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「第 52-07 章」 |
『子育ちは 今の自分に 積み足して』
■子育ち12疑問■
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『子育ち第7疑問』
【親が激励するが,子どもは非難されるとは?】
《まえがき》
この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが版の構成となります。
第1の誰が育つのかという問には,鏡に映っている自分を見ているもう一人の自分が育つと考えます。しっかりしろと自分を励ましているもう一人の自分が育たなければならないのです。これまでの子育て羅針盤の形式に添って,奇数章では,もう一人の自分の育ちを考えていきます。偶数章では,人は社会生活が必至なので,自分は他者と対等な関係を持つことができるように育つと考えていきます。他の5つの視点についても,同様とします。
この版では,大人と子どものすれ違いを題材にして,「子育て」と「子育ち」という対照について考えてみようと思っています。
《激励》
「人生とは重き荷物を背負って坂道を登るようなもの」という言葉を残したのは,徳川家康です。人生を歩き始めている子どもも,育ちの課題という荷物を背負っています。重いから止めておこうという気になって,荷物を下ろしてしまうと,育ちができなくなります。そこで親は,何とか重い荷物を担がせなくてはなりません。担ぎなさいと指示し,担いでいないと叱ります。坂道の途中なので,「このままではだめ!」と,ついついハッパを掛けたくなります。
激励といえば,「がんばれ」という言葉が思い浮かびます。がんばるとはどういうことか,教えておかなければなりません。がんばるとは,今以上に精を出せということではなく,今のままでいいということです。今していることがいいことだからと認めてあげて,もう少し続けてほしいという願いを伝えることが,がんばってねという激励です。大切なことは,今のままではダメというのではなく,今のままでいいからという認知です。坂道の途中にいる子どもを,ここまでよく登ってきたねと認めてやることが,激励です。
《非難》
子どもを育てようとしている親は,こうでなければならないという子ども像と目の前の子どもを比べて,期待像になるように,しつけという働きかけをします。そこに焦りや親の都合などが紛れ込むと,しつけが虐待や体罰に踏み外すことになります。「虐待ではなくしつけだ」という言い訳をむげに否定できないのは,そこになにがしかのつながりを認めざるを得ないからです。それでも,明確な一線があるはずであり,それは目の前の子どもをダメと否定していることです。言い換えると,人間扱いしていないということです。
大人から見れば,子どもは育ちの途上にいるわけですから,未成熟です。未成熟であって当たり前,ただし,未成熟にも程度があることを弁えておくことです。この年頃の子どもはこの程度の育ちであるという子どもたちのイメージを持つようにしましょう。同年齢の子どもではなく,異年齢の子どもたちをたくさん見守って下さい。同年齢の子どもだけを見ているから,ついダメなところに目を付ける嫌みな非難になります。至らなくていい,弱くていい,今は今の状態でいい,今を認めてやることが,親の目です。
子どもは親の背中を見て育つといわれます。背中を見せる準備をしておかないと,子どもは親の背中を見るという育ち方を知らないことになります。小さいときに,おんぶしてやること,肩車してやることです。だっこをすると子どもと対面して安心感を与えるといわれますが,長い間向き合っているとやがて落ち着かなくなるはずです。向き合うのはちょっとの間でいいのです。おんぶをすると,親の背中の広さや温もりを感じ取り,何より親と同じ目線で見る世界を体験できます。背中を教えるのは,お父さんの務めなのですが?
★落書き★
散らかっていた方が落ち着くんだ。そういう強弁はまかり通るのでしょうか? 散らかった部屋の中を歩くと,物を踏まないようにだとか,ぶつからないようにだとか,とにかく神経を使っているものです。やがて,大きなストレスにつながっていきます。片付いた部屋との差を実験すると,散らかった部屋の方が,脳波にイライラした乱れが現れ,ストレスホルモンの量も増えたそうです。ストレスが掛かると血糖値が上がり,慢性的になると,高血圧,糖尿病,胃潰瘍などを起こしやすくなります。習慣が病因になります。
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