*** 子育ち12章 ***
 

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「第 54-06 章」


『子育ちは モノやコトにも 名を付けて』


■子育ち12活力■

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『子育ち第6活力』

【知識を活用できる:共生推進】

《まえがき》
 この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の方位構成となります。
 この版では,「生きる力の育成を目指す教育内容・目標の構造」という提言の中で例示されている項目を参考にしつつ,子育て羅針盤の視点から考えてみることにします。

《知識を活用できる》
 第二の母乳を与えるのは,お母さんです。心の母乳ということもできるもの,それは言葉です。お母さんは,赤ちゃんに分かるはずもない言葉を語りかけています。語りかけは1対1が基本です。子どもが読み聞かせを喜ぶのは,自分に向かって言葉を届けようとしてくれるからです。おっぱいから呑んでいるのは身体の母乳ですが,耳で聞き取る言葉は子どもにとっては物心の母乳です。ものの考え方,感じ方などといった心を育てる総合食です。
 言葉にも子どもの成長に合わせた特徴があります。幼いときは母乳語で,具体的な物事に結びついた言葉が中心になります。育ってくると,離乳語として,抽象的な物事を表す言葉が増えていきます。おとぎ話仕立てで味を付けてあげると,食べやすい,いや,聞きやすくなるでしょう。世界の細部を言葉で表していくと,言葉によって世界のイメージを再現することができます。机といえば,誰の頭にも机がイメージされます。それが知識の活用の準備になります。母の語りかけが豊かであれば,想像力や応用力が育てられます。

《共生推進》
 テレビが子守をしてくれます。赤ん坊がTVを見ながら声をあげて喜んでいます。お母さんは手が離れて助かっています。やがて,赤ちゃんは,自分の意思をTVの人に伝えようとしても,TVは反応してくれないことに気付きます。結果として,人に話しかけても無駄であることを学びます。当然に,自分も外部からの働きかけに心を閉ざしていくようになります。自閉症に近い症状が,TVに子守をして貰った子どもに多いといわれます。人は反応してくれませんが,ゲーム機は反応してくれます。ゲーム機が友達になります。
 自分の思いや考えを伝えるために言葉を発するのが,人になる始まりです。伝えるということは,相手が言葉に反応してくれることです。そこに人間関係が成立し,共感の種が育まれて,共生という人間社会が構築されていきます。しかしながら,テレビに馴染んだ言葉遣いを覚えた子どもは,誰に向かっているのでもなく,言葉をばらまくだけです。言葉に向きを付けないので,相手を意識した気配りはしません。いきおい,感情むき出しの言葉になって,関係はとげとげしくなります。人付き合いが苦手な理由は言葉遣いです。



 空腹を抱えた子どもが,夕方6時,もうすぐ夕食というときに,「ねえ,クッキー食べたいよ」と言ってきます。どこの家でも,「だめ,もうご飯なんだから,お菓子ばっかり食べちゃだめ」という返事が出てくるでしょう。ところで,少し言葉を換えてみましょう。「そう,おなかすいたの! クッキーおいしものね。でももっとおいしいものもあるのよ。ちょっと待ってね」。空腹という事実を認めて貰えるだけでも,子どもは満足します。拒否する言葉ではなく,心を受け取ってやることで,共生関係を整えることができます。

★落書き★

 学級閉鎖などの情報が聞こえてきます。子どもが風邪を引くと,兄や姉に感染し,親に及びますので,手洗いをしてください。ところで,風邪を引くといいますが,引くとは? 風邪にかかるとはいいません。病気の「かぜ」は空気の流れの「かぜ」からきています。昔の人は外気の中に,身体にとってよくないもの,邪悪なものが潜んでいると考えていました。風が吹き邪悪なものを運んでくる。それを身体に引き込むということで,「かぜをひく」と言うようになりました。風邪と書くのも,邪悪な風ということから来ています。


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