもう一人の自分のなせることです。

・・・もう一人の自分は他者の体験をすることで育っていきます。

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 ○みんなの中で!

 モノをおねだりするとき,「みんなが持っている」と理由付けしてきます。もう一人の子どもが,持っていない自分を他人と同じでないと判断するからです。この他人と同じでありたいという意識は大切な社会性の始まりです。大切だと感じているから,親との交渉に口実として持ち出してきます。

 言い寄られた親が「本当に必要なモノなら」と査定するのも,そこに社会的必然性を見つけようとしているからです。「人並みに」という暮らしの知恵です。

 子どもは知らないうちに悪さをしでかします。もう一人の子どもがまだ社会的に未熟だからです。河原でビンを石垣に投げつけて割って遊ぶとき,後から河原に来る人に危険だと考える力が未発達です。自転車盗も持ち主の迷惑を察することができない未熟さのせいです。雪下ろしの苦労を思わずに,雪国に憧れるのも未経験からくる幻想です。

 「みんな」という範囲が狭いのです。身内や仲間だけを「みんな」と思っていて,「赤の他人」はみんなの中に入れていません。限定された「みんな」に止まっているから,社会性が偏狭なものに固定化し,問題行動に発展していきます。

 もう一人の子どもが「みんな」の目を持っていますが,それを他人の目にまで見開けるように育てなければなりません。昔の人が「かわいい子には旅をさせよ」といったのは,他人の目を持つために多くの人との関わりを体験させることだったのです。そこから生まれた「恥の意識(文化)」はすでに消滅しています。新しい目を・・・

・・・公共性は,見ず知らずの人もみんなの中に含めることです。

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 ○考えるもう一人の自分

 夜道を歩いていると無灯火の自転車が音もなくすり寄ってきます。一瞬びくっとさせられます。車を運転しての帰り道,目の前にいきなり自転車が現れます。はっとさせられます。自転車に乗る人は勝手知った道なので,灯火なしでもこわくはないのでしょう。しかし,歩く人に対して身を隠して加害者になる可能性,ドライバーに対して陰のようになって被害者になる可能性を考え及んでいません。自分を見る他者の目を開いていないからです。

 シートベルトを装着していないドライバーを見かけます。シートベルトは自分のためにする安全策です。自分の命への気配りのない人は他人の命など考えることはできないでしょう。とてもこわいと感じます。他者の目を持つことは,自分を大事にすることにつながります。

 思いやりは相手の立場になって考えることであり,もう一人の自分がすることです。自分を大切に思うのはもう一人の自分であり,他者の目を持つもう一人の自分が他者も同じ人として大事に思うのです。人が人間らしくなるには,もう一人の自分が育つことです。

・・・豊かな心とは,もう一人の自分がいなければ現れません。

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 《他者を認めるとは,もう一人の自分が社会化するという意味です》

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 子育ち第2目標は,誰が育つのかという課題に対する第2の解答であり,育つ「もう一人の子ども」が,自分と他者の関係を同等に認識することです。子育ち12目標の偶数番目のものは,自分と他者の関係,すなわち社会性に不可欠な育ちになっていることを覚えておいて下さい。この面での育ちが少しばかり手抜かりであったために,今の子どもたちに社会生活のひ弱さが出てきています。足りなかった育ちを見つけて,しっかりと手当をして下さい。



 草木の育ちには大地が必要です。子どもの育ちについては,どうなのでしょう? 育っている場所は,もちろん家庭であり,学校であり,地域です。これら3つの場所に共通する育ちに必要なことはどういうことでしょう? 大切なものは普段は意識していませんが,無くしたときに大切さに気付かされます。親にとって子どもは育てる手間暇の掛かる存在ですが,もし突然いなくなったら,大切な存在であることを思い知ることになります。そここそが育ちの場になります。

★落書き★

 勉強に必要な鉛筆は,明治時代に外国からもたらされ,日本でも外国製の鉛筆を真似して作る人が出てきました。ところが,芯が軟らかすぎて使い物になりません。細々と作っていましたが,ある製造所の工員が,火鉢の炭火を挟むのにうっかりして鉛筆を使ってしまいました。木の部分が燃えて芯だけが残されました。主人はカンカンに怒ったのですが,焼け残った芯をふと試しに使ってみると芯が硬くなって書きやすくなっていました。この製造所がやがて三菱鉛筆という会社になりました。


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