*** 子育ち12章 ***
 

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「第 54-05 章」


『子育ちは 同じ経験 言葉にし』


■子育ち12活力■

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『子育ち第5活力』

【言語で表現できる:共感思考】

《まえがき》
 この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の方位構成となります。
 この版では,「生きる力の育成を目指す教育内容・目標の構造」という提言の中で例示されている項目を参考にしつつ,子育て羅針盤の視点から考えてみることにします。

《言語で表現できる》
 話しが単語だけの叫びになっています。短縮語があふれて、意味が薄れて,記号が飛び交います。単語,それも特殊な単語が通用するのは,狭いグループ内だけです。ということは,人間関係が狭く,複雑な情報は必要がありません。子どもたちのクラスでは,掃除の際に,「箒」「雑巾」という単語が叫ばれます。「取って下さい」「貸して下さい」というつながりを表す言葉が消滅しています。自己主張すれば通じるという錯覚に嵌まります。意思を伝えることの手抜きは,心の中で他者の存在をないがしろにします。
 家庭で,父親が「新聞」と言っているのを聞いています。「新聞がどうかしましたか」という無言の問に答えていません。単語には,つながりの働きかけが欠落しています。自分本意な単語は,伝達の形が不備なために,誰も受取ろうとはしないでしょう。相手に向けて伝えようとしている意思を表明するのは文章です。言葉遣いを叱るときに「誰に向かって言っている」と問責されるのは,「あなた」に伝えようとする気持ちと言葉の適切な配置が求められるからです。ポイ捨てにされる台詞は,伝わる表現ではないのです。

《共感思考》
 悪口を言った,言わないが元で喧嘩になり,時には命が失われる事態が起こってしまいます。コミュニケーション不全のせいです。ある文化人類学者が,人は友好的関係を作り出すために「言葉」を発明したのでは?と語っていました。「俺はお前を殺さない」という意思表示として,お辞儀,握手が生まれ,敵意が無いという表現として定着しました。人の心は,他者の声,言葉によって満たされるものでもあるのですが。現実には言葉が通じていません。「お腹が空いた!」ではなく「お腹が空いたね!」と語りかけましょう。
 言葉に触れ合わないでいると,心は乾き,容易に殺意を育てるようになります。例えば,電話が長い,肩が触れた,面を切ったといった程度の言いがかりが引金になります。友好的な言葉の交流は,他者を自分と対等に意識することが条件になります。例えば,「叩く」という能動的言葉と対になる「叩かれる」という受動的言葉を知っていると,叩かれる相手のことに思いが及びやすくなります。お互い様という関係を実感すれば,共感という方向に向けた思考をすることが可能になります。言葉は人をつなぐためにあるのです。



 情報社会では,視聴覚が偏重されます。それは第三者の感覚でしかありません。当事者意識が欠落するという弱点があります。いわゆる,やじ馬感覚のレベルです。「見た,聞いた」というのは間接経験であり,他人の経験を伝達しているだけです。一方で,ネット情報に浸っていると,生々しさを敬遠するようになり,本音を冗談化して,自分を汚さないように疲れないように隔離する癖がついてきます。何かを問われたとき,「別に,一応」といった曖昧な表現で,自分を宙ぶらりんな立場に待避するようになります。借り物ではない,自分の言葉を持つためには,「したことがある」という直接体験が必要です。見た聞いたことは疑似体験であり,それは他人の汗にまみれていることを忘れないことです。

★落書き★

 立って歩いているときには、あくびは出ません。座ると途端にあくびが出るという経験があることでしょう。座ると刺激が減って,脳の働きが鈍くなります。そこで脳は,あくびで口の筋肉を使わせ,深呼吸で胸の筋肉を使わせ,その刺激を脳に送り込んで眠くならないようにしています。あくびは眠くなったから出るのではなく,眠気を覚ますために出るのです。そういえば,あくびの後は目を開いて起きています。ただ,すぐに眠気に負けて,寝入ってしまいますね。


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