*** 子育ち12章 ***
 

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「第 58-05 章」


『子育ちは 今この一瞬 逃さずに』


■子育ち12考察■

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『子育ち第5考察』

【現在】

《まえがき》
 この子育て羅針盤では,子どもの育ちを6つの視点と2つの領域から理解することを目指しています。6つの視点とは,誰が育つのか,どこで育つのか,いつ育つのか,何が育つのか,なぜ育つのか,どのように育つのかという問に沿うものです。また,2つの領域とは,自分自身の育ち(私の育ち)と他者と関わる自分の育ち(私たちの育ち)という育ちの領域を想定しています。6つの視点にそれぞれ2つの領域を重ねると,12の論点が生じます。これが羅針盤の針路構成となります。

《現在とは?》
 人は暮らしの中で言葉を使っています。言葉には書き言葉と話し言葉があります。話し言葉は聞く言葉と対になって,対話を構成します。いつやる? 今でしょ! 話し言葉を使っているのは,今現在であり,生きている瞬間です。生きている今だから,おしゃべりをして,生きる歓びを感じることができます。人と話していると,知らなかったことを教わることがあり,言葉という形で学びが進みます。一言で人生が変わることもあるほど,言葉は成長の大事な糧になります。

 学校の授業で新しい言葉に出会います。ぼんやりしていて言葉を掴み損ねると,言葉が通り過ぎて,学びは流れ去ります。学びは生きている今一瞬の掴みにかかっています。今でしょ!という言葉が流行りましたが,ただの流行言葉として,その大事なメッセージを聞き逃していると,学びの機会に気付かないことになります。知識に限らず,今現在進行している経験こそが,育ちの営みです。後でまとめて学ぶということは,あり得ないのです。生きている瞬間が学び,育ちのときです。

 目を覚ましている間,人は外界からさまざまな刺激を受けて,反応しています。心地よい刺激,嫌な刺激,何の感慨もない刺激,それぞれに反応している自分を,もう一人の自分が見ています。ケーキは美味しいと感じている自分に気付いて,もう一人の自分が自分が好きなものとしてケーキを覚えていきます。何が好きと聞かれて,ケーキと答えるのは,もう一人の自分です。もしももう一人の自分が現実ではないゲームにのめり込んでしまうと,自分を見失うことになります。



 名古屋大学の女子学生が,「人を殺してみたかった」とお年寄りに襲いかかりました。頭の良い子のようですが,人として何かが欠落しています。今という一瞬の時を自分の現在に向けていなかったことが考えられます。現にあるがままの自分を見ずに,映像や虚像の世界に遊びすぎて,人としての自分を見失ったせいで,人そのものが分からなくなったのでしょう。人を殺すことと自分を殺すこととが結びつかない,自分が人であることが分からない,そういうもう一人の自分を育ててしまったのだと思われます。

★落書き★

 昆布は出汁を取るのに使われます。ところで,海に生えている昆布からは,出汁が出ているのでしょうか? 昆布出汁のうま味は細胞にたくさん含まれているグルタミン酸によるものです。生きている昆布では細胞のタンパク質にしっかりとつかまれているので外には出てきません。ところで,収穫した昆布は乾燥させるので枯れて,タンパク質の縛りが解けて,グルタミン酸は容易に動けるようになります。水につけるだけでも出汁が出るようになります。


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