『子育ちは できることを 精一杯』
■子育ち12定義■
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『子育ち第7定義』
【子育ちは,能力を使い切ることで伸ばしていくものである】
《まえがき》
この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の方位構成となります。
この版では,子育ち,子どもが育つということを,12の定義として体系的に表現していきます。子育ち12定義は子育ちの全体を12の視点から理解できるように組み立てられています。この12定義を理解することによって,世にあふれている子育て論のそれぞれが,どの定義に連なるものかという位置づけが納得できるはずです。
《何が育つのか?》
人の能力は,蓋を開ければパッと出てくるような出来上がっているものではありません。可能性という種があるだけで,外部との関わりからいろんなものを取り込んで育てていくものです。能力はあるものではなく自ら創造するものです。中学の部活で試合に負けた生徒が,相手校の体育館が大きく充実しており,十分練習できるから勝つのが当たり前,自分たちは負けて当たり前と言います。設備などの大きさ,多さといった目に見えるものでしか判断していません。自分の力をぎりぎり使っているか,それが練習という育ちです。
力は傾きの上にあります。例えば,金の力は,金持ちと貧乏の間に現れます。金持ちは金を使ってこそ力が発揮できます。金を貯めるだけでは守銭奴であり,金の力を無駄にします。知力も競争試験のためにと自分のものとすれば,力ではありません。知恵は流通させてこそ意味があるからです。学力は,人に教えるというプロセスを経て,本当の力になります。能力を使うという形が現れるのは,能力の差があるときに,高能力から低能力に作用が伝えられるときです。できることがあれば,出し惜しみしないで力を貸すことです。
かわいい子犬がいると,飼いたいと思います。親におねだりします。ちゃんと世話をするからと,必ず言います。親は,飼う理由として,家族の一員として,情操教育に,優しさを育む伝手に,さらには世話の忍耐をしつけることもできるといったことを思いつき,許可します。その後,子どもはクラブで多忙,興味も移って行き,結局親に世話が押しつけられて,困難になり,行政の手で処分となります。子どもが知ると悲しむから,反対するからと,内緒でことをすませようとするかもしれません。親は一時の気まぐれや無責任がどんな結果を生むか,最後まで見届けることなく放棄することの痛みを体験させなければなりません。体験には大切なマイナス体験もあります。そうでなければ「犬死」です。
連立方程式が分からずに苦労していると,父も母も連立方程式は解いていないのに,なんで自分がしなければならないのか,といったことを考えます。将来の役に立たないということから勉強しなくてよい理由を見つけたと思います。それは逃げでしかありません。大人になって解かないから,解くのは今のうちなのです。能力の開発のための練習は,頭の中の道路工事であり,「考える道」を作っているのです。道ができたら,道づくりの道具は用無しで,始末されます。勉強して考える道ができるから,その後にいろんな問題を通して解決することができるのです。
無駄なことはしない,効率優先の社会は冷酷です。生活や教育の現場には,無駄があると温かになります。コンビニエントな生活では,便利が当り前ですが,どこか無感動的であり,手間を掛けた手作りに温もりを感じます。遠慮という無駄を知っている子どもは,虐められ無視され競争に負けていきます。不躾な子どもの相手に疲れて,保母,先生が辞めていきます。作法・虚礼はしなくてもいい,寧ろしない方が無駄がないというのが今風です。でも,しなくてもよいことが「文化」という温もりです。無駄なことなので報いられないのですが,その悲しみを自分の中で温める悲壮美ともいえる余裕,それが人としての生き方に「しまり」を与えてくれるのです。
《何が育つのか?》
日本の優れた人々が日々の実践を通して作り上げ生かしてきた仕事観があります。「働く(ハタラク)とは傍楽なり」。自分が仕事をすることは,それによって他の人,傍の人が必ず楽になっていくことになります。自分のためだけにやっていると思っていても,めぐり巡って,妻子のために,会社のために,社会のためになっているのです。働くという漢字は,人が動くと書きます。人がそれぞれの能力を持ち寄って,目標を目指すことが価値をもたらしてくれる仕事になります。
★落書き★
どんぐりコロコロどんぶりこ。ドングリは大きくなると何になりますか? クヌギやナラ,カシなどブナ科の木になります。ドングリはドングリの木の実ではないからです。ドングリという木はありません。いろんな木の実ですから,いろんな大きさ,形のドングリがあります。コロコロ転がって,親の木から離れたところで芽吹きます。歌の通りに,転がっていくのです。
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