*** 子育ち12章 ***
 

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「第 56-07 章」


『子育ちは 使える力 身につけて』


■子育ち12能力■

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『子育ち第7能力』

【子育ちは,能力を発揮し実行することができることである】

《まえがき》
 この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の方位構成となります。
 この56版では,子どもが育ちの中で獲得すべき「12のできる力」を考えます。子どもが発揮する可能性を拓いていく営みが育ちだと想定します。ここで述べていく力は,人が生きていく上で必須とされる基本的な力であり,バランス良く獲得されなければならないものです。

《実行するのは何ですか?》
 美しい言葉遣いから伝わる命の共感をすることが,子育ちの第6の能力でした。ところで,言葉だけでは実際に生きている状態にはならず,口先だけになります。行動や態度が伴わなければなりません。
 子どもは能力の基を持っていますが,それを伸ばす育ちをしなければ実力を備えることはできません。言葉に付随する知恵を体現するために,もう一人の自分が自分を鍛えなければなりません。
 もうひとりの子どもは,できるようになりたいと願っています。その思いを実現することのできるチャンスを与え続けなければなりません。子どもが何かをしようとしているとき,大人の目からは至らないことをしているように見えても,なるべく気の済むまでやらせておきましょう。うまくいってもいかなくても,その動きに馴染むことで力の発揮の仕方を身につけていきます。子どもの行動は何事も練習なのです。練習できなければ,できるようになりたいという思いは出口を失います。
 すればできると思い,実際にはしないことがあります。したことがあるという実績が大事です。今しなくても後で必要なときが来ればするからと先送りしていると,必要なときに間に合いません。力は蓄えておくものです。試験前の一夜漬けは二夜で忘れたことを,親の苦い教訓としなければ,子どもの能力の開発は覚束なくなります。コツコツと続けることが一番です。子ども時代は,子どもらしいことを懸命にやり続ければいいのです。まとまった力は,日々培った小さな力を組み合わせて作り上げていくものです。

 生きるということは,台所の汚れ物+食卓の美味しい食事の組合せです。結婚をする夢は楽しい食卓であると信じていたのですが,現実は台所の汚れ物があり,夢破れて離婚という顛末です。調理とは,材料に「手を」入れて,美味しさを選び出す営みです。価値を生み出すには手で選別します。その作業は汚れ物(非価値)に触れることになり,切離しは不可能です。身ぎれいでありたい「もう一人の自分」が手の世界を拒否することがあるようです。
 3K=キツイ,キタナイ,キケンは手の世界であることを忘れないことです。生活は「あるもの」ではなく,自分の手で作り出すものです。家庭では親が明るくして見せるようにしましょう。《楽しそに 家事をする母 まだ見ない》。いやいや,仕方なくするのではなく,どうせすることなら,歌声を添えた家事をしてください。誰のために家事をしているか,愛をお裾分けする家事をしていることを,子どもに伝えましょう。

 「兎の耳は○○」の○○に適当な言葉を入れなさい。あるクラスの多くの答が「長い」です。クラスの二人だけが「赤い」と書きました。なんで? 何を勘違いしているのでしょう? 実は,この二人は,学校で飼育係をしています。身近でよく観察していたから「赤い」と書くことができたのです。自分の能力を使ってウサギをしっかり見ていたのです。また,「氷が融けたら何になる?」という問があります。常識的な正答は「水」ですね。しかし,「春」という答えもあります。寒い地方の子どもは,実感的に春の知らせでしょう。自然に全身で親しんでいるから,みずみずしい感覚を発揮できます。本物の能力を親が認めてやりましょう。

 かつて,パリで唐招提寺展が開かれたことがあります。鑑真像がパリに渡ったのです。会場作りの職人は,像の前を通るときは必ず立ち止って軽く頭を下げました。小学生の団体が見学に来ました。にぎやかなおしゃべりが,像の前に来るとぴたっと静かになりました。館内の警備員は,像の前を横切るとき,恭しく帽子を脱いでいます。文化を身につけるというのは,頭での理解ではなく,謙虚さの振舞いの中にあります。実際の行動に表すことのできる文化の能力を持たせておきたいものです。

 今の子どもたちは,情報社会の寵児らしく,知力に秀でています。しかし,知っていることとできることの間には,くっきりとした段差があります。知るのはもう一人の自分ですが,できるのは自分の能力です。知ることには限度が見えませんが,できることには限りがあります。実行できること,それが生きていく本物の力です。



 テレビで障害のある子どもの頑張りを見ていた6歳の男児が,「ねえ,お母さん,ぼくどうして涙が出るの?」と言って,母親をテレビの前に引張っていきました。人のために涙を流せる,幼くても,幼いからこそ,人としての価値を本能的に発揮しているのでしょう。母親が,「不自由なお友達と仲良くなれたら涙は出なくなるよ」と話してやると,子どもは手を握り,頷いていました。日常の些細な体験の積み重ねが,心情を豊かにしていきます。

★落書き★

 ウサギ跳びが身体によくないことは知られてきました。ところで,足を押さえてする腹筋運動もよくないそうです。この運動で鍛えられるのは大腿四頭筋や股関節筋で,腹筋ではありません。股関節筋が強くなると,背中が反り返り,腰に負担がかかって腰痛になりやすくなるのです。上半身を床につけ,伸ばした足を上げる腹筋運動も同じ理由で危険です。腹筋を鍛えたければ,膝を曲げて,状態を軽く起こすくらいがいいようです。


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