*** 子育ち12章 ***
 

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「第 53-05 章」


『子育ちは 選ぶ言葉に 導かれ』


■子育ち12幸福■

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『子育ち第5幸福』

【一度発された言葉は大きな力を持つ】

《まえがき》
 この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の方位構成となります。
 この版では,子どもたちが幸せに向かって育っていくことを願って,タイトルとして「アランの幸福論」に語られている言葉を選択し,子育て羅針盤の視点で考えてみることにします。

《幸福であるために》
 朝目が覚めて,「起きようか」と言葉を掛けながら,身を起こします。「ねむいな。もう少しいいだろう」という言葉を掛けると,身は寝床に沈み込みます。もう一人の自分が自分をコントロールするために使っているのが,言葉です。もしも言葉がなかったら,動物のようにごく自然な暮らしぶりになるでしょう。体の成長には食事の豊かさが大切ですが,同じように心の成長には言葉の豊かさが大事です。言葉を持って使っていても,その言葉の品質がよくなければ,心は貧弱な育ちをすることになります。
 マイナスイメージの言葉ばかりに浸っていると,気持ちが沈み荒みうらぶれた行為に走るようになります。「あなたってダメね」,そう言われ続けると,本当にダメになっていきます。子どもが自分を大事にするためには,自分のよいところを言葉で意識する必要があり,だからこそ子どもをほめてやらなければなりません。褒め言葉によって,子どもは自分のよいところを自覚でき,自分を大事にすることができます。プラスイメージの言葉を覚えていくことで,子どもの育ちは豊かなものになります。

《幸福になるために》
 情報社会になって,言葉の力が格段に増幅されています。今現在報道されているレストランの偽装問題,メニューという言葉の信頼が損なわれると,ひとかどの社長の椅子が転びます。バイト店員のネット上の悪ふざけが,ふざけという言葉の軽さを失って,店舗を閉鎖させる重さを発揮しています。ちょっとしたいたずらのつもりでつぶやいた落書きでも,大騒ぎを引き起こしたり,人を死に追いやったり,とんでもない結末を招き寄せます。正しい言葉の使い方をしないと,大きな責任を背負い込むことになりかねません。
 中学生の中で「ガイジ」という言葉がささやかれています。「障害児」から生まれて,害児,ガイジとなります。差別的な言葉で,この言葉を投げかけることで,いじめをしています。この言葉が一人から言われるのではなく多数から言われるので,その痛みは増倍します。ネット世界が多数の共通情報という怖さを持つのと同じように,多数の声は一人で受け止めるには無理があります。皆が言っている,それは孤立を宣告することであり,追放を言い渡すことになります。言葉の力を侮らない用心深さをしつける必要があります。



 仲間内でしか分かり合えない隠語という言葉があります。言葉をつながりのキーワードにして,結束を固めます。言葉は人をつなぐ力があります。ところで,陰口という言葉の使い方があります。表向きは親しそうな話しぶりを見せていながら,陰では逆の貶めるような言葉が向けられることがあります。祖父母との間や夫婦の間で陰口が登場するとき,そこに子どもの耳があると,子どもは言葉の裏表を知って戸惑い,ひどいときには言葉を裏読みするようになり,人を信頼しなくなります。裏の裏という連鎖は憂鬱になります。

★落書き★

 晴れた日のベランダから,布団を叩く音が聞こえてきます。ところで,布団を叩くのは止めた方がよいようです。布団を叩くといつまでもホコリが立つので,強く何度も叩きたくなります。でも,あれはホコリではないのだそうです。布団の中のちぎれた綿で,強く叩けば綿の繊維がちぎれて,際限なく出てくることになります。布団を取り込むときに,表面を軽くブラッシングするか,払うだけでいいようです。布団叩きという道具を売っているから,布団は叩くものという思い込みがあるようです。


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