*** 子育ち12章 ***
 

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「第 47-13 章」


『子育ては 喜び連れて 生きること』


■子育て12チェック■

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『子育て第13チェック』

【生活させていますか?】

●親にとって,子どもとはどんな意味があるのでしょう? 宝物ではなくて,やっかいものでしょうか? こんな罰当たりなことを考えるのは,親ではありません。親なら,我が子を胸に抱いたことがあるなら,意味や理由など不要でしょう。中途半端に賢いと,やれ意味だ甲斐だと頭で納得しようという悪癖が出てきます。親子の間柄は,考えることではなくて感じるものです。感じることができないと親にはなれないのです。

●兄弟がいました。ある日のこと,お兄ちゃんが遊びに行っていた友だちの家からケーキを1個頂いて帰ってきました。そのことを聞いた母親が「弟に分けてあげなさい」と言ったので,兄は弟と半分にしたケーキを一緒に仲良く食べていました。

●ほほえましい光景を眺めていた父親が,兄弟にフッと思いついて尋ねました。「お母さんがケーキを二人で分けて食べるように言ったね?」,「ウン」。「お母さんはどうしてそんなことを言ったのだろうね?」。兄弟はケーキを食べている手を止めて,お父さんは一体何を言いだしたのだろうと顔を見合わせましたが,それでも考えていました。

●やがて,さすがにお兄ちゃんが兄らしく自分が答えなくては思ったのでしょう,こんな返事をしました。「ボクが一人で食べると,弟が可哀想だから」。学校で道徳の時間に,相手を思いやることを学んでいました。弟も食べたいと思うはずだから,自分だけ食べたら,弟はきっと泣くだろうと考えたのです。弟思いの優しいお兄ちゃんらしい答えです。

●弟はお兄ちゃんが答えたから自分も何か答えなくてはと,しばらく考え込んでいました。日頃からお兄ちゃんに負けたくないと背伸びしている腕白な弟です。父親はじっと待っていました。やっとお兄ちゃんと違った答えを見つけたのでしょう,弟が答えました。「今度ボクがケーキをもらったときに,必ずお返しをすればいいから」。

●分けて貰った立場にある弟は,借りができたことになります。世間の暮らしではモノを頂いたらお返しをすることでトントンになるということを,日頃の母親の行動から知っていたのです。幼い弟らしく,ケーキにはケーキを返すという約束をすればいいのではと受け止めたわけです。

●ニコニコと二人の答をうなずきながら聞いていた父親は,二人の成長を喜んでいました。でも,胸の中では少しばかり気になることがありました。質問をした以上,父親なりの答がありました。兄弟の答は,父親の答にまだ届いていませんでした。無理もないことです。二人に教えておくよい機会だと考えました。父親の答はどんなものだったのでしょうか?

●弟が可哀想だから分けてあげる。その兄が示した思いやりにはちょっとした副作用があります。分けてやった方は「ありがとう」というお礼の一言ぐらい言って欲しいという気持ちを,分けて貰った方はお礼を強要されるような気持ちの負担を感じることがあります。もしも弟が黙ってケーキを食べたら,お礼も言わない奴にはもう二度と分けてやらないということになります。

●いつか必ずお返しをする。その暗黙の約束は,すぐには実現できません。早くお返しをしないと,その後ことある毎にいろんなことで「この前,ケーキをやっただろう」と恩に着せられることもあり得ます。お兄ちゃんにその気はなくても,貰った方にそんな後ろめたさが湧いてくるものです。ケーキ半分を借りたという負担は,気持ちの負担になってのしかかってくるようになります。

●でも,父親は子どもの答を受け止めて,それに直接に反論することはしませんでした。反論されることは子どもが最も嫌うことだからです。子どもの答もあるということを認めてやらなければ,防御態勢に入って父親の答を聞く耳を持たなくなるからです。自分の答とは違った答もあるということを教えてやることが親の説得の基本です。

●父親は兄弟に話しました。「お母さんがケーキを分けて食べるように言ったのは,一つしかないケーキを兄弟で分けて食べた方が美味しいと思うような人になって欲しいなと願っているからだよ」。

●分けてあげる,お返しをするという子どもたちの答は,生きていくテクニックとして大事なことです。それは大事なのですが,家族として生きていくことで生きる喜びを感じて欲しいというのが,親の願いなのです。した方がいいという知恵,しなければならないという強制ではなくて,したいという喜びの情感を持って生きていって欲しいのです。

●兄弟がケーキを美味しいねとうなずき合いながら食べている様子を見て,父親はニコニコしています。お兄ちゃんが貰ってきたケーキですが,そのことはどうでもよくって,楽しいひとときを過ごせたらそれで十分な兄弟,仲の良さを見守っている親もうれしいことでしょう。家族として共に喜びを分かち合う生活が,子どもの育ちを導いていきます。



 子育て羅針盤第47版が終わりました。各号が長めのものになりましたが,子育て羅針盤の極意編ということでお許し下さい。
 さて次号からは,「子育ち12習慣」として版を改めます。米国カリフォルニア大学の心理学教授ソニア・リュポミアスキーが著した「幸せでいるための12の行動習慣」で列挙されている12項目を借用しながら,羅針盤に配置換えをして,考えてみることにします。項目だけをお借りしますので,内容は上記の参照文献とは無関係であることをお断りいたします。なお,翻訳本は日本実業出版社から「幸せがずっと続く12の行動習慣」として発行されています。

★落書き★

 舌打ちをする癖が見えるときには,早めに止めさせるようにしましょう。舌打ちは嫌なことが突然起こったとき気持ちを代弁しますが,ダメ人間のアピールになるのでかっこよくありません。失敗したときなど,どうしてよいか処理できずに,自分を卑下するときに舌打ちをします。また,同じように失敗をしても,自分のせいではないと,周囲を攻めるように舌打ちをします。いずれもダメ人間のぼやきです。


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